FIA 世界耐久選手権 トヨタ自動車 WEC
TOYOTA GAZOO Racingは今週末、2018年から2019年にかけて開催されるFIA 世界耐久選手権(WEC)の開幕戦となる、スパ6時間レースに臨む。

今季からチームに加入したフェルナンド・アロンソは、このレースがWECのデビュー戦になる。TS050 HYBRID 8号車のドライバーは、昨年優勝を挙げたセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴にアロンソが加わる。昨年に続き、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名が7号車で出場する。

チームの本拠地であるドイツ・ケルン市から約120km離れたベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで行われる開幕戦は、5月5日(土)が決勝日になる。高性能、高効率を追求したハイブリッドパワートレーンを携えたTOYOTA GAZOO Racingにとって、耐久レースの新たな時代を切り開く戦いがこの地から始まる。

トヨタは、LMP1クラスで6年にわたってハイブリッド車両によるワークス体制のライバル勢と競い合ってきたが、今シーズンは、8台のプライベーターのノン・ハイブリッド車両と戦うことになる。ハイブリッド車両に対し、新たなライバルには1周あたり49%多い燃料量、37.5%多い瞬間燃料流量、そして45kg軽い最低重量が許されている。

トヨタのハイブリッドパワートレーンをより一層進化させ、これだけのハンデを乗り越えてライバル勢との戦に臨まなければならない。実際、2012年の参戦開始当時に比べてル・マン24時間レースでは、35%もの燃費向上を遂げた。高効率を実現する技術は、トヨタの市販車にも導入され、「もっといいクルマづくり」に活かされる。

TOYOTA GAZOO Racingはこの新たなシーズンへの挑戦に準備すべく、冬季オフシーズン中のテストを精力的にこなし、長い伝統を持つスパでの通算3勝目という目標に向けて、これまでに通算25,000km以上を走破してきた。

トヨタはこれまでWECで6度、スパでのレースを戦っている。スパはTOYOTA GAZOO Racingチームの拠点があるドイツ・ケルン市から車で1時間半ほどの近さであり、チームにとっては、富士に次ぐ第2のホームコースとも言える。

スパでのWEC第1戦は例年、6月に行われるWEC最大のイベントであるル・マン24時間レースの前哨戦として、ライバルと直接対決する最後の準備の機会となる。今年のスパはまた、2018年から2019年にかけて全8戦で戦われ、2019年のル・マン24時間レースまでの長いシーズンの開幕戦という注目の一戦でもある。

エンジンとハイブリッドシステムを合わせて最大で約1000馬力の出力を発揮するTS050 HYBRIDは、このスパに、ル・マン24時間レースでも使用する予定の低ダウンフォース空力仕様の車両で挑む。この仕様は、コーナーでの空力的なグリップを犠牲にしても、スパやル・マンの長いストレートでの最高速に重点をおいている。昨年、ステファン・サラザンの駆る低ダウンフォース空力仕様の9号車は、予選では高ダウンフォース仕様の車両を上回るラップタイムを叩き出した。

新たなシーズンの第1戦は、5月3日(木)の午後に2回設定されている90分間の練習走行で幕を開ける。4日(金)は最終練習走行に続いて予選が行われ、5日(土)午後1時半(日本時間午後8時半)に6時間で争われる決勝レースのスタートが切られる。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing (WECチーム代表):
いよいよ開幕戦を迎えます。チーム全員は勿論のことファンの皆様も心待ちにされていたことと思います。LMP1クラスで新たな我々のライバル勢との性能差には、まだわからない部分が多くありますが、ファンの皆様に白熱したレースをご覧いただけることを願っています。ル・マンの優勝が我々の最大の目標です。冬のオフシーズンテストでは、徹底的に走り込みを行って参りましたが、実際のレースは別物です。スパの開幕戦は、ル・マンの準備のための重要なステップでもあります。昨シーズンは3連勝で締めくくり、我々の競争力をお見せすることが出来ました。この流れを継続して今週末も表彰台の真ん中を狙いたいと思っています。

