ホンダF1を後押し FIAがADUO改定で「10%以上遅れ」に追加支援
FIA(国際自動車連盟)は2026年F1パワーユニット規則の性能調整制度であるADUOについて、技術・財務・運用面の規定を更新し、世界モータースポーツ評議会の臨時会合で承認した。

今回の変更では、基準となるエンジンに対して10%以上遅れているメーカーを対象に、新たな支援カテゴリーが設けられた。これは、2026年F1シーズン序盤から性能と信頼性の両面で苦戦しているホンダにとって、大きな追い風になる可能性がある。

カナダGP後に最初のADUO評価
ADUOの最初の評価は、2026年F1第5戦カナダGP後に実施される。当初、この評価時期をめぐっては議論があった。バーレーンGPとサウジアラビアGPが中止されたことで、当初予定されていたマイアミGP後の実施を維持すべきだという意見と、基準側とされるメルセデスが主張した改訂カレンダー第6戦モナコGP後まで待つべきだという意見が分かれていた。

最終的にFIAは中間案を採用し、初回評価をカナダGP後に設定した。2回目の評価も当初予定より1戦前倒しされ、第12戦後ではなく第11戦後に行われる。3回目の評価は変更されず、第18戦後に実施される。

10%以上遅れたメーカーに230時間の追加ベンチテスト
今回の最大の変更点は、最良のエンジンに対して10%以上遅れているメーカーを対象とした新カテゴリーの創設だ。

ADUOでは、FIAが評価するのはパワーユニット全体ではなく、内燃エンジンの性能に限られる。この分野では、現時点でメルセデスが基準とされており、550馬力をやや上回る出力を持つとされている。

一方、ホンダについては、内燃エンジンで60〜70馬力の不足があると報じられており、基準から10%以上遅れている計算になる。そのため、新たに設けられた10%以上の救済カテゴリーは、事実上ホンダを念頭に置いた措置と受け止められている。

運用面では、性能差に応じて追加ベンチテスト時間が段階的に設定された。

■ 基準との差が2%未満:0時間

■ 2%以上4%未満:70時間

■ 4%以上6%未満:110時間

■ 6%以上8%未満:150時間

■ 8%以上10%未満:190時間

■ 10%以上:230時間

10%以上遅れているメーカーには、最大230時間の追加ベンチテストが認められる。これは、現行の性能差を縮めるための開発機会としては大きな意味を持つ。

予算面でも最大1100万ドルの追加枠
財務面でも、性能差に応じた追加予算枠が設定された。10%以上遅れているメーカーには、今後2年間で1100万ドルの追加予算が認められる。ただし、この予算は2026年中には使用できず、翌年以降の開発に充てられる。

■ 基準との差が2%未満:0ドル

■ 2%以上4%未満:300万ドル

■ 4%以上6%未満:465万ドル

■ 6%以上8%未満:635万ドル

■ 8%以上10%未満:800万ドル

■ 10%以上:1100万ドル

さらにFIAは、2026年F1レギュレーション導入初年度に基準エンジンから10%以上遅れているメーカーに対し、追加で800万ドルの予算枠を認める規定も導入した。これは1100万ドルの枠に上乗せされるもので、今後2シーズンにわたって使用できる。

ホンダ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

ホンダ救済色が強いADUO変更
今回のADUO変更は、ホンダに対する支援色が強い。10%以上という新カテゴリーは、該当するメーカーが存在しなければ意味を持たない制度であり、現時点でその対象に最も近いのがホンダだと見られている。

この変更には、トト・ヴォルフの意向も反映されている可能性がある。ヴォルフは以前から、ADUOは大きく遅れたメーカーを支援するための制度であり、フェラーリやレッドブルがメルセデスとの差を縮めるための仕組みではないという考えを示していた。

ただし、追加のベンチテスト時間や予算枠が認められたとしても、10%を超える差を短期間で埋めるのは容易ではない。ホンダにとっては、信頼性と性能の両面で立て直しを進めるための重要な機会になる一方、成果が表れるまでには時間が必要になる。

アストンマーティンとホンダにとって、2026年F1シーズン序盤は厳しいスタートとなった。それでも、FIAがADUOを通じて救済枠を拡大したことで、今後の開発競争には新たな流れが生まれる可能性がある。

Source: SoyMotor.com

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / FIA(国際自動車連盟)