アイルトン・セナが使用した最後のF1ホンダV10エンジンが約3700万円で落札

このエンジンは、マクラーレン・ホンダMP4/5Bに搭載され、1990年10月の日本GP(鈴鹿サーキット)のウォームアップ・セッション、そして続く11月4日のオーストラリアGP(アデレード市街地コース)決勝においてセナが駆った実戦用ユニットである。
通常、F1で使用されたエンジンは日本国内の研究所に戻され、分解・解析によって摩耗や疲労の状態が調査された後に廃棄されることが多い。しかし、このV805号機は、すでに翌1991年シーズンから投入される新型V12エンジンの開発が本格化していたため解析対象から外れ、分解されることなく保管された経緯を持つ。結果として、アイルトン・セナが実戦で使用した最後のホンダF1 V10エンジンという極めて貴重な歴史的遺産となった。
今回の出品は、HRCが2025年4月に発表した新規事業「メモラビリア・ビジネス」の第一弾として実施されたもので、同事業は過去の貴重なレースマシンやエンジン、パーツ類を販売し、世界中のモータースポーツファンに“本物の歴史”を所有する機会を提供することを目的としている。出品されたV805号機は、HRCの熟練メカニックの手によって一基分のエンジン部品が丁寧に分解され、特製ディスプレイケースに収められた状態で提供され、さらに本物であることを証明するHRCオリジナルサーティフィケート(証明書)も付属した。
「ボナムス・クエイル・オークション」は、カリフォルニア州モントレー半島で毎年8月に行われる自動車の祭典「モンタレー・カー・ウィーク」の一環として開催される名門オークションで、世界中からコレクターやマニアが集う場として知られる。今回の落札は、ホンダとセナによる黄金時代の象徴が新たな持ち主のもとに渡った瞬間であり、F1史に残るメモラビリアの価値をあらためて示す出来事となった。
HRCは今後、このメモラビリア事業を日本国内でもオークションなどを通じて展開していく予定だ。

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