角田裕毅 F1エミリア・ロマーニャGP「F1で5年目なのにやってはいけないミス」

レッドブル・レーシングに昇格して以降、角田裕毅にとって自身の立場を固めるうえでも重要な一戦だったが、予選Q1の序盤でマシンを大破させる結果となり、大きな痛手を負う形となった。
予選Q1での1周目、角田裕毅はイモラ・サーキットのバリアンテ・ヴィルヌーブで縁石を乗りすぎ、マシンのコントロールを失ってバリアに激突。一時的に宙を舞って横転する衝撃的なクラッシュとなった。
幸いにも自力でマシンを降り、メディカルセンターでの診察でも問題はなかったが、RB21の四隅すべてが損傷するほどの大きな事故だった。
「体は大丈夫です。ありがたいことに無事でした」と語った角田裕毅だったが、その直後には強い後悔を口にした。
「でも同時に、あんな早い段階で、しかもまったく不要な状況で終わってしまったことが、本当に悔しいです」
「本当に自分が愚かでした。必要以上に無理に攻めすぎてしまいました」
「マシンに大きく変更を加えたのに、それをきちんと理解しないまま攻めてしまって…。あの段階であれだけプッシュする必要はまったくなかったと思っています」
自らの判断ミスだったと繰り返す角田裕毅に、レッドブル・レーシングからのプレッシャーが影響したのではないかという問いも投げかけられたが、これについては明確に否定した。
「チームは、できる限りプレッシャーを感じないようにサポートしてくれてます」
「Q1を1セットのタイヤで通過しようとして、ちょっと“ヒーロー”になろうとしてしまったんですけど、それは不要なことでした」
「まだRB21の反応を完全に理解できていなかったのに、高速も低速も含めて、その挙動を十分に把握しないまま攻めてしまって…。特に大きな変更を加えたあとは、段階的にビルドアップすべきでした」
「ある程度いけると思っていたのは正直あって…。でも今思えばそれはただの過信でしたし、結局のところ経験不足が出たと思っています」
「ただ、あのコーナーで起きたバランスの崩れには理由があって、自分でもそこは理解しています」

さらに角田裕毅は、週末を通じてマシンバランスを掴み切れなかった難しさについても語った。日本GP後にレッドブル・レーシングへ移籍してきたばかりという背景もあり、RB21にはまだ適応途上にある。
「週末を通してアップダウンが激しかったです。あるセッションでは感触がよかったのに、次のセッションでは急にペースが落ちたりして」
「FP3も、正直なところ、自分でもどうしてああなったのか分かってません。もちろん全部をまとめきれなかったのはありますけど、それにしても全体的にペースが悪すぎました」
「原因がはっきりしない中で大きく変えて臨んだ予選では、ターン1、ターン2、ターン3まではすごく感触がよくて、『これはいけるかも』と思った矢先にクラッシュしてしまいました」
「クルマ自体は仕上がっていたと思うので、それを無駄にしてしまったのが本当に悔しいです。あんな愚かなミスで自分から壁に突っ込んでしまって…」
「もうF1に入って5年目ですしね。Q1でクラッシュしたのは本当に久しぶりなんですけど、それにしても今日のような形で終わったのは、ちょっと受け入れがたいです」
今季の角田裕毅は、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブル・レーシングから出場しており、これまでの4戦で6ポイントを獲得。予選では最高8番手、決勝でも目立った活躍は少なく、マイアミGPではスプリントと決勝を通してわずか2点を加算したにとどまっている。
一方で、F1エミリア・ロマーニャGPの予選では、マックス・フェルスタッペンが2番手を獲得し、オスカー・ピアストリとジョージ・ラッセルに挟まれるかたちでマクラーレンとメルセデスを相手に上位争いを展開。角田裕毅とは対照的に、厳しい状況でも結果を残す姿が浮き彫りとなった。
そして今回の角田裕毅のクラッシュは、かつてセルジオ・ペレスが陥っていた「必要のないQ1クラッシュ」を想起させる。焦りや無理な攻めが原因でクラッシュを招くという悪循環は、チーム内での信頼を損ねかねない。
セルジオ・ペレスにはまだ“ピーク”と呼べる活躍があったが、角田裕毅は今のところ、目立った成果が練習走行に限られているのが実情だ。今後、実戦の中で何らかの結果を示さなければ、せっかくリアム・ローソンを2戦で降ろしてまで託されたこのチャンスは、“ポイント拾い要員”として消化されてしまう。それは、レッドブル・レーシングが角田裕毅に託した未来ではない。
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