元F1ドライバーがメキシコGP裁定批判「オープニングラップはやりたい放題」
元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、メキシコシティGPのオープニングラップでルールを「悪用」したドライバーたちに不快感を示した。

先週日曜に行われた決勝では、フェラーリのシャルル・ルクレールとレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが芝生を走り、最初のコーナー群をカットしたことが大きな議論を呼んだ。

ルクレールとフェルスタッペンはそれぞれ1番手と3番手でコースへ戻り、マクラーレンのランド・ノリスとフェラーリのルイス・ハミルトンにポジションを譲ったものの、いずれも処罰は科されなかった。

一方で、7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは、7周目にフェルスタッペンとのターン4でのバトル中にコース外走行によるアドバンテージ獲得とみなされ、10秒ペナルティを受けた。

ハーバートは、このような「オープニングラップでは審議対象になりにくい」傾向を利用するドライバーたちを批判している。

「一番の問題は、スタート直後の第1コーナーで起きることについて、スチュワードたちが見逃す傾向にあることだ。タイヤが冷えていてスピードに乗っていないからという理由で、何かあってもペナルティを適用しない」とハーバートは『AdventureGamers』に語った。

「僕はそれに同意できない。彼らは世界最高のドライバーたちだ。メキシコで見たように、全員が“どうせバレない”と思って好き放題やったのではないか。たぶんそうだ。全員が逃げ切れると分かっていた」

「マックスがアウトサイドを回って少しコースを外れたが、何も失わなかった。シャルルもカットして、失うどころか得をしていた。彼はルイスと並んでいたが、結果的にマックスの前に出た。2番手になったが、ペナルティはなかった」

「もしルイスがマックスを少し前に出させていれば、ペナルティは受けなかったと思う。10秒ペナルティは厳しすぎると言う人もいるが、10秒という基準はいつでも一貫して適用されるべきだ。状況によっては厳しいこともあるが、それでも公平さを保つためには必要だ」

「ドライバーはペナルティの可能性を承知しているし、ミラーを見れば、自分がターンイン時にはなかったギャップを作って出てきたことが分かるはずだ」

「オープニングラップの“フリーパス”をやめるべき」
ハーバートは、スタート直後の「特例」をなくし、1周目であっても厳格にルールを適用すべきだと主張した。

「第1ラップは特別扱いするのが通例だが、それが問題だ。僕が見た限り、みんな“何をやっても罰されない”と分かっていて乱暴に走っていた。最初のラップはほとんどフリーフォール状態だ」と述べた。

「それを許してはいけない。あれもレースの一部であり、週末の一部だ。フォーミュラ・フォード・フェスティバルじゃないんだ。世界最高峰のF1ドライバーなんだから、タイヤが冷えていても、ポジション争いの中でも、ミスをすればペナルティを受ける可能性があることを自覚すべきだ」

「明らかにアドバンテージを得た場面があったのに、1周目だからという理由で見逃された。僕はそれに反対だ。彼らは世界最高の判断力を持つ。もし路面が濡れていれば対応できるのに、1周目だから冷えたタイヤを理由にするなんて馬鹿げている。レースなんだから、もっと賢く走るべきだ」

審判基準の一貫性を求める声
ハーバートの発言は、メキシコGPでの裁定の不一致――つまり1周目の走行逸脱は見逃され、同様の行為が後の周であれば罰せられるという矛盾――を指摘したものだ。彼は「FIAが一貫性を欠く判断を続ければ、ドライバーたちはその抜け穴を利用するだけだ」と警鐘を鳴らす。

メキシコGPでは、フェルスタッペンとルクレールの“カットライン”に対しスチュワードが「ポジションを戻したためノーアクション」と判断したが、ハミルトンには厳罰が下った。この不均衡が、今後の裁定議論の焦点になりそうだ。

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カテゴリー: F1 / F1メキシコGP