2025年F1ラスベガスGP:見逃したかもしれない8つの瞬間

ラスベガスGPはF1カレンダーの中でも最もエネルギッシュなイベントの1つであり、2025年も例外ではなかった。ストリップのネオンの下で今年も再びパーティーのような盛り上がりを見せ、オン・オフ両方であれほどのアクションが詰まった週末は、常に“ジャックポット”を届けてくれる。
マックス・フェルスタッペンが優勝をさらい、マクラーレン勢がレース後のショッキングな失格処分を受け、メルセデスの2人がダブル表彰台を獲得するなど、オン・トラックのドラマは十分だった。しかし、それだけがこの壮大なグランプリ週末の物語ではない――ここでは知っておきたい“魔法の瞬間”をいくつか紹介する。
メルセデスの喜び:ピンがF1アカデミー王者に
F1 ACADEMY(F1アカデミー)は、この週末の主役の1つとなった。理由は十分にある。シンシティでF1アカデミーのシーズン最終戦が開催されたのは今回が初めてであり、タイトル争いは最終レースのチェッカーまで持ち越され、王者が決まったのは土曜午後のラストレースだった。
最終的に2025年の王座を掴んだのはメルセデスのドリアーヌ・ピンだった。フェラーリのマヤ・ウーグを抑え、前日の圧巻の勝利に続き、レース2での5位入賞が決定打になった。チェッカーフラッグ後、ピンのメルセデスとPREMAの仲間たちがピットレーンに集まり、彼女の偉業を祝福する瞬間は、この週末を象徴するハイライトの1つだった。
特別仕様の「P1N」シャツを着たチームメンバーは、歓声と抱擁で彼女を取り囲み、涙ぐむ姿も見られた。ジョージ・ラッセル、キミ・アントネッリ、そしてトト・ヴォルフも祝福に駆けつけ、ピットレーンは“シルバーアローの笑顔の海”となった。ピンの快挙はガレージにもインスピレーションを与えたのか、ラッセルとアントネッリはその日の夜、4番手と17番手スタートから見事な2位・3位フィニッシュを決めた。
テリー・クルーズがタクシードライバーに
F1に夢中な映画・テレビスター、テリー・クルーズは、ここ数年ですっかりモータースポーツ界に溶け込んでいる。ゲスト出演からドライバーへのインタビューまで、彼はたびたびバイラルな“グリッドの瞬間”を生み出してきたが、今回はその集大成とも言えるだろう。
クルーズは、フェルスタッペン、ランド・ノリス、ラッセルをアイコニックなラスベガスのクールダウンカー――今年はレゴ製・1950年代キャデラックの等身大の明るいピンク仕様――で表彰台へ送り届ける役目を務めた。そして、フェルスタッペンの1日はここでもさらに輝いた。彼がクルーズに“あの歌”を軽く促すと、当然のようにクルーズは応えた。
パフォーマーとしての本領を発揮したクルーズは、映画『ホワイト・チックス』の名シーンを完全再現し、ヴァネッサ・カールトンの「A Thousand Miles」を熱唱。ドライバーがレゴのサングラス姿で乗車していたことも相まって、これぞ“史上最高のクールダウン”と言える瞬間となった。
ディズニーと共に走る
F1とディズニーのコラボが発表された直後のラスベガスは、まるで“地球上で最も幸せな場所”に変貌した。ミッキーマウスとミニーマウスがパドックに登場し、さらにグーフィー、ドナルドダックも姿を見せ、ドライバーもファンも大喜びだった。パレード前にはミッキー&フレンズがドライバーたちを出迎え、フランコ・コラピントはミニーを前にあまりの嬉しさに“プロポーズ”。なんというハッピーなカップルだろう。
魔法はまだ続いた。スタート前にはディズニーランド・バンドとディズニー俳優のエイドリアン・ライルズが協力し、圧巻のアメリカ国歌を披露。さらにミッキーは、クラシック音楽とF1テーマ曲を組み合わせた『ファンタズミック!』風のウォーター&ドローンショーをベラージオの噴水で演出し、ストリップにディズニーの魔法を降り注いだ。我々のプレイリストにも加えたいほどだ。
“牧師”ボッタス
さて、彼にできないことはあるのだろうか?未来のキャデラックF1ドライバーにして“サイドクエストの王”バルテリ・ボッタスは、グランプリ週末の間非常に多忙だった。メルセデスのリザーブドライバーとしての役割に加え、彼はなんと新たな役職――レゴのポップアップ結婚式チャペルで結婚式を司式する“牧師”――までこなしたのだ。
もちろん、ボッタスは自然体でこの役目をこなした。結婚式はそれだけでも忘れられないが、“バルテリ・ボッタスに結婚してもらった”となれば、そのF1好きカップルにとって一生語り継ぐ物語となるだろう。
LEGOとハローキティがグリッドに登場
F1アカデミーは新しい仲間を迎え、ラスベガスで存分に存在感を見せた。LEGOはレーシング界に旋風を巻き起こし続けており、2026年シーズンにLEGO RacingがF1アカデミーのグリッドに参戦することが発表された。ドライバーはオランダ人の有望株、エスメー・コステルマンだ。
新チーム発表に加え、LEGOは週末を通して多忙だった。F1アカデミーの表彰台では美しいレゴ花束が贈られ、ピンクのレゴ・キャデラックはコース脇に姿を見せ、レゴは恋人たちのためのポップアップ結婚式チャペルまで設置し、ラスベガスらしい雰囲気を盛り上げた。

