キミ・アントネッリ 冷却ベストが“加熱”トラブル「本当に苦しかった」
メルセデスF1のキミ・アントネッリは、初日にF1の最新安全装備である冷却ベストの不具合により「体を温める」結果となったことを明かした。アントネッリはスプリント予選でルイス・ハミルトン(フェラーリ)にわずか0.006秒差で敗れ、SQ2で敗退している。

アメリカGPの舞台となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、今週末に入ってから異常な高温に見舞われ、FIAは週末を「ヒートハザード(熱危険)」として指定。スプリント予選開始時には気温が33℃に達した。

今季から導入された冷却ベストは、氷水を循環させることでドライバーの体温を下げる仕組みで、2026年には着用が義務化される予定だ。しかし、ウィリアムズのアレックス・アルボンによれば、ドライバーの間では「着用を義務化すべきではない」との意見も多く、賛否が分かれているという。

アントネッリはこのベストをスプリント予選で装着したが、思わぬトラブルに見舞われた。

「FP1の時点で少し体調的に苦戦していた」とアントネッリは説明する。「でもクルマの感触は良くて、SQ2では自信があった。冷却ベストを着けていたんだけど、トラブルが起きてしまって、冷やすどころか温められてしまったんだ。だからセッション中は本当に苦しかった」

SQ3進出目前まで迫りながらも、ターン3でのロックアップが命取りとなった。

「なぜあんなにブレーキロックが多かったのか、原因を突き止めないといけない」とアントネッリは続ける。「SQ1はすごく良かったのに、2回も大きなロックアップをしてかなりタイムを失った。SQ3に行けるペースはあっただけに残念だ。今は土曜に向けて集中するよ」

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

アントネッリを襲った“新装備の落とし穴”

F1は2025年シーズンから暑熱対策を重視した安全装備を次々と導入している。だが今回のように冷却システムが逆効果をもたらすケースは極めて異例だ。気温33℃という環境下で、氷水が正常に循環しないトラブルは、むしろドライバーの集中力を奪うリスクにもなりかねない。

とはいえアントネッリはマシンバランスへの自信を口にしており、SQ1で見せた速さを考えれば、決勝やスプリントでの巻き返しに期待がかかる。ルーキーながら冷静に原因分析へと向かう姿勢は、今後の成長を予感させるものだ。

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カテゴリー: F1 / アンドレア・キミ・アントネッリ / メルセデスF1 / F1アメリカGP