リアム・ローソン レッドブルF1とフォードの新たな協業で隠れた才能を発揮
生まれてこのかたラリーカーを運転したことがなかったリアム・ローソンは、わずか5周で世界ラリー選手権(WRC)のステージ勝者を本気にさせる走りを見せた。与えられた課題は、タイム差を15秒以内に収めるというものだったが、実際には1秒未満に迫った。

長年世界ラリー選手権でパートナー関係にあるレッドブルとフォードは、その提携をF1にも拡大し、2026年にデビューするレッドブルのパワーユニットを共同開発している。

その節目を前に、現在レッドブルのジュニアF1チームであるレーシングブルズに所属するローソンは、7月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで課題を与えられた。

ローソンは、レッドブル・モータースポーツの動画で今回のチャレンジの内容を説明した。

「今回の課題は、プロのラリードライバーがグッドウッド・ラリーステージで出したタイムに、15秒以内で迫ることだ」

「すごく狭いサーキットで、大半は木々に囲まれていて、車に慣れるための周回は4周しかない」

「大きな問題が2つある。ひとつは、ラリーカーを運転するのが初めてだということだ」

リアム・ローソン レッドブル F1グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、WRCドライバーのジョシュ・マクリアーン(左)と話すリアム・ローソン(右)

もうひとつの問題は、彼が運転することになったのが、世界でも最速クラスのラリーカーであるWRCラリー1仕様のフォード・プーマだったことだ。

Mスポーツ・フォードのジョシュ・マクリアーンが基準タイムとなる2分26秒75を記録。ローソンは助手席に乗り、その走りを間近で見学したが、マクリアーンがアクセル全開にすると「holy sh*t(なんてこった)」と声を上げた。

「うわ、最高だ!めちゃくちゃ滑る」と、サーキットを一周する間に付け加えた。

走行が終わり、基準タイムが示されると、ローソンは続けた。
「低グリップって言われたから、もっと遅いのを想像していた。いや、これはやばい。こんなにグリップするなんて予想外だった」

「本当にすごくルーズなコーナーがいくつかあった。ピッチコントロールがすごくて、コーナー進入で常に車の姿勢を変えている感じだった」

ローソンとマクリアーンが運転席を交代すると、ローソンはいきなりエンストしてしまい、出だしは理想通りとはいかなかった。しかし、この場でまさに実地で学んでいく状況だった。

練習走行に入ると、すでに観客の度肝を抜く走りを披露。初めての計測で2分36秒25を記録し、すでにマクリアーンとの差を10秒以内に縮めた。

4周目の終わりには、その差はわずか2秒にまで縮まった。

「こんな感覚をレースカーから得たことはなかった。これは本当に楽しい。アドレナリンが止まらない…信じられない」とニュージーランド出身のローソンは語った。

そして迎えた公式計測ラップ。15秒以内どころか、わずか5周の経験でラリードライバーを上回るのかという期待が高まった。

結果は惜しくも届かず。しかし、その差はわずかにして2分27秒25だった。

わずか5周でステージ勝者に肉薄する走りを見せたことは、ローソンが持つ生来の才能を証明するものだった。

年初にはわずか2戦でレッドブルの正ドライバーから降格するという厳しいスタートだったが、そこからの巻き返しは力強い。レーシングブルズに復帰して以降は20ポイントを獲得し、レッドブルで自身の後任を務める角田裕毅に10ポイント差をつけている。



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カテゴリー: F1 / リアム・ローソン / レッドブル・レーシング / フォード F1