ハローキティもシリーズの新パートナーとしてパドックに登場し、新作コラボグッズの発売を祝った。ハローキティ・ファンゾーンを主催し、各グリッドのドライバーと交流し、さらには土曜の波乱のF1アカデミー レース1のチェッカーフラッグを振る大役まで務めた。デビュー週末としては完璧だ。
エルヴィス祭り
ラスベガスのレース週末にエルヴィスのそっくりさんがいないなんてことはあり得ない。恒例となったように、ジャンプスーツにサングラス、もみあげを揃えた“エルヴィス軍団”がパドック入口でチームやドライバー、ゲストを迎えた。もはや、これがないと“ラスベガスらしく”感じないほどだ。

ラスベガス仕様のルックスに注目
2023年のカレンダー復帰以来、ラスベガスは特別リバリー、特別スーツ、そして特別ヘルメットの聖地となっている。今年も例外ではなく、多くのチームとドライバーがこの週末のためにアップグレードされたスタイルを披露した。
ウィリアムズ、ザウバー、レーシングブルズ、アルピーヌは、それぞれ街のスペクタクルを反映し、反射素材、クローム、ネオンアクセントなどを使用したスペシャルリバリーを採用。フラッドライトの下ではその輝きはまさに壮観だった。

ドライバーもラスベガスのテーマに全力で応じ、世界有数のパーティー都市にふさわしい特別ヘルメットを用意した。ルイス・ハミルトンとアントネッリはグリッターの煌めきを全面に押し出し、エステバン・オコンはマーベル風のスーパーヒーローテイスト、ノリスは大胆な新ペイント、ラッセル、角田裕毅、オスカー・ピアストリはより個人的なテイストのデザインで臨んだ。
セレブがラスベガスに大集結
地球上で最も壮大なモータースポーツショーに惹かれ、多すぎて数えきれないほどのセレブがラスベガスのパドックに姿を見せた。まず、Aリスト夫妻のビヨンセとジェイ・Zは、ハミルトンの運転するフェラーリのスーパーカーで時速320km(200mph)に達するホットラップを体験した。
映画『ウィキッド』公開直後のシンシア・エリヴォはウィリアムズのガレージを訪れ、ドライバーたちの歌唱力を評価し、引退したばかりのジェンソン・バトンとのホットラップ、さらにはカルロス・サインツのマシンに乗り込む場面もあった。
週末のラスベガスには音楽があふれていた。ルイ・トムリンソン、ケイン・ブラウン、スティーヴ・アオキ、VAVO、T-Pain、ディロン・フランシス、ZEDD、mgk、シャギーがエンターテインメントを提供。さらに、ラッパーのトラヴィス・スコット、レイ・アミ、デイヴ、歌手のレオナ・ルイス、テムズ、ヴィクトリア・ジャスティス、そしてノリスとフェルスタッペンの親友でもあるプロデューサーのマーティン・ギャリックスらが会場を彩った。
スポーツ界のスターたちも負けていなかった。WNBAの4度のMVPエイジャ・ウィルソンがグリッドに登場し、“ゴールデンカップル”のタラ・ウッドホール=デイビス&ハンター・ウッドホール、NBAゴールデンステイト・ウォリアーズのジミー・バトラー、金メダリスト体操選手スニサ・リー、テニスのテイラー・フリッツとパートナーのモーガン・リドル、サッカーW杯優勝者ブレーズ・マテュイディ、5度のNBA王者マジック・ジョンソンもレース観戦に訪れた。
映画・テレビのスターはさらに多く、中でも『F1 The Movie』主演のダムソン・イドリスはグリッドで“ホーム”のような落ち着きを見せていた。『アバター』のサム・ワーシントンはデイビッド・クルサードの決勝後インタビューを手伝い、ジェレミー・レナー、ニーナ・ドブレフ、マーク・ウォールバーグ、ベン・アフレック、ニール・マクドノー、ポール・ウェズレイ、マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ローガン・ラーマン、マデライン・ペッチ、そして『ザ・サマー・アイ・ターンド・プリティ』のショーン・カウフマン、ミニー・ミルズ、クリス・ブライニーなど、多くのスターが訪れた。
さらには、特別ホスピタリティ「F1 Garage」で料理を振る舞っていたゴードン・ラムジーも忙しい合間を縫って週末のエンターテインメントを楽しんだようだ。あなたはいくつのセレブをラスベガスのストリップ・サーキットで見つけただろうか?
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