角田裕毅 レッドブルのF1マシン攻略に糸口「シミュレーターで大発見があった」

今季は不安定なRB21を抑え込むのに苦戦し、これまで5回しか入賞できずランキング17位と厳しいシーズンを過ごしてきた角田裕毅にとって、今回の結果は数少ない明るい材料となった。同じく以前このマシンを駆ったリアム・ローソンも苦戦を強いられた経緯がある。
対照的に、チームメイトで世界王者のマックス・フェルスタッペンはここまで17戦で4勝を挙げ、モンツァとバクーで連勝し、ランキング3位につけている。
角田裕毅の好転は偶然ではなく、モンツァで投入された新しいフロアによるマシンの進化と、新代表ローラン・メキースの技術的アプローチ変更に呼応している。メキースはドライバーからのフィードバックを重視し、モンツァではフェルスタッペンの要望に沿ったセットアップが実現。角田裕毅自身もシミュレーター作業を通じて大きな発見を得た。
「間違いなくそこで何かを解き放ちました」と角田裕毅は語った。「このアプローチを始めたばかりで、もちろん今のマックスのレベルには達していないかもしれませんが、一歩一歩進んでいて、以前のレース週よりも差は縮まったと思います」
「間違いなくポジティブですし、自分自身が数週間にわたって努力を重ねてきたことの改善を示せたと思います。追加のシミュレーター作業などが少し実を結んだと感じています。このまま続けていきます」
角田裕毅は特にロングランペースの改善を強調。予選ではすでに6度Q3進出を果たすなど速さを見せてきたが、決勝での進歩を実感しているという。

バクーでの走りはメキースの目にも留まり、彼は特にレース終盤に角田裕毅が選手権首位のランド・ノリスを抑え込んだ点に感銘を受けた。
メキースは「彼にとって今季最高のレースだと思う。予選でも強く、決勝ではさらに強かった。細かい数字はエンジニアが正しく出すだろうが、彼は時に2〜3コンマ、稀に4コンマ、マックスから離れていただけだった。マックスは誰も寄せ付けないペースで走っていたので、非常に深刻なペースだった」と語った。
「我々は彼がマクラーレンやフェラーリに対して必死に守らなければならないと予想していたが、その必要はなかった。彼は実力でそこにいた。ランドは後ろに留まり、あまりプレッシャーをかけられなかった。だからこれは単なる最高リザルトではなく、我々と一緒での最高のレースペースだった」
今回のバクーは、角田裕毅がレッドブル残留を目指す上で追い風になり得る。クリーンな週末を通じて、彼の実力が明確に示されたからだ。これはモンツァでのフロア損傷によるノーポイントレース後に、メキースが「クリーンサンプルが必要」と述べていた課題に応えるものだった。
メキースは「我々にとって最も重要だったのは、このクリーンサンプルを得ることだった」と語り、夏休み直前のハンガリーでの17位完走を引き合いに出した。「ブダペストで厳しい時間を過ごした後、彼は休暇に行かずにすぐシミュレーターに戻り、『次の日もチームと一緒に作業する』と言った。彼はレースのない週末も常にエンジニアと作業をし、ドライビングを磨いている。今回の進歩を示せたことを嬉しく思う」
レッドブルはフェルスタッペンの2026年のチームメイトを10月末に発表する予定で、レーシングブルズの新人アイザック・ハジャーが昇格の最有力候補とされている。しかしバクーで自信を得た角田裕毅がシーズン終盤に強さを見せれば、昇格前の評価を取り戻す可能性も残されている。
メキースは「ユウキが好調を維持しているのを見るのは良いことだ。彼はそれに値する。だから我々は落ち着いていられる。なぜ急ぐ必要があるだろうか?ドライバーのスピードは消えるものではない。彼らは成長する。そしてこれは自信のスポーツであり、今週末のユウキの自信は非常に高かった。彼は本当に非常に強かった。我々にはまだ時間がある。アブダビまで待たないが、数戦は残されている」と語った。
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