レッドブル・レーシング F1エミリア・ロマーニャGPで通算400戦目の節目
レッドブル・レーシングは、今週末のF1エミリア・ロマーニャGPで通算400戦目の節目を迎える。F1参戦からわずか20年足らずでこの数字に到達したのは、F1史上7チーム目の快挙となる。

この記録により、レッドブルはグランプリ出走回数でフランスの名門ルノーと並び、通算出走数ランキングでタイに浮上する。現在のトップはフェラーリ(1104戦)で、続くのはマクラーレン(976戦)、ウィリアムズ(857戦)。

ロータス(606戦)、ティレル(430戦)といった歴史的名門はすでにF1から姿を消しており、レッドブルは2026年中にティレルの記録を追い越す見込みだ。

ただし、400戦目という数字には例外がある。2005年のアメリカGPでは、ミシュランタイヤの安全性問題により、レッドブルを含むミシュラン勢全車が決勝スタートを取りやめたため、このレースは出走記録に含まれていない。

今季のF1序盤はレッドブルにとって試練の連続だった。マクラーレンが開幕6戦中5勝を挙げて勢いづく一方で、レッドブルはかつての支配的な立場を失いつつある。とはいえ、伝統のイモラ・サーキットは近年のレッドブルにとって好相性の舞台であり、過去3回の開催ではすべて勝利を収めている。今回もその流れを引き継ぎたいところだ。

この記念すべき週末に向け、Red Bull GmbHは、レッドブル・レーシングとチーム代表クリスチャン・ホーナーの400戦目を祝う特別なプランを用意している。ホーナーは、チーム創設時の2005年から現在に至るまで一貫して指揮を執ってきた人物だ。

まだ31歳だったホーナーは、故ディートリッヒ・マテシッツの決断によってレッドブルF1の代表に抜擢され、それ以降、8度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトル、そして120勝以上のグランプリ勝利という実績を積み重ねてきた。

レッドブル・レーシング F1 エミリア・ロマーニャGP

ホーナーの去就に関する憶測が飛び交う中での節目のレース
ホーナーとレッドブルにとっては祝いの週末となるはずが、一方でホーナーの進退を巡る憶測が再燃している。関係者はこの噂を「事実無根」と否定し、意図的にこの記念の場に影を落とすためのものであると見ている。

先週、イタリアの『AutoSprint』は、イモラに投入予定のアップグレードが目に見える形で戦闘力を高めなければ、タイ資本の筆頭株主チャレーム・ユウヴィッディヤからの支持を失う可能性があると報じた。

しかし、オーストリアの『OE24』はこれを否定し、ホーナーは今もタイ資本の全面的な支持を受けており、むしろディートリッヒ・マテシッツの息子であり、49%の株を保有するマーク・マテシッツ率いるオーストリア側の少数株主が不満を抱いている可能性があると伝えている。

レッドブルは今回、劇的なアップグレードパッケージを投入するわけではなく、RB21の進化を続けるための部品が投入される予定だ。サウジアラビアで始まったこの進化は、マイアミでの前後サスペンションとリアの改良、そしてフェルスタッペンが使用した新設計のフロアに引き継がれた。これらは「数キロのダウンフォース向上」をもたらしつつも、空力的な大変更とはみなされず、事前申告の必要もなかった。

イモラではさらなる小規模な改良が施される予定で、角田裕毅もフェルスタッペンと同仕様のフロアに切り替える見込みだ。

短期的な成績低下はホーナーの評価に影響せず
ただし、これらのアップデートの成否がホーナーの将来に影響することはないとされている。長年の実績に対する信頼は揺るがず、短期的な競争力低下も株主の懸念にはなっていない。

ホーナーはF1の2030年シーズンまで契約を結んでおり、今年初めには「チームへのコミットメントは揺るぎない」と語っていた。

一連の噂の中では、ホーナーの後任候補としてオリバー・オークスとフランツ・トストの名前も浮上している。

オークスは、マイアミGP後にドバイへ向かった後、消息がはっきりしていない。彼の弟ウィリアムは、現金を所持した状態での違法資金移動の容疑で逮捕されており、兄弟は共にハイテックGPの取締役に名を連ねている。なお、オークスは先週、個人的事情を理由にアルピーヌの代表職を辞任したばかりだ。

トストは2023年末までレッドブル傘下の姉妹チーム、アルファタウリの代表を務めたが、69歳となった彼はピットウォールから退く意向を示して引退している。

2026年に向けての過渡期とホーナーの役割

近年のレッドブルの支配は終わりを告げたが、チームの調子の波は、むしろ2026年に向けた過渡期にあると見られている。

技術部門の要であったエイドリアン・ニューウェイは退任し、アストンマーティンへと移籍。スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーもザウバー/アウディのチーム代表に就任している。

レッドブルはこうした変化の中で、外部からの人材よりも社内の人材に信頼を置いて、未来に備えている。

ホーナーはレッドブル・レーシングの代表に加え、エンジニアリング部門「Red Bull Advanced Engineering」およびフォードと提携する「Red Bull Powertrains」の責任者も務めており、レッドブルを完全な自社体制のF1チームへと導く役割を担っている。

なお、ホーナーがユウヴィッディヤの支持を失ったという噂は今回が初めてではない。昨年も、チーム内の女性スタッフに対する行為を巡る内部調査の際、ホーナーが支持を失い、解任されるとのドイツメディア報道がなされたが、当時も関係者はこれを「根も葉もない噂」と否定していた。

フェルスタッペンの将来もホーナーにとっての焦点
今後の課題としては、フェルスタッペンにとってレッドブルが最適な選択肢であり続けることをホーナーが示す必要がある。

フェルスタッペンはF1の2028年シーズン末まで契約を結んでいるが、メルセデスやアストンマーティンなど他チームへの高額移籍が絶えず噂されている。

仮に契約途中でフェルスタッペンがレッドブルを去ることになれば、当然ながらチームにとって大きな打撃となるが、それでもホーナーに対する株主の信頼が揺らぐことはないとされている。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / F1エミリア・ロマーニャGP