角田裕毅に最新フロアを投入 レッドブルF1が賭けに出た理由とは

4月の日本GPでリアム・ローソンの後任として昇格して以来、RB21との相性に苦しんできた角田は、このスパで自身最高位となる7番グリッドを獲得。チームメイトのマックス・フェルスタッペンとの差はわずか0.3秒だった。
今季これまでの10戦で角田の獲得ポイントはわずか7。一方でフェルスタッペンは同期間に137ポイントを稼ぎ出しており、その差はチーム内でも大きな懸念材料だった。特にイモラでは予選中のクラッシュにより新しいフロアなど重要部品を破損し、それ以降はスペック面でも不利な状況に置かれていた。
それでもスプリントイベントを終えた後、レッドブルは決勝前の予選に向けて角田にスペアの最新フロアを投入することを決断。これはリスクを伴う判断だった。予選でマシンにダメージを負えば、パルクフェルメ規定違反となり、次戦ハンガリーGPにも影響を及ぼしかねない。しかし、このアップグレードにより角田は久々にQ3進出を果たし、チームからの信頼に応えた。
角田裕毅は次のように語っている。
「全く違う仕様のマシンで予選に入ったので、難しさはありましたけど、正直アップグレードを受け取れたのは嬉しかったです。今のF1カーって本当に最後の最後まで精密に合わせ込まれているので、それをメカニックたちが短時間で仕上げてくれたのはすごいことだと思いますし、本当に感謝しています」
「もう少し前に行けた気持ちもありますけど、これから新しいパーツも入ってくるはずです。すぐには揃わないかもしれませんが、それでまた安定してポイントを取っていけるようになると思います」
アップグレードがなければQ3進出は厳しかったと感じている角田は、これまでのワンラップのパフォーマンスの積み上げがようやく結果として現れ始めたとも語った。
「過去のレースに比べて、かなり楽しめるセッションでした。チームには感謝しています。アップグレードは明らかに大きなステップでしたし、それは分かっていたことです。おかげで今までと違うポジションに来られました」
「紙の上では正しい方向に進んでいると分かっていて、そのギャップがどんどん縮まっていました。今回ようやくそれを証明できて嬉しいです。あとは決勝でしっかりポイントを獲ることが大事ですね」

チーム代表のローラン・メキースとの再会も、角田にとっては大きな支えとなっている。
「レーシングブルズ時代、いつもQ3に行くとピットウォールでメキースさんが笑顔を見せてくれて、それが励みになってました。今日もまさに同じことがあって、笑顔で“よくやった”と伝えてくれたんです。懐かしさと同時に、嬉しい瞬間でした」
メキースはF1 TVのインタビューでこう語った。
「角田にとっては、週末を通じてとても良い進歩が見られた。Q3に進出できたことで自信にもつながるはずだ。我々はパーツの供給量ギリギリの状態で、予選前に彼のマシンをアップグレードするリスクを取った。だから予選のスタートがギリギリになったのを見た人もいるだろうが、それだけの価値はあった。彼のパフォーマンスを支える助けになったことは間違いない」
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