2031年F1エンジンでV8復活案が有力 FIAが方向転換 電動比率も縮小か

関係者の間では、現行規則が「妥協の産物」となった反省から、コスト削減と簡素化を最優先とした“方向転換”が必要との認識が共有されており、その中核にV8エンジン復活の可能性が浮上している。
V8ターボ+標準MGU-Kが有力案
初期段階の議論では、V8ターボエンジンに標準化されたMGU-Kを組み合わせる構成が有力視されている。現行と同様に持続可能燃料を使用する一方で、電動システムの比率は大幅に引き下げられる見通しだ。
これにより、現在のような電動エネルギー管理に依存したレースからの脱却と、エンジン構造のシンプル化が期待されている。
FIAのシングルシーター部門テクニカルディレクターであるヤン・モンショーは次のように語る。
「今後2〜3か月で方向性を固める必要がある。これ以上長引くことは望んでいない。遅くとも年末までには具体的な規則を文書化しなければならない」
「現行フォーミュラの弱点は明らかだ。我々はそれを修正する必要があるが、最優先はコスト削減だ」
現行PUは“失敗”との認識が共有
2026年のエンジン規則は、新規参入メーカーと既存メーカーの利害調整の結果として成立した。しかしその過程で多くの妥協が積み重なり、結果的に複雑でコストの高いパワーユニットとなった。
FIAのニコラス・トンバジスも当時の状況について次のように振り返っている。
「現行のエンジン規則を議論していた際、一部の自動車メーカーは今後は内燃機関を開発しないと主張し、いつ完全に電動化するかまで明言していた。しかし、それは現実にはならなかった」
「次のエンジンでは、我々は世界的な経済環境に振り回されるべきではない。メーカーに依存しすぎることは避けなければならない」
関係者の間では、この現行フォーミュラが期待された成果を十分に上げていないとの見方が広がっている。マイアミGPで導入される小規模な修正も、問題の本質的な解決には至らないとみられている。
実際、2029年や2030年への前倒し導入案も議論されたが、アウディやホンダの反対により見送られた。両メーカーは現在のパワーユニット開発に多額の投資を行っており、短期間での再設計には消極的だった。

FIA主導で“メーカー依存”から脱却へ
今回の議論では、FIAがより主導権を握る姿勢も明確になっている。これまでのようにメーカーの要求を広く取り入れるのではなく、シリーズ全体の持続性を優先する方針だ。
エンジン開発には長い準備期間が必要であるため、早期の方向性決定は不可欠とされる。FIAは今夏までの合意を目指しており、遅くとも年末までには最終的なレギュレーションを確定させる必要がある。
すべてのメーカーの要望を満たすことは難しいが、共通の基盤を見出しながら、現行規則の問題点を是正する“現実的な解”が模索されている。
2031年の次世代エンジンは、単なる技術変更にとどまらず、F1の競技性やコスト構造を左右する重要な転換点となる。V8復活という象徴的な変化が実現するかどうかも含め、今後数か月の議論の行方が注目される。
Source: Auto Motor und Sport / F1inGenerale
カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)
