スーパー耐久「ST-USA」新設 日米モータースポーツ交流の新たな架け橋
一般社団法人スーパー耐久未来機構(STMO)は、国内モータースポーツのさらなる発展と国際化を目的に、新クラス「ST-USA」の創設を計画していると発表した。日米モータースポーツ文化をつなぐ架け橋として、アメリカ製車両の参戦を通じた双方向の交流を促進する狙いだ。

新クラスは、2025年11月14日(金)〜16日(日)に開催される「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦 S耐ファイナル FUJI」で試験導入される予定で、「Ford Mustang Dark Horse R」と「Corvette GT3(BINGO SPORTS)」の2台が出走する。

日米モータースポーツの新しい交流形態を構築
ST-USAクラスは、アメリカ製車両やチームを日本に招聘し、日米両国のモータースポーツ文化・自動車技術の交流を目的とした新カテゴリー。

アメリカブランドの参戦によって観客層の拡大や新規チームの参入を促進し、スーパー耐久シリーズ全体の国際的認知度向上を目指す。STMOはこの取り組みを「単なる新カテゴリーではなく、モータースポーツを通じた文化交流の架け橋」と位置づけており、日本の耐久レースをより開かれた国際ステージへと進化させる構想だ。

富士での試行導入にはマスタングとコルベットが登場
試行導入の舞台となる「S耐ファイナル FUJI」では、米国公式戦「IMSA Mustang Challenge」で実戦投入されている「Ford Mustang Dark Horse R」が登場。

このマシンは市販車ベースで開発され、FIA認証装備を備える競技車両。性能と安全性の両面で既存のS耐車両に遜色がなく、若手育成のラダーシリーズとしても注目されている。

ドライバーには、デビン・アンダーソン(Mustang Challengeランキング2位/TechSport Racing)、ジュリアーノ・アレジ(SUPER GT500参戦中)、中嶋一貴(元F1ドライバー/WECチャンピオン)の3名が予定されており、ゼッケンは米国建国249周年にちなむ「#249」。

一方、BINGO SPORTSが走らせる「Corvette GT3」は、SRO GT World Challenge Asiaで活躍するCallaway Corvette C7 GT3-R。ドライバーは武井真司、笹原右京らが予定されている。

耐久レースの国際化を象徴する戦略的布石
ST-USAの創設は、スーパー耐久が「国内シリーズ」から「国際耐久交流戦」へと進化するための重要な第一歩といえる。これまでのS耐は多様な車両カテゴリーを受け入れる懐の深さが特徴だったが、今回の取り組みはその国際的拡張版だ。

アメリカではIMSAを中心としたGTレース文化が確立しており、MustangやCorvetteといった象徴的モデルの参戦は、日本の耐久ファンにとって強い訴求力を持つ。さらに、アレジや中嶋といった国際経験豊富な日本人ドライバーが組み込まれている点も、日米交流を象徴する人材配置といえる。

試行段階では賞典外となるものの、この取り組みが成功すれば、将来的にはアジア全域、さらにはIMSAとの技術・運営協力につながる可能性もある。ST-USAは、国内耐久シリーズの「次の進化形」を提示する試金石となりそうだ。

今後の展望:S耐が世界と交わる新時代へ
STMOは今後も、モータースポーツを通じた国際文化交流を継続的に推進する方針を掲げている。

今回のST-USA試行導入が成功すれば、スーパー耐久シリーズは「国内発・国際型耐久シリーズ」として新たな地位を確立する可能性が高い。

2025年の富士でのトライアルは、まさにその序章といえるだろう。

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カテゴリー: F1 / F1関連