キミ・アントネッリ F1冬休みに“ヘンリー・ショブリン”の偽名で極秘カート参戦
レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが、今年初めに「フランツ・ヘルマン」の偽名でニュルブルクリンクのGTカーをテストし話題を集めたが、今度はメルセデスの若きスター、アンドレア・キミ・アントネッリが“覆面ミッション”を敢行した。

F1のウインターブレイク最初の土曜日、アントネッリは英国ミルトンキーンズにあるデイトナ・モータースポーツのカートコースに、突如として姿を現した。その名は「ヘンリー・ショブリン」。

メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターとして長年チームを支えてきたアンドリュー・ショブリンへのオマージュとみられている。

F1ルーキーイヤーで示した存在感
アントネッリは2025年、ルイス・ハミルトンの後任としてメルセデスに加入。F1デビューからわずか6戦目のマイアミGPスプリント予選で初ポールポジションを獲得すると、数戦後のカナダGPで初表彰台を手にした。

シーズン中盤の試練を経て後半戦で再浮上し、ブラジルGPでは自己最高位となる2位、ラスベガスGPでは17番手スタートから3位まで追い上げる走りを披露。最終的にドライバーズランキング7位でルーキーシーズンを終えた。

雨のカートレースで圧倒的最速
そのアントネッリが、F1のオフに入った直後もレース勘を鈍らせていないことを示したのが、今回のカート走行だった。

デイトナ・モータースポーツによると、アントネッリは事前ブリーフィングでも目立たず、キャップを深く被り、静かに隅に座っていたという。しかしレースが始まると状況は一変した。

ウエットコンディションの中で、アントネッリはレース最速ラップを記録。2位以下に3秒差をつける圧倒的な速さだった。ベストラップは1分24秒5で、過去に同コースを走ったウィリアムズのアレクサンダー・アルボンのタイムよりも5秒以上速かった。

正体が明かされた瞬間
デイトナ・モータースポーツはSNSで当日の様子を次のように伝えている。

「今日の午後、“ヘンリー・ショブリン”と名乗る静かな若者が、デイトナ・ミルトンキーンズにSODI D40を走らせにやってきた。キャップを低く被り、騒がず、ブリーフィング中も隅に座っていた」

「ライトアウト。レース後、ピットレーンでヘルメットが外され、グリッドの全員が、自分たちが誰とレースをしていたのかを悟る。キミ・アントネッリがパビリオンに戻ってきた」

「ウエットでレース最速、2位以下に3秒差。1分24秒5。アレクサンダー・アルボンより5秒以上速い」

「デイトナでは、よくある午後のひとコマだ。退屈な日はない。」

投稿には、アントネッリがリーダーボードを指さして笑顔を見せる写真も添えられていた。そのボードには、角田裕毅、アイザック・ハジャー、さらには2026年キャデラックF1加入が決まっているセルジオ・ペレスなど、F1ドライバーの名前が並んでいる。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

フェルスタッペンに続く“覆面ドライバー”
このサーキットには、元レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナーや、俳優トム・クルーズ、元イングランド代表主将のサー・アラステア・クックといった著名人も訪れてきた。上位にはアイザック・ハジャーと角田裕毅の名前も。ハジャーが角田裕毅を0.01秒上回っている。

フェルスタッペンに続き、アントネッリもまた偽名でサーキットに現れ、その実力を隠しきれなかった。F1ルーキーとして印象的なシーズンを送った19歳は、オフシーズンに入ってもなお、“弱肉強食の世界”での鋭さを失っていないことを、カートコースで証明してみせた。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / アンドレア・キミ・アントネッリ / メルセデスF1