SUPER GT
2019年のSUPER GT 開幕戦『OKAYAMA GT 300km RACE』決勝レースが、4月14日(日)に岡山国際サーキットで行われた。

強い雨という厳しい状況で行われた決勝レースは2度の中断があり、結局天候の回復が見込めずに31周を終えた時点でレース終了となった。この結果、GT500クラスは、No.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)が、GT300クラスはNo.96 K-tunes RC F GT3が優勝となった。なお規定周回に達しなかったため、このレースのシリーズポイントは半分となる。

開幕戦を迎えた岡山国際サーキットは、予選日までは好天に恵まれたものの、決勝日はどんよりとした曇り空の下で迎えた。そして、午前のスケジュールが進むにしたがい、予報の通りにポツリポツリと雨が落ちてくる。

午前8時20分から行われたFIA-F4選手権の第2戦決勝はウエットレース宣言が出され、またピットウォーク直前などもパラパラと雨が落ちていた。午前10時35分からの選手紹介が終わると、雨が一気に降り出し、路面は完全にウエットに。決勝の1時35分から始まったウォームアップ走行では水煙が上がるほど雨量は増えた。時には少し雨足が弱まったりと、今後の天候が読めない状況が続いていた。

そして、決勝レースは雨、路面はウエットの中、セーフティカースタート宣言が出される。午後2時30分に44台が隊列を作り、セーフティカーが先導しての追い抜き禁止でレースはスタート。そのまま3周に渡ってセーフティカーでのラップは進行する。
 午後2時37分、セーフティカーが先頭から離れ、4周目にグリーンフラッグが振られ、ポールポジションのNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)を先頭に、全車が加速をしていく。バックストレートで、2番手を走行するNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹)をNo.1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)が捉え、2番手の順位が上がったところで、GT300車両のクラッシュがあり、セーフティカーが導入。ふたたびレースはペースを落とすこととなる。

そして10周目終わりでリスタート。トップを行く23号車に1号車が仕掛けていき、トップは11周目の2コーナーで入れ替わる。2番手に下がった23号車はさらにバックストレートで、後続の2台、12 号車、そしてNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大)に並ばれ、17号車が2番手に浮上。ヘビーウエットではなく、通常のレインタイヤを装着した2台のGT-Rは徐々に順位を下げることとなり、その後ろには、さらにNo.8 ARTA NSX-GT(伊沢拓也)も迫り、この3番手争いをよそにトップ2台は逃げていく。

8号車が12号車を捉え4番手に浮上した直後、13周目にモスSコーナーでGT300車両の多重クラッシュが発生。再度セーフティカーが導入され、そのままレースは赤旗中断に。GT500クラスの15台全車と、GT300車両がホームストレートに並んで停車。多くのドライバーがいったんマシンを降りてピットに戻っていく。そして約45分間にわたって中断されたレースは、15時40分に「5分前」ボードが出され、15時45分、セーフティカーの先導で再び動き出す。そして19周終わりに再スタートとなった。

再び水煙を上げながら各車がハイスピードでコースを駆け抜けていく。23号車は残念ながらこの雨脚の強まりには勝てず、8号車がパスしてHonda NSX-GTがトップ3台体制を築く。4番手から7番手にはGT-Rというオーダーに変わっていった。

トップ2台は徐々に接近していたが、24周目に入ったホームストレートエンドで、後ろから追い上げた17号車が1号車と軽く接触。結果、1号車がスピンを喫し、この日4度目のセーフティカー導入となる。さらにこの走行中にも、GT300車両がクラッシュ。ピットではドライバー交代の準備を行うチームもあったが、このクラッシュとひどくなる雨で、再び赤旗が出て、レースは再び中断となった。

レースが止まったままの午後4時45分、主催者と監督のミーティングが行われ、レースは安全を期してやむなく中止することが決定された。そして午後5時、まだレース再会を待っていたファンに、GTアソシエイションの坂東正明代表自らが外に出て中止を伝えた。そしてドライバーおよびチーム監督、さらにスタッフがホームストレート上に並んで、この雨の中、熱心に応援を続けた多くのファンに感謝の挨拶を行った。そして、雨中の激戦を終えたマシンが並べられたホームストレートは、ファンに開放された。

レースは31周を周回して赤旗終了となったが、規定によりレースは30周目の順位で確定。トップだった17号車は、1号車との接触を「危険なドライブ行為」と判定され、レースタイムに34秒を加算するペナルティを受けて14位に降格となった。  優勝はNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)となった。2、3位にはNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、No.12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/ジェームス・ロシター)とNISSAN GT-R NISMO GT500が並んだ。LEXUS LC500勢の最上位は、6位のNo.19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井翔。走行は坪井)だった。なお、レース周回が所定の75%に達せず終わったため、規定によりシリーズポイントは半分が与えられることになった。

2019年 SUPER GT 開幕戦 岡山 予選 (GT500)
Po.No.マシンドライバーTire
18ARTA NSX-GT野尻智紀/伊沢拓也BS
223MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI
312カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/ジェームス・ロシターBS
43CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平/フレデリック・マコヴィッキィMI
524リアライズコーポレーション ADVAN GT-R高星明誠/ヤン・マーデンボローYH
619WedsSport ADVAN LC500国本雄資/坪井翔YH
716MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH
838ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS
936au TOM’S LC500中嶋一貴/関口雄飛BS
1064Modulo Epson NSX-GTナレイン・カーティケヤン/牧野任祐DL
1139DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキコバライネン/中山雄一BS
1237KeePer TOM’S LC500平川亮/ニック・キャシディBS
136WAKO’S 4CR LC500大嶋和也/山下健太BS
1417KEIHIN NSX-GT塚越広大/ベルtラン・バゲットBS
151RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/ジェンソン・バトンBS

GT500クラス
No.8 ARTA NSX-GT
野尻智紀
昨日の予選では出番がありましたが、今日のレースはピットでモニターを見続けていただけでした(苦笑)。見ていただけだったのに、本当に(レースが終わるまで)長かったように感じました。優勝できて嬉しい気持ちよりも、まずはケガをしてレーシングドライバーとしての活動に影響の出るようなトラブルが出なくて良かったと思いました。僕自身は走ってなかったけど、それほど、今日のコンディションは酷かったように思いました。その酷いコンディションの中で、僅かなチャンスを見逃さず2台のGT-Rを抜いたのも、伊沢(拓也)さんだからできたこと。モニターで見ていて『僕だったら(この状況で伊沢さんのように)追い抜くことができただろうか?』と考えさせられるほどでした。それだけに、伊沢さんとチーム、そしてHondaとブリヂストン、皆で獲った優勝だと思います。次回の富士は、自分たちのウェイト(ハンディ)がどうのこうのではなく、“Hondaとして富士をどう戦うか?”がポイントになると思います。富士でいいパフォーマンスを見せることができ、連勝できたら最高ですね。

伊沢拓也
5番手スタートだったので(前の4台が巻き上げる)ウォータースクリーンがひどくて、何も見えず、どこを走っているのかもわからないような状態でした。でも野尻(智紀)選手が昨日の予選で頑張って5番手のグリッドを手に入れてくれたことと、序盤で前を行くGT-Rの2台を抜くことができたのが、結果に繋がったんだと思います。
(繰り上がっての)優勝という結果も、Honda NSX-GTの2台が接触したことが原因なので、個人的には複雑な思いもあります。でも『シリーズで良いスタートが切れた』と考えることにします。今年のGT500クラスは、これまで以上に3メーカーのポテンシャルが拮抗しています。そして去年はNSX-GTにとって、富士は苦手としていたコースです。だから、ハーフポイントでウェイトハンディが20kg(本来のポイントなら40kg)だからというのは関係なく、NSX-GT勢として富士で多くのポイントを獲りたいと思っています。だから20kgは確かにタイムに影響するかもしれませんが、セットアップやドライビングで対処して、去年以上にいいレースにしたいです。

GT300クラス
No.96 K-tunes RC F GT3
新田守男
「優勝できて良かったけれど、今日は本当に厳しいレースでした。2番手スタートだったので、前からのウォータースクリーンで、路面のコンディションが良く分からなかったほどです。高木(真一)選手(No.55 ARTA NSX GT3)が少しミスした時に思い切って抜くことができ、トップに立ってからははっきりとコースのコンディションが確認できました。セーフティカーが出てから、アクシデントに遭った車両を見て、その度に『大変だったんだろうなぁ』と感じていました。僕の周りはあまり激しいバトルがなかったけれど、何度もセーフティカーが出て、2度も赤旗でレースが中断されましたが、その度に『集中力を切らさないように!』と自分自身に言い聞かせていました。今回はハーフポイントなので、ウェイトハンディも20kg。だから『次回の富士でも連勝ができるのでは?』と言われましたが、公式テストから富士は厳しかったんです。だから個人的には、これまでも富士を得意としていた55号車(ARTA NSX GT3)が来ると思います。(隣にいる野尻、伊沢を指して)お隣の8号車は連勝して、ARTAが(両クラスの)ダブル優勝すると喜ばれそうですね(笑)。

阪口晴南
「結局、レースでは乗らなかったのですが、昨日の予選で(自分の走りによって)フロントローを確保できていたこと、それがチームの優勝に貢献できたんだと思い、とても嬉しいです。僕がデビューレースで勝てたことより、多くのファンの方が応援に来てくれたチームのホームコースで勝つことができたのが、本当に嬉しいです。(レースで)新田さんがスタートしてからはずっと、ピットでモニターとにらめっこしていました。時間の流れるのがこんなに遅いと感じたのは、初めてですね。新田さんが高木選手を抜いた瞬間は、まさにあそこしかないポイントだったと思います。もうシンプルに『本当に凄いな!』と思いました。次回の富士に関してはテストで苦しんだので、僕も新田さんと同じで55号車が来ると思います(苦笑)。でもシーズンを考えたら、決して捨てるわけにもいきません。苦しいなら苦しいなりに、1ポイントでも多く取れるよう、新田さんやチームと一緒に頑張ります」

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