レッドブルF1育成のリアム・ローソンがスーパーフォーミュラで2勝目!
2023年 スーパーフォーミュラ 第4戦の決勝レースが5月21日(日)にオートポリスで行われ、レッドブルF1の育成ドライバーであるリアム・ローソン(TEAM MUGEN)が今季2勝目を挙げ、ランキングトップに浮上した。

ドライバーによってピットインのタイミングが大きく分かれたこのレースでは、終盤になってセーフティーカーが入る展開となった。

その中で早目のピットインを成功させて今季2勝目を挙げたのはリアム・ローソン(TEAM MUGEN)。2位にはタイヤ交換を遅らせた宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)。初のPPスタートだった坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)は、レースペースをなかなか上げることができず、悔しい3位となった。

朝のフリー走行後、ピットウォークやサポートレースの決勝が行われ、いよいよ全日本スーパーフォーミュラ選手権決勝のフォーメーションラップがスタートしたのは、午後3時。この時点で気温は23℃、路面温度は38℃まで上昇した。ストレートには、かなり強い追い風が吹く中、22台のマシンは1周の隊列走行に入る。そして、全車が正規のグリッドにロックオン。シグナルオールレッドからブラックアウト。41周先のゴールに向けて、22台のマシンが一斉にスタートを切った。ここでいい動き出しを見せて、ホールショットを奪ったのは、PPの坪井。だが、それよりもいい動き出しを見せたのが、予選3番手だった阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)。阪口はアウト側のラインを取ってローソンの前に出ると、2番手に浮上し、1コーナーへの進入では坪井に並びかけるぐらいのスーパースタートを見せた。一方、ローソンは加速が鈍り、3番手にドロップ。予選4番手からスタートした宮田に2コーナーまでに並びかけられる。しかし、ここはローソンがポジションを死守。これに宮田、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、山下健太(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そして大きくポジションをあげた大湯都史樹(TGM Grand Prix)と続いた。

トップに立った坪井は、ここから後続を引き離していく。ラップタイムは1分31秒代後半から32秒台前半だったが、2番手の阪口に対して5周を終えたところで1秒342、8周を終えた所で2秒140とその差は開いて行った。一方、3番手に後退したローソンは、阪口の背後に迫る。その差は数周に渡って、コンマ7秒という状況。ただ、オーバーテイクするまでにはなかなか至らなかった。この頃には、後方集団も膠着状態となり、ポジションの入れ替わりは見られない。

そんな中、タイヤ交換のウィンドウが開くと、10周を終えた所でまずは7番手を走行していた牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がピットイン。また、この周には後方を走っていた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)もピットイン。タイヤ交換を終えると、山本、大嶋、アレジの順でコースに戻る。太田のクルーは作業に時間がかかり、太田はポジションを落とすこととなった。また、この翌周には小林可夢偉(Kids com Team KCMG)がピットインしてタイヤ交換。さらにその翌周には、福住、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)がピットに入り、タイヤ交換を行なった。交換前、5番手を走っていた福住がコースに戻ったのは、先にタイヤ交換を行なった牧野の後ろ。タイヤ交換後の牧野は1分30秒台のタイムを連発していた。これを見て、13周を終えた所でTEAM MUGENのピットも動く。阪口に抑え込まれる形となっていたローソンをピットに呼び戻したのだ。クルーは5秒6という素早い作業を見せて、ローソンを牧野の前でコースに戻すことに成功。これを見て、14周を終えた所で2番手を走行していた阪口がピットイン。しかし、タイヤ交換を終えてコースに戻った時点で、ローソンの先行を許すこととなる。さらに阪口の後方には、牧野が迫り、2コーナーから3コーナーにかけて二人はサイド・バイ・サイドのバトルを展開。ここは阪口が意地を見せ、第1ヘアピンでは前を死守。牧野の先行は許さなかった。

