F1ラスベガスGP 勝者と敗者:フェルスタッペン逆襲も角田裕毅は流れ掴めず

一方、金曜プラクティスで好調を示していた角田裕毅は、Q1敗退とピットレーンスタートが響き、3戦連続のノーポイント。アントネッリやラッセルが躍動した混乱の週末で、明暗は大きく分かれる結果となった。
勝者:マックス・フェルスタッペン
マックス・フェルスタッペンは夏休み以降の目覚ましい活躍を続け、ラスベガスでの素晴らしい勝利で、直近7戦で4勝目を挙げた。
レッドブル・レーシングのドライバーは、スタートでタイトル争いのライバルであるランド・ノリスのエラーを突いてリードを奪い、そこからレースを支配して20秒差でチェッカーを受けた。
それは彼にとって8戦連続の表彰台となり、ノリスとの差は42ポイントに縮まった。そしてレースから数時間後、ノリスとチームメイトのオスカー・ピアストリがスキッドブロックの違反で失格となり、その差は24ポイントにまで削られた。
これにより、かつては104ポイント差をつけられていたピアストリと同点に並び、5年連続のタイトル獲得というセンセーショナルな快挙が射程圏内に入った。
敗者:マクラーレン
マクラーレンは、ラスベガスでこれまで予選でも決勝でも6位以上の結果を出したことがなかったが、ランド・ノリスがキャリア最高レベルのポールポジションを獲得し、大きな前進を遂げたように見えた。
スタートで2つ順位を落とし、フェルスタッペンとジョージ・ラッセル(メルセデスF1)の後方3番手を走行することになったが、その後巻き返して2位でフィニッシュした。しかしチームから「何らかの問題」があると告げられ、ゆっくりとチェッカーを受けた。
レース後、ノリスのマシンとピアストリ(4位フィニッシュ)のマシンが、レース後の検査でプランクの摩耗が規定値を超えていたことが判明し、両者が失格となったことが明らかになった。
これにより、ノリスのチャンピオンシップでのリードは24ポイントに減少(2位を維持していれば30ポイント差になるはずだった)し、ピアストリはフェルスタッペンと同点となった。
それでもマクラーレンは依然として主導権を握っており、残り2戦とスプリントを前に、ノリスは依然として1勝分に近いポイント差を保ち、ピアストリも当初の結果よりもフェルスタッペンに近い位置につけている。しかし、フェルスタッペンの影はこれまで以上に大きく迫っている。
勝者:ジョージ・ラッセル(メルセデスF1)
ジョージ・ラッセルは、予選でステアリングの問題を抱えながら4番手で第2列を確保し、決勝でもさらなるステアリングトラブルと戦いながら見事な走りを見せ、3位でフィニッシュした。
これはノリスの失格により2位へ繰り上がり、ラッセルにとって150回目のグランプリ出場であり、今季9回目の表彰台となった。
今年の卓越した一貫性により、彼はドライバーズ選手権4位を確定させ、自己最高位タイの成績を記録することになる。
敗者:ガブリエル・ボルトレト(ザウバーF1)
ガブリエル・ボルトレトは、スタートのターン1への飛び込みでブレーキングを誤り、前戦に続きランス・ストロール(アストンマーティン)と接触した。
ダメージは大きく、ボルトレトはリタイアを余儀なくされた。さらにこの接触について彼が過失と判断され、次戦カタールで5グリッド降格ペナルティを受けることになった。
これは、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグが11位に入った一方で、ボルトレト自身はQ1敗退を喫するという難しい予選の後に起きたものであり、レースでのDNFは2戦連続となった。
勝者:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスF1)
アンドレア・キミ・アントネッリは、プラクティスでの速さと前戦ブラジルでスプリントと決勝の両方で2位に入った勢いからすると、予選17番手という結果に落胆していた。
しかしレースでは見事な巻き返しを見せ、スタート違反による5秒ペナルティに苛立つことなく、力強くフィールドを切り裂いた。
ハードタイヤで48周の驚異的なスティントを走り切り、4位でフィニッシュ。それがマクラーレン勢のダブル失格により3位となり、キャリア3度目の表彰台を獲得した。

敗者:アストンマーティン
アストンマーティンは、トラック特性がマシンに合わないことを理解したうえでラスベガスに乗り込んでいた。
しかしウェットの予選により、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールがQ1で速さを見せ、特別な結果への希望が見えた。
だが、インターミディエイトへ履き替えるという誤った判断によりストロールは脱落し、アロンソはトップ10スタートを確保したものの、レースでは順位を落とした。
ストロールもスタート直後の接触でリタイアし、アストンマーティンは3戦連続でノーポイントとなり、コンストラクターズ選手権でP8に後退した。
勝者:カルロス・サインツ(ウィリアムズ)
カルロス・サインツは、ウェットでの実力を発揮し、ウィリアムズを巧みに操って予選3番手を獲得した。
決勝がドライとなればその順位維持は難しいとわかっていたが、彼は最大限の力を尽くして戦い、ミッドフィールド勢の前で堅実な7位フィニッシュを果たした。
そしてマクラーレンの失格により7位は5位へと繰り上がり、これは今季2番目に良い結果であり、シンガポール以来のポイント獲得となった。
敗者:アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
アレックス・アルボンは随所で素晴らしい速さを見せたが、予選でのクラッシュとレース中の無線故障が週末を台無しにした。
タイのドライバーはスタートで接触し、マシンのパフォーマンスに影響が出たうえ、無線が使えない状態となり、チームは安全上の懸念からリタイアを選択した。
これで今季4度目のリタイアとなり、6戦連続でノーポイント。しかしドライバーズ選手権8位は依然としてしっかり保持しており、アイザック・ハジャーに22ポイント差をつけている。
勝者:ハースF1チーム
ハースF1チームはチェッカー時点ではポイント圏外だったものの、エステバン・オコンが11位、オリバー・ベアマンが12位と悪くない位置につけていた。
そしてマクラーレンが失格となり、ハースの2台がその恩恵を受け、オコンが9位、ベアマンが10位となった。
これはベアマンにとって5戦連続のポイント獲得、オコンにとっては直近3戦で2度目のポイントとなった。このダブルポイントにより、ハースはコンストラクターズ選手権7位へと浮上した。
敗者:角田裕毅(レッドブル・レーシング)
これは角田裕毅にとって苦しい週末となった。金曜プラクティスではタイトル4回のフェルスタッペンを上回る速さを見せたにもかかわらず、流れは大きく変わった。
彼は今季6度目のQ1敗退を喫して19番手となり、ピットレーンスタートを選択。
しかし決勝では進む余地があまりなく、3戦連続でポイントを逃す結果となった。
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