アストンマーティンとホンダの2026年F1シーズンに向けた“秘密兵器”
2023年シーズン序盤8戦で躍進を遂げた後、アストンマーティンF1チームは2シーズンにわたり中団に低迷してきた。タイトル獲得を目標に掲げるチームにとって、これらの結果は満足できるものではなかった。

アストンマーティンの流れを変えるため、チームオーナーのローレンス・ストロールは一連の重要な人材獲得を主導した。シルバーストンのチームには、エイドリアン・ニューウェイ、エンリコ・カルディーレ、そしてアンディ・コーウェルといった重鎮が加わっている。

2026年を見据えると、チームにとって最大級の課題のひとつが、初めて“マニュファクチャラー”として戦うことだ。ホンダとのパートナーシップは不可欠であり、すでに2026年に向けた体制変更を促している。

しかし、見落とされがちでありながら極めて重要な存在が、アストンマーティンの燃料サプライヤーであるアラムコだ。

アストンマーティンとホンダがアラムコとの提携で得る可能性
新レギュレーション下では、多くの要素がシーズンを通じて影響を及ぼす。空力面では、ライバルに対して優位性を築くため、エンジニアは有利な領域を見極めて活用するという循環的な作業に直面する。

それでも、2026年を真に変革的なものにしているのはパワーユニットの側面だ。

2022年以降、エンジンの信頼性は非常に高く、リタイアは年々減少している。このほぼ“防弾”とも言える信頼性により、レースは予測しやすくなり、セーフティカーの出動頻度も減ってきた。

しかし、この状況は変わる見込みだ。2026年エンジンは、従来型から大きく方向転換した存在となる。こうした重要な主戦場を見据え、アストンマーティンは2023年初頭にホンダと2026年レギュレーションに向けた提携に合意した。

アストンマーティンの視点では、日本のメーカーと組むことで開発プロセス全体を完全に掌握できる。もしマクラーレンF1やウィリアムズF1のようにメルセデス製パワーユニットを使い続けていれば、トップレベルのエンジンを享受できたかもしれない。

しかしその一方で、ブラックリーのファクトリーから供給されるコンポーネントに合わせてマシン設計を調整する必要があった。アストンマーティンは、ホンダとの提携を見過ごせない機会だと判断した。

この協業の可能性をさらに高める変数が燃料サプライヤーである。F1グリッド全体では、チームごとに異なるサプライヤーが燃料を供給している。

アストンマーティンの供給元がアラムコである点は注目に値する。2026年には持続可能燃料が使用され、これはF1にとって大きな前進となる。

要するに、燃料そのものが持続可能な供給源から統合的に設計される必要がある。一定の規定はあるものの、サプライヤーにはこの要件を満たすための大きな自由度が与えられている。

特定の燃料サプライヤーが他よりも効率的なブレンドを開発する可能性があると見られており、この分野での開発自由度はレギュレーションでも認められている。エンジンとの相互作用次第では、サプライヤーによっては追加の馬力を引き出すこともあり得る。

ここで、アストンマーティンがアラムコと組む利点が生きてくる。アラムコはすでに持続可能燃料の使用経験を有しており、昨シーズンにはF2マシンに供給していた。

そのため、アラムコは2026年用燃料に多大な投資と開発を行ってきた。ホンダ製エンジンにさらなるエネルギーとパワーをもたらす燃焼特性を持つ燃料を供給することが期待されている。

マニュファクチャラー各社が多方面で開発を進めるシーズンにおいて、この分野はアストンマーティンとホンダが静かに自信を持てる要素だ。信頼性と効率性に優れた持続可能燃料を生み出してきた豊富な実績は、アストンマーティンにとって貴重な武器となり得る。

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1 本田技研工業 HRC

ニューウェイ、カルディーレ、コーウェルが担う役割
もちろん、2026年シーズンに向けた課題はパワーユニット開発だけではない。アストンマーティンは目標達成のため、革新的な空力パッケージを投入しなければならない。

この点で違いを生む存在として期待されているのがエイドリアン・ニューウェイだ。66歳の名デザイナーは、かつてフェラーリF1のテクニカルディレクターを務めたエンリコ・カルディーレと協働している。

昨季終盤には、アンディ・コーウェルがチーム代表からチーフ・ストラテジック・オフィサーへと配置転換された。この変更により、彼はホンダとの連携や開発により深く関与する立場となった。ニューウェイは、この調整がアストンマーティンの上層構造を最適化する最良の方法だと見ている。

ホンダは過去5年で数々のタイトルを獲得してきた実績あるマニュファクチャラーであり、レッドブル・レーシングとの成功はアストンマーティンが再現を目指すものだ。2026年は、その基盤を築く年となる。

総じて、ホンダはメルセデスに挑む最有力メーカーのひとつと見なされている。アラムコとの独自のパートナーシップといった利点が決定的な差を生むかどうかは、時が示すことになる。

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1