FIAが予測する2026年F1マシンの性能差 最重要ファクターは内燃エンジン
大幅なレギュレーション変更は、常にF1の勢力図に大きな差を生み出してきた。チーム、そしてFIAの双方は、2026年F1シーズン開幕当初、2025年よりもフィールドのばらつきが大きくなると見ている。ただし、FIAは2014年のような長期的な一強支配を防ぐため、複数の“セーフティネット”を規則に組み込んだ。

2014年に始まったハイブリッド時代では、メルセデスが圧倒的に優れたパワーユニットを投入し、その優位性が何年にもわたって固定化された。

2026年のリセットでも理論上は同様の事態が起こり得るが、FIAは過去の教訓を踏まえて対策を講じている。

ICEが初期の主役になる理由
パワーユニット面で最大の対策となるのがADUOシステムだ。6戦ごと(第1~6戦、第7~12戦、第13~18戦)にFIAが内燃エンジン(ICE)の出力を評価し、最強のICEから2〜4%遅れているメーカーには追加アップグレード1回、4%以上遅れているメーカーには2回の追加アップグレードが認められる。

今回のリセットが特別なのは、パワーユニットだけでなく、シャシー規則も含めた全面刷新である点だ。新エンジン規則、アクティブエアロを含む新シャシー規則、そして完全持続可能燃料への移行が同時に行われる。

こうした中で、2026年の最大の性能差要因は何になるのか。FIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは、次のように語っている。

「最初はエンジン、特にICEが主な要因になると予想している。新規参入メーカーもいて、ICE規則も新しいため、初期には差が出るだろう」

「ただし、段階的に追いつける仕組みも用意している。性能差は一時的なものになると考えている」

さらにトンバジスは、空力面でも完全に新しい規則が導入される点を強調する。

「空力規則も全面的に新しくなる。当然、良い解決策も悪い解決策も出てくる。最初の半年から1年で、ある程度の収束が起きるだろう」

2022年規則が示した“収束”の前例
この流れは2022年レギュレーションでも見られた。当初は、レッドブルのダウンウォッシュ、フェラーリのインウォッシュ、メルセデスのゼロポッドという、3つの異なるサイドポッド概念が存在した。しかし時間の経過とともに、多くのチームがレッドブル型へと近づきつつ、独自の解釈を加えていった。

国際自動車連盟 フォーミュラ1カー フォーミュラ1エンジン

2026年のギャップは本当に拡大するのか
チーム間の差について、FIAの見方は二段構えだ。開幕当初は2025年より差が大きくなるが、規則が意図通り機能すれば、長期的には前サイクルよりもむしろ接近したグリッドになるという。

「2026年に、昨年と同じレベルでグリッドが接近するとは思っていない。ただし、収束後のグリッドは、2025年よりも近くなると予想している」

タイヤサプライヤーのピレリは、各チームの初期ダウンフォースシミュレーションに大きな差があったことを示唆している。一方で、12月に提出された2026年末を想定した最新シミュレーションでは、その差はかなり縮まっていたという。

これについてトンバジスは慎重だ。

「ある程度の自信にはなるが、詳細なデータを持っているわけではない。各チームが現在どれほどのダウンフォースや馬力を持っているかは分からない。初期には差が出るかもしれないが、最終的に収束した性能は、よりコンパクトなグリッドを生むと確信している」

“面白さ”を決めるのは何か
最後にトンバジスは、ファンにとってのエンターテインメント性は、必ずしも最速と最遅の差で決まるものではないと強調した。

「グリッドの近さを決めるのは、必ずしも1位と最下位の差ではない。1、2チームが序盤で苦しんだからといって、それが選手権の面白さを左右するわけではない」

「多くの場合、重要なのは上位半分、つまりポイントや勝利を争うチーム同士がどれだけ接近しているかだ。その点では、十分に接戦になると考えている」

ICEが主役となる2026年F1の幕開けは、短期的な差と長期的な収束、その両方を内包したシーズンになりそうだ。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟) / F1マシン