トヨタ、2026年WEC反撃へ進化型ハイパーカー「TR010 HYBRID」を公開

最初のシェイクダウンは10月8日と9日にポール・リカールで行われ、カモフラージュ仕様ながら初の走行が実施された。その後、マシンはドイツ・ケルンにある風洞へ戻され、さらにFIAおよびACOのホモロゲーション施設として使用されている米ノースカロライナ州ウィンシアでの作業が続いた。
12月10日と12日には、2026年シーズン開幕戦(3月28日開催)を迎えるカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで追加テストが実施されている。今後も走行は継続され、今月中には再びポール・リカールでのテストが予定されている。
そして東京オートサロン(1月9日〜11日)を目前に控えたこのタイミングで、トヨタは2026年型ハイパーカーの公式画像を初公開した。
最大のトピックは「名前」の変更
今回明らかになった最大のニュースは、技術的な詳細ではなく組織とブランド名の変更だった。
トヨタ自動車とToyota Racing GmbHは、これまで「Toyota Gazoo Racing Europe GmbH」として知られていた欧州研究開発拠点(ドイツ・ケルン)を、2026年1月7日付で旧称の「Toyota Racing GmbH」に戻した。
また、トヨタは2016年から2025年までFIA World Endurance Championshipにおいて「Toyota Gazoo Racing」の名で参戦してきたが、2026年シーズンからは新たに「Toyota Racing」ブランドとして参戦し、改良型ハイパーカー「TR010 HYBRID」を投入する。
リバリーが示す過去と現在のつながり
TR010 HYBRIDのカラーリングは、前日に発表されたヤリスWRCのリバリーと非常に近いデザインとなっている。両者の視覚的なつながりは新しいものではなく、ヤリスがシルバー基調へ変更されるまで、昨年までも共通性が保たれていた。
さらにTR010のカラーは、2025年ル・マン24時間で走った7号車GR010 Hybridのデザインからも強い影響を受けている。このデザインは、トヨタGT-Oneへのオマージュとして知られている。

トヨタLMHにとって「3度目」の大規模進化
トヨタは2021年にハイパーカー規定で最初に参戦したメーカーであり、その開発の歩みは度重なる技術規則変更の影響を大きく受けてきた。
デビュー直前には最低重量が70kg引き下げられ、重量配分の再設計を余儀なくされた。こうした経緯から、GR010はすでに2度の大規模アップデートを受けている。
2021〜2022年のオフシーズンには、フロントタイヤ幅を31cmから29cmへ変更し、リアには34cmを採用。その翌冬にはさらなる軽量化と大幅に改善された重量配分が導入され、空力、シャシー、パワートレインも洗練され、ドライバビリティが明確に向上した。この際、トヨタは使用可能なホモロゲーション・ジョーカーのうち2つ目を使ったとされている。
今回のアップデートは、トヨタLMHにとって3度目の主要進化にあたる。名称変更はあったものの、このマシンは2026年で6シーズン目の実戦投入となり、ハイパーカー時代では極めて異例の長寿命を誇る。トヨタが2021年から2027年の間に許可されている5つのEvoジョーカーのうち、少なくとも1つを今回使用したことは確実とみられる。
BoP時代に、なぜ進化が必要なのか
性能調整がBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によって管理される中で、なぜトヨタは大きな改修に踏み切ったのか。その狙いは単純な最高速向上ではなく、ドライバビリティ、挙動の一貫性、そして規定ウインドウ内で最適な位置を確保することにある。
GR010は、ダウンフォースを重視しすぎてドラッグ面で不利になっていた可能性が指摘されている。
数カ月前、Toyota Racing Europe副社長の中嶋一貴は、この点について次のように語っている。
「最高速だけを見ているわけではない。ただ、ル・マンではやはりトップスピードが重要だと分かった。デュアルバンドBoPで修正されるはずだったが、まだ差があった。空力や、よりドライバーに優しいクルマづくりと合わせて、そこは改善しなければならない」
当初、トヨタはこれらの変更を2025年に投入する予定だったが、風洞ホモロゲーション作業がスイス・ヒンウィルからウィンシアへ移されたことで、計画は遅延した。
「今年のル・マンが、さらに踏み込む決断をさせた」と中嶋は認めている。

外観から見える変更点
トヨタは今回、名称変更以外の詳細な技術情報を公表していない。ただし、外観からいくつかのポイントは読み取れる。
初めてトヨタのデザイン部門がハイパーカーの造形に関与しており、その影響はヘッドライト形状に最も顕著に表れている。市販車やコンセプトモデルのデザイン言語を想起させる意匠だ。
さらに、フロントボディワークは全面的に再設計され、スリム化が図られている。これは直線速度向上を狙ったものと考えられる。同様の改良はサイドポッドやリアウイングにも施され、リアウイングはガルウイング状の独特な形状となった。
2026年型トヨタの使命
スポーティングな理由であれ、それ以外であれ、トヨタにとって2025年シーズンは極めて失望の大きいものだった。最終戦バーレーンまで表彰台ゼロが続き、コンストラクターズランキング2位を確保した経緯はいまだ説明が難しい。
係数1.5が適用されたバーレーンでの1-2フィニッシュにより、トヨタはポルシェとキャデラックを一気に逆転したが、それでも2018–2019シーズンから守り続けてきたタイトルを失った事実は変わらない。
トヨタには明確な雪辱の動機がある。この改良型GR010は反撃の中核として投入され、8度目のコンストラクターズタイトル、そして何より2022年以来となる6度目の24 Hours of Le Mans制覇を目標としている。
それ以外の結果は、失敗と見なされることになる。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
