F1メキシコGP 勝者と敗者:ノリス首位返り咲き、ハース快挙、ハミルトン苦戦
ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻の走りで今季6勝目を挙げ、4月以来となるドライバーズ選手権の首位に返り咲いた。ポールポジションから完璧なレース運びを見せ、チームメイトのオスカー・ピアストリを逆転してタイトル争いの主導権を握った。

一方で、オリバー・ベアマンがキャリア最高の4位でハースに歴史的快挙をもたらす一方、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は痛恨のペナルティで表彰台を逃すなど、明暗がくっきりと分かれた週末となった。

勝者:ランド・ノリス
ノリスが首位に立つのは、4月のサウジアラビアGP以来初めて。今季6勝目となる勝利を飾り、チャンピオン争いをリードする形となった。「この週末は完璧に近い内容だった。残り4戦、追い風は僕にある」と語るノリスは、勝利の余韻に浸ることなく冷静に次戦ブラジルGPを見据えた。

敗者:オスカー・ピアストリ
チームメイトにタイトルリードを奪われたピアストリだが、週末の内容自体は決して悲観すべきものではなかった。マシンの特性に合わせて走り方を変えなければならない状況にあり、ややパフォーマンスを落としているが、メキシコでは有効な対策を見つけつつある。7番グリッドから5位まで挽回し、ダメージを最小限に抑えたピアストリは「ここでの走りは前向きな手応えだった」と語った。

勝者:オリバー・ベアマンハースF1チームのオリバー・ベアマンが、キャリア最高のレースを披露した。3戦連続のQ3進出を果たすと、決勝ではルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンの接戦の隙を突いて順位を上げ、上位勢に食らいついた。最終的に4位でフィニッシュし、自身のF1キャリア最高位を記録。2018年オーストリアGPのロマン・グロージャン以来となるチーム最高位タイの快挙となった。この結果により、ドライバーズランキングでは5つ順位を上げて13位に浮上した。

F1 メキシコGP オリバー・ベアマン

敗者:ウィリアムズ
ウィリアムズにとってメキシコは厳しい週末となった。カルロス・サインツJr.は予選で7番手につけたが、前戦オースティンでのキミ・アントネッリとの接触により5グリッド降格ペナルティを受け、決勝は12番手スタート。スタート直後にリアム・ローソンとの接触でセンサーを損傷し、ピットレーン速度超過のペナルティを受けるなど、災難続きの末にスピンを喫してリタイアした。一方、アレクサンダー・アルボンは17番グリッドから12位まで追い上げたものの、ポイント圏には届かず。ただしチームはデータ上で問題点を特定できており、改善への道筋は見えているという。

勝者:シャルル・ルクレール
フェラーリのシャルル・ルクレールは、2戦連続となる完璧な週末を過ごした。予選2番手からのスタートを活かして安定したペースを維持し、2位フィニッシュで3戦連続のメキシコ表彰台を獲得。これで今季7度目の表彰台となり、ドライバーズランキングではジョージ・ラッセルとの差を48ポイントに縮めた。「マシンの感触は非常に良い。連続して結果を出せているのは大きい」とルクレールは語った。

敗者:ルイス・ハミルトン
フェラーリ加入後初の表彰台が見えかけたルイス・ハミルトンだったが、10秒加算ペナルティが痛恨の結果を招いた。マックス・フェルスタッペンとのバトルでコース外走行による“持続的なアドバンテージ”を得たと判断され、結果は8位に転落。メキシコでは2018年以来となる最低順位でのフィニッシュとなり、フェラーリ移籍後20戦連続で表彰台なしという厳しい記録を更新することとなった。

F1 メキシコGP ランド・ノリス

勝者:マックス・フェルスタッペン
予選5番手からスタートしたマックス・フェルスタッペンは、ミディアムスタートによるオフセット戦略を駆使して3位を獲得した。レース後半の追い上げは見事で、これで6戦連続の表彰台。タイトル争いでは、首位ノリスとの差を36ポイント、2位ピアストリとの差を35ポイントにまで縮めてブラジルへ向かう。「パーフェクトではなかったが、悪くない結果だ」とフェルスタッペンは語り、チャンピオン争いの行方を睨んだ。

敗者:ザウバー
ガブリエル・ボルトレトは16番グリッドから追い上げ、終盤にアイザック・ハジャーを抜いて10位でフィニッシュ。貴重な1ポイントをもぎ取った。しかしチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグはパワーユニットのトラブルでリタイア。これによりザウバーはコンストラクターズ選手権で9位に後退し、ハースに2ポイント差、アストンマーティンに9ポイント差、レーシングブルズには11ポイント差をつけられた。

勝者:ハースF1チーム
ハースはオースティンで導入したアップグレードを最大限に活かし、ダブル入賞を果たした。ベアマンの4位とエステバン・オコンの9位による合計14ポイント獲得は、今季第2戦中国GP以来となるベストスコアタイ。コンストラクターズ選手権ではレーシングブルズとの差を10ポイントに縮め、6位争いに現実味が出てきた。

F1 メキシコグランプリ ハースF1チーム

敗者:アストンマーティン
アストンマーティンは苦しい週末を過ごした。ランス・ストロールは今季20戦中14回目のQ1敗退、フェルナンド・アロンソも2017年以来のメキシコ最低予選順位に沈んだ。決勝では、ストロールがスタート直後にスピンを喫し最後尾に後退。そこからソフトタイヤでのロングランを見せたが、14位が限界だった。一方のアロンソは車両保護のためリタイアを決断。直近5戦中3戦でノーポイントという苦境が続いている。

勝者:フェラーリ
フェラーリは近年メキシコで好成績を残してきたが、2025年もその傾向を維持した。ルクレールとハミルトンが予選で2番手・3番手を確保し、決勝ではルクレールが2位、ハミルトンが8位でフィニッシュ。この結果により、フェラーリはコンストラクターズ選手権で2位の座を取り戻した。

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カテゴリー: F1 / F1メキシコGP