F1がレッドブルに“2チーム体制見直し”要求 レーシングブルズ売却構想を模索

マクラーレンCEOのザク・ブラウンがFIAに対してマルチチームオーナーシップ禁止を要求したことで、レーシングブルズ売却問題は単なる政治論争ではなく、F1全体の構造改革へと発展しつつある。
F1首脳陣は“レッドブルが受け入れられる売却案”を模索
レッドブルは2005年にジャガーを買収して現在のレッドブル・レーシングを設立し、翌2006年にはミナルディを買収してトロロッソを発足させた。現在のレーシングブルズは、その流れを汲む存在だ。
しかし、同一企業による2チーム保有は長年にわたり論争の対象となってきた。特に近年は、ドライバー昇格や人材異動、さらにはレース中の戦略的協力まで含め、「事実上のBチーム」として機能しているとの批判が強まっている。
その中心にいるのがザク・ブラウンだ。
ブラウンは最近、FIAに対してマルチチームオーナーシップ禁止を求める書簡を送付。背景には、ローラン・メキースがガーデニング休暇なしでレッドブル代表へ昇格した件や、2026年F1マイアミGPでリアム・ローソンがマックス・フェルスタッペンを先行させた場面などへの不満があるとされる。
豪Auto Actionによると、現在F1首脳陣は「レッドブル側が受け入れ可能な解決策」を模索しており、その一環としてレーシングブルズ売却プランが検討されているという。
“売却後もレッドブル傘下同然”という特殊条件
ただし、仮に売却が実現するとしても、通常のチーム売却とは大きく異なる条件が課される可能性が高い。
報道によれば、将来的な買収企業には以下のような条件が求められる見通しだ。
■ レッドブル・パワートレインズ製PUを継続使用
■ レッドブルとの技術提携維持
■ 少なくとも1人はレッドブル育成ドライバーを起用
■ ミルトンキーンズとの密接な協力関係を維持
つまり、名目上は売却されても、実態としては“準レッドブル体制”を維持する構想になっている。
さらに、レーシングブルズの評価額は最低15億ポンド(約3000億円規模)とも言われており、この条件面も含めて「買い手探しは容易ではない」と見られている。
レッドブル側も現時点では売却に消極的だ。
同社は「ミナルディはレッドブルが買収しなければF1から消滅していた」と主張しており、長年にわたり2チーム体制を維持するために莫大な投資を続けてきたことを強調している。

BYDや吉利汽車が“12番目のチーム”ではなく買収を選ぶ可能性
一方で、この構想が現実味を帯びる理由として、中国メーカー勢の存在がある。
BYDや吉利汽車(Geely)は近年F1参入への関心が噂されているが、新規12番目チームとしてゼロから参入するよりも、既存チームを取得する方が現実的との見方が強い。
特に今回のレーシングブルズ売却案では、PU開発を即座に求められない点が大きい。両社とも当初から独自F1エンジンを開発する計画はないと見られており、レッドブル・パワートレインズを使用できる条件は参入障壁を大幅に下げる。
その意味では、今回浮上した“特殊条件付き売却”は、F1側にとってはマルチチーム問題の解消策であり、同時に中国メーカーをF1へ呼び込む入口にもなり得る。
ただし、その結果として誕生するのは、独立系チームなのか、それとも“名前だけ変わった第三のレッドブル”なのか――。パドック内でも見方は大きく分かれている。
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