中村紀庵ベルタ、2025年イタリアF4選手権チャンピオンを獲得

ミサノで開催された第7大会レース2で、最大のライバルであるガブリエル・ゴメス(USレーシング)がスタートできなかったことで、中村のタイトルが確定した。
ミサノで開催された第7大会レース2で、最大のライバルであるガブリエル・ゴメス(USレーシング)がスタートできなかったことで、中村のタイトルが確定した。
ライバルのマシントラブルでタイトル決着
ガブリエル・ゴメスはこのレースでポールポジションからのスタートを予定していたが、アウトラップ中にマシンがストップ。オルタネーターの故障により再スタートできず、ピットに戻された。
中村は残り4レースすべてでゴメスが勝利しても、1ポイントを獲得すればシリーズ王者が決まる状況にあったため、このトラブルによって事実上タイトルが確定。ゴメスはその後1周だけ走行したものの、再びピットインしてリタイアとなった。
ウェルドンが2連勝、プレマ勢が上位独占
ゴメスの欠場により、プレマ・レーシングのセバスチャン・ウェルドンが実質的なポールポジションを得てスタート。チームメイトのニューマン・チー、アンドレア・デュペが続いた。
中村は序盤でカビール・アヌラグに抜かれるも、アヌラグがマキシミリアン・ポポフとの接触で後退した際に両者をかわし、プレマ勢の1-2-3-4体制を形成した。
レースはウェルドンが独走し、2位チーに約4秒差をつけて今大会2勝目を挙げた。これによりウェルドンはゴメスを抜いてランキング2位に浮上。
中村はデュペをかわして3位に上がり、2位チーを追い詰めたが、チーがポジションを守り切ってフィニッシュした。
クツコフが自己最高位、プレマ勢に割って入る
マッフィ・レーシングのキリル・クツコフは序盤に5番手へ浮上し、その後デュペをかわして4位でフィニッシュ。これが自身最高のリザルトとなった。
続いてマキシミリアン・ポポフが5位に入り、デュペはエマヌエーレ・オリビエリの追撃を振り切って6位でチェッカーを受けた。

中村紀庵ベルタ、欧州育成の頂点で示した完成度
中村紀庵ベルタの2025年イタリアF4タイトル獲得は、プレマ体制の強さとともに、彼自身の安定した速さとレースマネジメント能力を証明する結果となった。
ライバルのトラブルという形ではあったが、開幕戦から一貫して上位を維持し、圧倒的なポイント差でタイトルを決めた中村の戴冠は必然といえる。
イタリアF4はフェラーリやレッドブルの育成ドライバーも参戦する世界最高峰のF4シリーズとして知られ、多くのF1ジュニアが通過する登竜門カテゴリー。その中でタイトルを手にした中村は、次なるステップであるFRECA(フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン)やFIA F3への昇格が有力視されている。
日本人とスロバキア人のルーツを持ち、欧州育成体系で育った彼の今後のキャリアには、すでに国際的な注目が集まっている。
カテゴリー: F1 / F1関連