メルセデスF1に新たな懸念 カナダGPのバッテリー故障はいまだ原因不明

故障したバッテリーは損傷が激しく、航空機でヨーロッパへ輸送できないほどの状態だったという。選手権首位を快走するメルセデスだが、パワーユニットに潜む未知のリスクは依然として解消されていない。
原因究明すら始められない異例の状況
カナダGPで首位を走行していたラッセルを襲ったのは、突発的なバッテリー故障だった。
オーストリア紙『Osterreich』によると、故障したバッテリーは深刻な損傷を受けており、安全上の理由から航空輸送が認められなかった。そのため現在は船便でヨーロッパへ輸送されているという。
同紙は「カナダで使用していたバッテリーは完全に失われた状態だった。航空輸送は危険すぎた」と報じている。
その結果、メルセデスのエンジニアは現物を確認することすらできていない。
「担当エンジニアは原因究明を始める前に、まず到着を待たなければならない」と同紙は伝えた。
故障したユニットはすでに交換されたものの、根本的な原因は依然として不明なままだ。
ノリスのトラブルで広がった懸念
こうした不安をさらに強めたのが、モナコGP週末に発生したランド・ノリスのマシントラブルだった。
メルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンのノリスは、金曜プラクティス中にマシンを停止。イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』は、これもバッテリー関連の問題だったと報じた。
ただし、マクラーレンのチーフデザイナーであるロブ・マーシャルは原因を断定していない。
「何である可能性もあるが、電気系統の問題だ」
このインシデントでは回収作業にも問題が発生した。マーシャルをニュートラル状態にできなかったことで、チームには3万ユーロの罰金が科された。
スチュワードによると、マクラーレンは空力的な理由からCDS作動ボタンの上に透明テープを貼っていたことを認めたという。
モナコでは結果的にメルセデスが圧倒
モナコGP週末の序盤には、フェラーリやレッドブル・レーシングが有力候補として注目されていた。
ジョージ・ラッセルも当時、フェラーリの速さについて驚きはなかったと語っている。
「多くの人は僕たちが駆け引きをしているだけだと思っていたが、もちろんそうではなかった」
一方で、レッドブル・レーシングの競争力については予想外だったと認めた。
「レッドブルは僕たちにとって驚きだった」
「このコースが厳しい戦いになることは分かっていたが、予想以上だったかもしれない」
しかし結果的には、アントネッリがポールポジションから優勝を飾り、メルセデスはモナコでも最速パッケージであることを証明した。ライバル勢が接近する場面はあったものの、選手権の主導権は依然としてメルセデスが握っている。
チームオーダー導入は依然として否定
モナコGP前の段階で、トト・ヴォルフはアントネッリとラッセルのタイトル争いに対してチームオーダーを導入する考えはないと強調していた。
「可能な限り長くチームオーダーは使わない。できれば最後まで使わない」
「我々はそれが必要だとは考えていないし、ドライバーたちには自由にレースをさせている」
ヴォルフはカナダGPで両ドライバーの争いが限界に近づいたことも認めている。
「カナダではほぼ一線を越えかけていたが、話し合いで解決した」
「キミとジョージはメルセデスに対して何を果たすべきか理解している」
「もちろんドライバーはコンストラクターズ王座よりドライバーズ王座を望むものだ。しかし、チームが最優先だ」
その後、アントネッリはモナコGPでも勝利を挙げて選手権リードをさらに拡大しており、タイトル争いの構図は当時から変化しつつある。
最大の敵はライバルではなく信頼性か
メルセデスは2026年シーズン序盤を支配している。アントネッリは5連勝を達成し、コンストラクターズ選手権でもチームは優位な立場にある。
しかし、カナダGPで発生したバッテリー故障は依然として原因不明のままだ。しかも故障した実物はまだヨーロッパへ輸送中で、本格的な調査は始まっていない。
パフォーマンス面ではライバルを上回っているメルセデスだが、選手権争いが長期戦となるなかで最大の懸念材料となるのは、ライバルチームではなくパワーユニットの信頼性なのかもしれない。
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