ガブリエル・ボルトレト快進撃 「B級」と評したレッドブルF1マルコに反論

前シーズン、ザウバーは明らかにグリッド最下位のチームであり、唯一カタールGPで周冠宇が入賞したことが、無得点フィニッシュを免れる唯一の光明だった。これを受け、2024年末にチームは周冠宇とバルテリ・ボッタスの両名を放出。2026年からアウディに変わるこのチームは、大規模な刷新に踏み切った。
ニコ・ヒュルケンベルグはハースF1チームから早々に契約を得て加入。一方、もう1つのシートは長く空席のままだったが、F2王者となったボルトレトがマクラーレンのジュニア契約を解除され、最終的に2025年のレギュラードライバーとして迎え入れられた。
ボルトレトは“B級ドライバー”? マルコのコメントが物議に
レッドブルの首席アドバイザーであるヘルムート・マルコは、シーズン前にServusTVのインタビューで全ルーキードライバーについて評価を下していた。その中で、ボルトレトに対しては以下のように述べていた。
「彼は“Bドライバー”だと評価する。非常に知的なレーサーで、2023年にF3チャンピオンを獲ったが勝利は1回だけ。トラブルを避けるタイプのドライバーだ。
F2でも勝利は2回。クルマを確実にゴールさせる能力があり、戦略とタイヤマネジメントも優れているが、究極のスピードは感じない」
マルコはアイザック・ハジャーを「A評価」とし、アンドレア・キミ・アントネッリを「フェルスタッペン以来の才能」と絶賛。さらにオリバー・ベアマンも「際立った存在」と評価したが、ハンガリーGP後にフェルナンド・アロンソがボルトレトを「世代を代表する才能」と称したこともあり、マルコの評価に疑問の声が強まっている。

ボルトレトがマルコに反論「結果で証明する」
ハンガリーGP後にメディアの取材を受けたボルトレトは、マルコのコメントにこう応じた。
「気にしていない。そのコメントは見たけど、僕は挑戦が好きだ」
「彼はF1に多くの才能を送り込んだ人物だけど、同時に間違った人材も送り込んでいる。つまり、当たりもあれば外れもあるということ。僕は彼が間違っていたことを証明したいと思っている」
「でも、メディアで何を言っても彼の意見は変わらない。結果で見せるしかない。きっと証明してみせるし、いつか彼も認めることになるだろう」
「今はとにかく、自分の仕事に集中して、もっと成長し、ベストを尽くすだけ。ジュニアカテゴリーでの実績にも誇りを持っているし、F2でもF3でも、彼が育てたレッドブルのドライバーたちに勝ってきた。だから、僕にとってはそれで十分だ」

今後の展望──実力証明の鍵は“運”と“継続性”
ドライバーズランキングではヒュルケンベルグが依然23ポイント上回っているが、イギリスGPの3位表彰台という“例外的な結果”を除けば、その差はそれほど大きくない。
決勝での得点数こそヒュルケンベルグが大きくリードしているものの、予選の成績ではボルトレトが互角以上。特に最近のハンガリーGPでは、ボルトレトが自身最高位の6位入賞を果たし、アロンソをして「世代最高の逸材」と言わしめた。
経験豊富なヒュルケンベルグを相手に、ルーキーのボルトレトが予選で互角に渡り合い、レースではあと一歩の展開が続く。運に恵まれれば、今後さらに多くのポイントを獲得する可能性は十分にある。
ヘルムート・マルコの“B評価”を、果たしてどこまで覆せるか。後半戦の活躍に注目が集まる。
カテゴリー: F1 / ガブリエル・ボルトレト / レッドブル・レーシング / ザウバーF1チーム