F1とFIA、抗議金の大幅引き上げを検討 レッドブルの抗議が議論の導火線
F1とFIA(国際自動車連盟)は、抗議・上訴・再審請求にかかる保証金の大幅な引き上げを検討している。これは7月23日(水)にロンドンで開催されたF1コミッションの会合で正式に議題として取り上げられたもので、抗議制度が戦略的に乱用されているとの懸念を受けた動きだ。

会議はF1 CEOのステファノ・ドメニカリとFIAシングルシーターディレクターのニコラス・トンバジスが主導し、現行の保証金額──抗議にはわずか2000ユーロ──では、根拠のない抗議を抑制するには不十分だとの認識が共有された。

レッドブルの抗議が議論の導火線に
今回の検討の引き金となったのは、レッドブルがメルセデスのジョージ・ラッセルに対して起こした2件の抗議だ。

1件目はマイアミGPで、レッドブルはラッセルが黄旗下で十分に減速しなかったと主張したが、FIAはこれを却下。
2件目はカナダGP後に提出されたもので、ラッセルがセーフティカー中に不安定な走行を行ったと訴えたが、これも退けられた。

こうした一連の抗議が、「現状では費用負担が少なすぎるため、戦略的な嫌がらせとして抗議が乱発されかねない」との不安をチーム関係者や関係筋の間で強める結果となった。

FIAは公式声明の中で、次のように言及している。

「抗議、上訴および再審請求の保証金について、金額の見直しを前提とした評価を行うことで合意された。さらに、調査開始に対する料金の導入についても議論された」

F1 国際自動車連盟(FIA)

ザク・ブラウン「言うなら金を出せ」
マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、メルセデスのトト・ヴォルフとともに、制度改革の必要性を強く訴えている一人だ。

PlanetF1のインタビューでブラウンは、レッドブルを名指しすることなく、「あるチームが、実体のない訴えを競争妨害の手段として用いている」と指摘した。

「FIAの貴重な時間とリソースが無駄にされている。われわれのような競技団体が、FIAにそんなことをさせている場合じゃないと思う」と語る。

その上で、抗議は本質的に必要な制度であるとしつつ、軽率な申し立てを抑制するために金銭的なハードルを設けるべきだと強調した。

「もし他チームに何か言いたいなら、もちろん構わない。ただし、しかるべきプロセスに従って、相応の金を出すべきだ。その金額は簡単には無視できない額であるべきだし、コストキャップの中に含まれるべきだ」

「もし疑いが事実と判明すれば、その金は返還される。しかし、根拠がなかったり、軽率だったと判断されれば、金は返ってこないし、コストキャップにも影響する」

「チームが『この抗議に2万5千ドル、あるいは5万ドルかかるけど、単なる嫌がらせのためだけにそれだけ払うか?』と悩むようになれば、その金はむしろ新しいフロントウイングかリアウイングの開発に使った方がいいと思うはずだ。現状は行き過ぎている」

ブラウンはさらに、FIAに対して誠実でない行動を取るチームに対しては厳しい対応が必要だと訴えた。

「FIAに対して不誠実な態度をとったり、根拠のない主張をするようなことは、見過ごされてはならない。本当に他チームに不正があると信じているなら、構わない。でも、言うなら金を出せ、ということだ」

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)