その他のドライバーたちはタイヤ交換を引っ張る作戦に出る。しかし、この頃になるとトップの坪井は1分32秒台フラットから中盤あたりのタイム。そこに1分31秒台中盤から後半までペースを上げた宮田がジワジワと迫り始めた。これに対して、すでにタイヤ交換を終えたローソンは1分31秒前半をマーク。しかし、間もなくローソンの前には、まだタイヤ交換を終えていなかったラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)やジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)が現れ、ローソンのペースが数周に渡って鈍ることになる。ここでローソンは地力の高さを発揮し、ハイマンとブリュックバシェをコース上でオーバーテイク。さらに19周目には、チームメイトの大津弘樹(TEAM MUGEN)もかわして前に出た。この時点でトップの坪井との差は33秒672。ローソンは、さらに差を詰めるべく、21周目の1コーナーでは小高一斗(KONDO RACING)をオーバーテイク。ここから、1分31秒台のタイムを連発し、ローソンは坪井との差を削り取って行った。その差は、21周を終えたところで33秒394、22周を終えたところで32秒120、23周を終えたところで30秒885、そして24周を終えたところでついに29秒417と、30秒を切ってくる。

ここでP.MU/CERUMO・INGING陣営も動く。坪井は25周を終えた所でピットイン。チームは6秒3とまずまず早い作業を見せた。しかし、坪井がコースに戻った時にはローソンが先行。坪井はポジションを明け渡すことになった。しかし、坪井はここからファステストラップをマークしてローソンを追った。29周目の1コーナーではオーバーテイクシステムを作動させて背後に迫ったが、追われるローソンも同時にオーバーテイクシステムを作動して防御。坪井が前に出ることは叶わなかった。
 その翌周、コース上ではアクシデントが発生する。29周目の1コーナーで前を行く牧野をかわして9番手に浮上した大湯が、30周目には阪口に迫る。そして、大湯はジェットコースターストレート先の右コーナーで、アウトから阪口に並びかける。ここで大湯の右フロントが阪口の左サイドに接触。大湯はバランスを崩してスピンするとそのままコースアウト、グラベルにストップした。コース上にはセーフティーカーが導入される。

これを見て、まだタイヤ交換を行なっていなかった宮田、山下、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、大津がピットイン。ホイールが割れてしまった阪口も再度ピットに入る。

しかし、セーフティーカーに追いつくまでローソンと坪井はペースを緩める必要がなく、宮田がタイヤ交換を終えてコースに戻った時には、ローソンと坪井が先行していた。セーフティーカーの後ろに隊列ができた所でのオーダーは、ローソン、坪井、宮田、山下、牧野、佐藤、平川、福住、山本、国本雄資(Kids com Team KCMG)となっていた。

大湯のマシン回収が終わると、レースは33周終了時に再スタート。トップ5台に動きはなかったが、ここで力強いオーバーテイクを見せたのは7番手の平川。リスタート直後の1コーナーで、平川は佐藤をオーバーテイクしてみせる。平川は、さらに35周目の第2ヘアピンで、牧野もパス。あっという間に5番手まで浮上すると、さらに前を行く山下に迫った。

一方、同じ頃、激しくなってきたのが2番手争い。トップのローソンは坪井を少しずつ引き離していき、その坪井に宮田が迫った。そして、37周目の第2ヘアピンでは、宮田が坪井のインを伺う。ここは坪井が守ったが、宮田は手を緩めず。翌38周目の1コーナーでは、とうとう坪井の前に出ることに成功した。残りは4周。ここからトップのローソンに迫りたい宮田は猛プッシュを見せ、2秒523まで開いていた差を少しずつ削り取る。しかし、わずかに届かず。ローソンは逃げ切りを果たして、今季2勝目を挙げた。2位には宮田、3位には坪井。最後は3位争いも緊迫したが、山下、平川ともに前に出ることは叶わず、それぞれ4位、5位でゴールしている。以下、牧野、佐藤、福住、国本までがポイントを獲得することとなった。

スーパーフォーミュラ 第4戦オートポリス 決勝結果

1.リアム・ローソン(TEAM MUGEN)
2.宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
3.坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
4.山下健太(KONDO RACING)
5.平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
6.牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
7.佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)
8.福住仁嶺(ThreeBond Racing)
9.山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
10.国本雄資(Kids com Team KCMG)
11.小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
12.大嶋和也(docomo business ROOKIE)
13.ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)
14.大津弘樹(TEAM MUGEN)
15.ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)
16.関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
17.太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
18.ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)
19.小高一斗(KONDO RACING)
DNF.松下信治(B-Max Racing Team)
DNF.阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
DNF.大湯都史樹(TGM Grand Prix)



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カテゴリー: F1 / スーパーフォーミュラ