角田裕毅 レッドブルF1残留の保証なしも前進に手応え「しっかり走るだけ」

「正直なところ、自分が何を間違っているのか分からないんです。もっと深く見ていく必要があって。本当に、どうしてこんなに遅いのか理由を見つけるのが難しくて…」
これは今月初めのオーストリアGPで最下位に終わった後、角田裕毅が語った言葉だ。それまで日本人ドライバーは、マイアミのスプリントで6位に入るなど速さの片鱗を見せていたが、昨年スズカでリアム・ローソンの代役としてレッドブル入りして以降、グランプリでの最高位は9位にとどまっていた。
同期間にチームメイトで現チャンピオンのマックス・フェルスタッペンは、2勝と2位2回を記録していた。
これは角田裕毅本人にとっても、そしてレッドブルにとっても厳しい現実だった。シーズン序盤にレーシングブルズで好調を示していたこともあり、データ上でも25歳の角田裕毅が速さを持っていることは明白だった。にもかかわらず、結果には結びついていなかった。
当然、レッドブルのセカンドシートが“回転ドア”のようになっている現状では、角田裕毅の将来に疑問符がつくのも無理はない。
しかし、ファンにとって救いなのは、角田裕毅が気持ちを切らさずに前を向いていることだ。これは部分的には、チーム上層部からシーズン終了までの起用が保証されていることも影響している。
スパでのレッドブルのエンジニアリング・ハット裏のテラスで、角田裕毅は落ち着いた様子でこう語った。
「毎レースごとに進歩してるって自信を持って言えます。ただ、まだ自分が求めている結果には届いていないですし、そこは悔しいですね」
「もちろん改善できる部分はあるんですけど、間違ったことをしているとは思ってないです。ちょっとしたところをもっと良くできればと思いますけど、それも学びの一つですよね。今やっていることをしっかり継続していくのが大事だと思っています」
「毎レースで新しいことを学べていて、特にマックスからはすごく多くのことを吸収できてます。毎回のレースで、今の自分にあるパフォーマンスに少しずつ積み上げていく形で良くなってきてますし、調子は悪くないです」
「あとはそれらをもっと正確にまとめていくことと、自信をしっかり持って取り組んでいくことが必要ですね。自信も少しずつついてきてますけど、F1はやっぱり簡単じゃないので」

メキース新代表との再会も追い風に
角田裕毅にとってもう一つの追い風となっているのが、新たにレッドブルのチーム代表に就任したローラン・メキースの存在だ。
メキースは、角田裕毅が昨年から今年前半まで所属していたレーシングブルズ時代のボスでもあり、両者の関係はサーキット内外で非常に良好だった。
「本当に大きな出来事でした。まさか来るとは思ってなかったので驚きましたね。今年の最初の数戦と、去年1年を通して一緒に仕事してましたけど、本当にナイスガイです」
「彼はいつも僕のところに来てくれて、フィードバックを聞いてくれたり、どうやったらクルマを良くできるかを一緒に考えてくれていました。本当に楽しい時間だったんですよ」
「そういう関わり方ができたからこそ、チームとしても良くなっていったと思ってます。もう一度一緒に仕事できるのが楽しみですし、彼ならきっといい方向に導いてくれると思います」
「このチームにはしっかりとしたDNAがあると思ってます。過去にこのチームが強かったのも、それがあったからだと思いますし、そこを変える必要はないです。彼の新しい視点でさらに良くなっていけると思ってます」
初の“フェルスタッペン仕様”で予選7番手
もう一つの好材料は、スパでスプリントと予選の間に新しいフロアを投入したことだ。
フェルスタッペンと同仕様のこの新型フロアは、練習走行なしでセットアップも大きく変わった状態で導入されたが、角田裕毅はそれを乗りこなし、予選7番手という自身のレッドブル加入後ベストリザルトを記録した。
決勝ではピットインのタイミングに関するチームのミス(チーム側も非を認めている)によってポイント圏内から脱落してしまったが、角田裕毅自身は「フィーリングが良くなった」と語っている。
「今の目標は明確で、Q3進出とポイント獲得ですね。毎回ポイント圏内に入ることが、今のはっきりした目標になってます」
来季以降もレッドブルに残るためには、最低限それを続けていく必要がある。2026年にはレッドブルが初の自社製パワーユニットを搭載するだけに、チームとしても着実なラインアップを求めるはずだ。
角田裕毅は、自身の将来についての話はまだ聞いていないという。
「まだそういう話は来てないんです。どうなるかは分からないですけど、今は目の前のレースに集中して、できる限りのパフォーマンスを出していくだけですね」
「いい流れがつかめれば、自然と結果もついてくると思ってますし、僕にできることはしっかり走ることだけなので」
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