2021年 F1レギュレーション解説 (2)接戦バトルを可能にする空力変更
2021年のF1レギュレーションでは、接戦バトルを可能にするためにF1マシンの空力コンセプトが変更される。

現在の仕様のF1マシンでは、先行マシンを追うときにダウンフォースの最大半分を失う可能性がある。2021年レギュレーションの主な目的の1つは、より緊密なレースを可能にすることだった。

数値として、2021台F1マシンはライバルに1台の車の長さでダウンフォースの15%(現在は50%に近い)、3台のマシンの長さで5%まで損失は抑えられる。それは主にグラウンドエフェクトを採用することによって実現される。

FIAのシングルシーター・テクニカルマターズ部長を務めるニコラス・トンバジスは次のように説明する。

「(2021年レギュレーションのマシンは)底面が丸ごとディフューザーになっていて、ベンチュリ構造の気流路が貫いている。サイドポッドの入り口からリアにかけてトンネルのような形状になる。2017シーズンのデータに基づくと、前走マシンに接近すると通常約50%のダウンフォースが失われるが、グラウンドエフェクトを採用すれば約5〜10%のロスに留まる見込みだ。つまり、前走マシン接近時に失われるダウンフォース量を大幅にセーブできるのだ」

F1には1970年代後半〜1980年代初頭にかけてグラウンドエフェクトが流行した過去がある。しかし、スピードの向上による危険性増加に歯止めをかけるためにこのテクノロジーは禁止され、フラットボトムが導入された。

新たなグラウンドエフェクトはベンチュリ構造のトンネルに流した空気を現行マシンより高い位置のディフューザーに向けて送る。ホイールカバーやハブなどその他の整流エレメントと連携し、前走マシンが生み出す気流がより細くより高く排出されるため、後走マシンは乱れていない気流の中で接近できるようになる。

トンバジスはさらに説明を続ける。「ふたつの強力なボーテックス(空気の渦)が、ホイールが起こした乱流を持ち上げてマシン後方へ飛ばす。結果として、マシン後方の気流はよりクリーンになる」



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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)