トト・ヴォルフ F1セーフティカー論争でFIA擁護「ショーはスポーツに従うべき」

メルセデス勢にとってはジョージ・ラッセルが2位を守る結果となった一方、新品ソフトタイヤへ交換したルイス・ハミルトンには逆転の機会が失われた。
しかしヴォルフは、エンターテインメントよりも競技規則を優先すべきだとの考えを示している。
FIAの判断を全面支持「ショーはスポーツに従うべき」
シルバーストンでは、レース終盤にマックス・フェルスタッペンがクラッシュしたことでセーフティカーが導入された。
FIAは一度「LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE(周回遅れ車両は追い越し可能)」とのメッセージを表示した後、「セーフティカーはこの周回で退去」と誤表示した。しかし、この表示はソフトウェアエラーによるもので、最終的にはF1競技規則に従い、セーフティカーは最終ラップ終了までコース上に留まった。
レース後、ヴォルフはこの判断について次のように語った。
「2021年にこれが起きてくれていたらよかった。あの時の方がはるかに重要だった」
「だが、今回は規則が守られた。それは良いことだ。時には最もエキサイティングな結末にならないこともあるが、これはスポーツなんだ」
「ショーはスポーツに従うべきであって、その逆ではない。だからFIAがあの判断を下したのは正しかった」
2021年アブダビGPとの比較
今回の出来事は、2021年F1最終戦アブダビGPを思い起こさせるものとなった。
当時はレースディレクターだったマイケル・マシが、本来の手順とは異なる形でセーフティカーを解除し、最終ラップの勝負を演出。その結果、ルイス・ハミルトンはタイトルを逃し、マックス・フェルスタッペンが初のワールドチャンピオンを獲得した。
ヴォルフは、その経験を踏まえた上で、今回は規則が厳格に適用されたことを評価している。
ラッセルも「2021年と同じような議論」と理解
ジョージ・ラッセルも、レースがセーフティカー先導のまま終了したことについて理解を示した。
「もちろん、セーフティカーのままレースが終わるのは残念だ。でも、2021年アブダビGPのことを思い出してほしい。それがレースというものなんだ」
「誰かがクラッシュすることは事前に計画できるものではないし、レース終盤だからといってF1やFIAの対応が変わるべきではない」
「過去20年間を振り返っても、セーフティカー先導で終わったレースは実際にはそれほど多くない。残念ではあるけれど、それがルールだと思う」
一方、ハミルトンはラッセルの隣で会見に臨み、「ジョージが言った通り。それ以上付け加えることはない」とだけコメントした。

ソフトウェアエラーが混乱の原因に
FIAによると、混乱の原因はレースコントロールのソフトウェアエラーだった。
周回遅れ車両の追い越し許可が出された時点で、F1競技規則第B5.13.5(c)により、セーフティカーは「その次の周回終了時」にしかピットへ戻ることができなくなる。
そのため、誤って表示された「セーフティカーはこの周回で退去」というメッセージは取り消され、結果として最終ラップまでセーフティカーが先導する形となった。
ヴォルフはこの点についても冷静な姿勢を示した。
「もちろん見せ場という意味では、ルイスがソフトタイヤで僕たちやルクレールと戦う姿を誰もが見たかっただろう」
「だが、こういう状況ではミスは起こるものだ。修正されたのだから、それで問題ない」
今回のセーフティカー運用は多くの議論を呼んだものの、ヴォルフは2021年アブダビGPの教訓を踏まえ、「規則を優先したFIAの対応こそ正しい」と明確に支持する姿勢を示した。競技性とエンターテインメントのバランスが問われるF1において、その発言は今後も議論の基準となりそうだ。
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