ザウバーF1 ウィートリー代表「ようやく本物のレースカーを手にした」

ヒュルケンベルグは今季の開幕戦オーストラリアGP(天候が変化する難しいコンディション)でポイントを獲得したものの、それ以降は極めて僅差のミッドフィールド争いの中で、彼もチームもポイントを加算できていなかった。
2026年からアウディのワークスチームへと移行する予定のこのスイスチームは、今回のバルセロナで大規模なアップグレードを投入。それには再設計されたフロア、変更されたエンジンカバー、そしてフロントウイングのエンドプレートの修正などが含まれていた。
ヒュルケンベルグとルーキーのガブリエル・ボルトレトはともに予選で一定の手応えを見せたが、ボルトレトが12番手を獲得した一方で、ヒュルケンベルグは最終セクターでタイムを失い16番手に終わった。
しかしレースでは、ザウバーの進化が本物であることが証明された。ヒュルケンベルグは好スタートを決めて序盤にポジションを9番手まで上げ、メルセデスエンジンのトラブルでアンドレア・キミ・アントネッリがリタイアした後、さらに浮上。
そして終盤のセーフティカー明けには、アイザック・ハジャーとルイス・ハミルトン(フェラーリ)を次々とオーバーテイクし、6位でチェッカー。さらにマックス・フェルスタッペンに科されたペナルティにより、最終的には5位に繰り上がった。

ザウバーにとって、2022年イモラでバルテリ・ボッタスが記録した5位以来となるベストリザルトに喜びが広がる中、ウィートリー代表は何よりも「今回のレースで示された基礎的なパフォーマンスの進歩」に満足感を示した。
「ファクトリーでは本当に多くの努力と情熱が注がれてきた。今回の結果は、そのすべてがようやく報われたような、ものすごい安堵感をもたらしてくれた」とウィートリーはオートスポーツに語った。
「これまで自分たちに何ができるかはわかっていた。だからこそ、アップグレードが期待通りに機能して、ドライバーのフィードバックも一致していて、今日ようやく"ちゃんとしたレースカー"を持てたことが嬉しかった。私がこのチームに来て以来、初めての感覚だった。本当に素晴らしい気分だ」
ウィートリーは、今回のバルセロナでのアップグレードが、ザウバーを今後のグランプリでもミッドフィールドの本格的なポイント争いに参戦させることを期待している。それはもはや「観戦者」ではなく、「参加者」になることを意味する。
「我々が戦っている中では、コンマ1秒がとてつもなく大きな差になる」とウィートリーは続けた。「何度、Q2をわずか0.01秒足りずに逃したことか。マシンに加えられるどんなパフォーマンス向上も、必ず違いを生む」
「バルセロナは、私が1991年から通っている中で常に“マシンの実力を測る真の試金石”であり、ここで速いマシンは、他の多くのサーキットでも速い傾向がある。いま、我々の“ツール”はちゃんと機能していて、相関性も取れている」
元レッドブルのスポーティングディレクターであるウィートリーは、ボルトレトの成長ぶりにも手応えを感じており、「彼の時代はきっと来る」と断言しているが、何より賞賛を集めたのは、終盤にルイス・ハミルトンをオーバーテイクしたヒュルケンベルグの走りだった。
「本当に自分の頬をつねりたくなるような瞬間だった。だって、あれは純粋なペースで抜いたんだから」とウィートリーは笑みを浮かべた。
カテゴリー: F1 / ザウバーF1チーム