小林可夢偉(7号車):
スパはとても素晴らしいサーキットです。たくさんのレースファンの皆様や関係者の方々に応援を頂く中で走るのはいつも楽しみです。今回はシーズンの開幕戦ということで、ライバル勢とのパフォーマンスの状況を直接確認できる最初の機会になります。ル・マンへの準備の一部としても重要な一戦です。我々の目標は常に勝利であり、チームは我々が最高の状況で戦えるよう、冬季オフシーズンから懸命な努力を続けてくれており、それに応えたいと思っています。

マイク・コンウェイ(7号車):
スパは大好きなサーキットのひとつで、またあそこに戻ってレースを戦える日が待ちきれません。低ダウンフォース仕様でスパを走ることになるというのも楽しみですし、オー・ルージュを高速で駆け上るのは間違いなく最高の気分でしょう。私はスパでのイベント自体が好きです。ファンの皆様はとてもレースに熱心で雰囲気も最高ですし、更に天気が良ければ格別です。我がチームは昨年スパでとても好調でした。我々の7号車はセーフティカーのタイミングなど不運に見舞われてしまったものの、8号車は見事優勝しました。オフシーズンの冬の間、多くの作業をこなして準備してきましたので、シーズン開幕は本当に楽しみですし、良い結果が得られることを望んでいます。

ホセ・マリア・ロペス(7号車):
もちろん開幕戦を迎えるのはとても楽しみです。冬のオフシーズンの間はとても、とても長く感じました。それだけに、TS050 HYBRIDで実際にレースを戦うのを心待ちにしていました。シーズンへ向けた準備のためにハードワークを続けてきましたので、高い競争力を期待しています。昨年、私自身は負傷のためにスパでのレースは参加できなかったので、LMP1カーでスパのレースを戦うのは初めての経験になります。この素晴らしいコースをTS050 HYBRIDで走れると言うだけでわくわくしますし、チームのためにも良い結果となるように頑張ります。

中嶋一貴(8号車):
私にとって7シーズン目のWECになりますが、記憶に残るシーズンになってくれればと思っています。スパでは様々な思い出がありますが、セバスチャン、アンソニーと共に勝利を挙げた昨年のレースが一番です。今年は昨年とは異なる、低ダウンフォースの空力仕様で臨むので、その違いがどうなるのか楽しみにしています。我々が速いことを信じていますし、ル・マンへ向けて重要なステップになるはずです。冬の間にフェルナンドとは共に多くのテストをこなしてきましたが、彼と一緒に実際のレースに臨むのはこれが初めてです。我々にとっても、ファンの皆様にとっても、本当に楽しみなレースになるでしょう。

セバスチャン・ブエミ(8号車):
ついに2018-19のWECスーパーシーズンが始まります。スパは、開幕にふさわしいサーキットであり、ここで早くレースをしたい思いが膨らみます。私はここスパで2014年と2017年の2回勝っていますが、どちらも素晴らしい思い出です。今回は、フェルナンドをチームメイトに迎える最初のレースとなりますが、本当に楽しみにしています。一昨年、昨年とスパ6時間は素晴らしい天候に恵まれてきたので、今年も同じように好天の下で戦えることを祈っています。先日のポールリカールのテストで、ライバル勢と比べても我々のTS050 HYBRIDは上々の仕上がりを示せたと思っていますが、実際に、本当のレースを戦うのはこれからです。

フェルナンド・アロンソ(8号車):
長い冬の間のオフシーズンテスト中、チームは本当に頑張ってくれました。このチームとFIA世界耐久選手権の開幕戦に臨めるのは素晴らしい気分です。ル・マンもあと1ヶ月半後に迫り、私自身、身が引き締まる思いです。私にとって初めてのWECレースへ向けた準備はとてもエンジョイできましたし、セバスチャン、一貴をはじめ、チームのドライバー達と共にこなしてきたテストは素晴らしい経験でした。そこに強力なチームスピリットを感じました。チーム全員がひとつの目標に向かって努力を続けており、この一体感を実際のレースウィークに体験できるのが本当に楽しみです。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)