クリスチャン・ホーナー 中国BYDと協議 12番目のF1チーム構想が浮上

BYDはF1参入に関心を示しており、既存チームの少数株取得ではなく、新たなF1チームとしてグリッド参戦を目指す可能性を探っているとされる。ホーナーにとっては、レッドブル離脱後に求めている所有権や株式を伴う役割と合致する道筋となり得る。
BYDが見据える12番目のF1チーム構想
BYDは現在、アルピーヌF1チームの株式取得をめぐる動きにも関連して名前が挙がっているが、現時点での主な関心は既存チームへの少数出資ではなく、独自のF1チーム設立にあるとされている。
ホーナーは先週末、南フランスのカンヌを訪れ、BYD副社長のステラ・リーと2日間にわたって複数回の会談を行ったとされる。BYDが公開した「カンヌ・ナイト」の映像にも、ホーナーが同社のゲストとして参加している姿が確認されている。
リーは先月、F1グループCEOのステファノ・ドメニカリと上海で会談していることを認め、BYDがF1参入の可能性について「議論している」と発言していた。
「F1が好きなのは、情熱と文化があり、人々がF1にいることを夢見るからだ」
リーは、F1参入がBYDにとって自社技術を試す機会になるとも語っている。
ホーナーにとって所有権付き復帰の現実的な選択肢
ホーナーは2025年夏にレッドブルF1のチーム代表兼CEO職を離れた後、ガーデニングリーブ期間を経て、5月8日以降はF1での活動再開が可能になっている。
その間、ホーナーはドメニカリやFIA会長モハメド・ビン・スライエムとも複数回会談しているとされ、12番目のF1チーム構想も話題に上がっていたという。レッドブルを成功に導いた実績は、投資家や新規参入を目指すメーカーにとって大きな魅力となる。
ホーナーは次の役割について、単なるチーム代表職ではなく、所有権や株式を伴うポジションを望んでいるとされる。BYDのような巨大メーカーがF1参入を検討する場合、ホーナーの経験とF1内での人脈は、プロジェクトを現実化するうえで強力な武器になる。
アルピーヌ株式争奪とは別の“より大きな道”
ホーナーは現在、アルピーヌF1チームの24%株式を保有するオトロ・キャピタルの持ち分取得をめぐっても名前が挙がっている。ルノー・グループは、単なる受動的投資家ではなく、スポーティング面で関与できるパートナーを求めているとされ、ホーナーはその条件に合う候補と見られている。
一方で、メルセデスもアルピーヌ株式取得に関心を示しているとされる。アルピーヌはメルセデス製パワーユニットを使用しており、その既存関係が交渉に影響する可能性もある。
ただし、メルセデスによるアルピーヌ出資案には、共通所有構造への懸念も出ている。マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、FIAに対して共通所有構造を規制する議論を求める書簡を送ったとされ、仮にそうした規制が進めば、メルセデスの選択肢は制限される可能性がある。
その場合、ホーナーはアルピーヌ側の有力候補としてさらに浮上することになるが、BYDとの新規チーム構想は、それとは別に、より大きな裁量と所有権を伴う復帰ルートとなる。
FIAとFOMが重視する“価値を加えるチーム”
FIA会長モハメド・ビン・スライエムは以前、中国からのF1参入案について、適切な条件を満たせばFOMも前向きに受け止めるだろうとの見方を示していた。
「中国からチームが来るとしよう。FOMが承認すれば、私は100%承認すると考えている。中国が加われば、より多くの収益を生むのではないか。私はそう思う」
ただし、ビン・スライエムは12番目のF1チームについて、単にグリッドを埋めるためのものではなく、F1の事業と選手権の長期的価値を高める存在でなければならないとも強調している。
ドメニカリも、新規チームについては慎重な姿勢を示しており、物流面ではすでに限界に近いとして、極めて重要な意味を持つ申請だけを評価する考えを示している。
BYDは世界有数の自動車メーカーであり、EVやバッテリー技術で強い存在感を持つ。中国市場の戦略的重要性を考えても、BYDが本格的なF1参入案をまとめた場合、FIAとFOMにとって無視しにくい候補になる。
BYDとホーナーの組み合わせが持つ説得力
BYDは2025年に世界販売台数を伸ばし、EVと新エネルギー車分野で急速に存在感を拡大している。高性能ブランド「仰望(ヤンワン)」では、量産車の最高速記録やニュルブルクリンクでの電動スポーツカー記録も打ち立てており、F1参入に必要な技術的ストーリーも持っている。
一方のホーナーは、レッドブルをF1のトップチームへと押し上げた実績を持ち、新規プロジェクトの顔として投資家、FIA、FOM、商業パートナーを説得できる存在だ。
アルピーヌ株式取得、アストンマーティンとの関係、そしてBYDとの新規チーム構想。ホーナーのF1復帰には複数の道が残されているが、BYDとの連携は、その中でも最も野心的で、F1全体の勢力図を変える可能性を持つシナリオといえる。
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