クリスチャン・ホーナー レッドブルF1代表解任で100億円超の補償金を要求か
クリスチャン・ホーナーがレッドブルのF1チーム代表職を突然解任されたことで、5000万ポンド(約100億円)を超える巨額の補償金が発生する可能性が浮上している。

51歳のホーナーは、20年間にわたりレッドブル・レーシングを率いてきたが、現地時間水曜に「業務からの解放」が公式に発表された。現在もレッドブルGmbHの従業員として在籍しているものの、今後は退職に関する契約上の条件交渉に焦点が移るとみられている。

英『Telegraph』によれば、ホーナーの長期契約は2030年末まで有効とされており、現時点で5年半の契約期間が残っている。2023年の年収はレッドブル・テクノロジー社の会計報告によると892万ポンドで、前年の804万ポンドから増加。これはF1チーム代表としては最高額であり、2024年に同チームがドライバーズタイトルを獲得したことで、さらに増加したと考えられている。

ホーナーが残りの契約期間に基づく全額の補償を要求した場合、その金額は5000万ポンドに達する可能性がある。

クリスチャン・ホーナー F1 レッドブルクリスチャン・ホーナーとレッドブルCEOのオリバー・ミンツラフ

ホーナーは自身の早期解任に対する正当な補償を得るべく、法的助言を求めているとされる。ホーナーは、8度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトル、124勝をチームにもたらしただけでなく、レッドブルおよびその姉妹チームであるレーシングブルズの商業的成功にも大きく貢献してきた。

レッドブルは支払い要求に対抗姿勢
レッドブル・レーシングの親会社であるレッドブルGmbHは、この全額支払い要求に対して法的に対抗する姿勢を取るとみられている。同社は、ホーナーが依然としてモータースポーツ界で有能な人物として高く評価されている点を踏まえ、「再就職可能性」を主張する構えだ。

2024年には女性社員との不適切行為をめぐる内部調査の対象となったものの、ホーナーは疑惑を否定し、調査の結果シロとされた。しかし、その一年間の騒動が最終的に彼の立場に影響を与えたのは否めない。

レッドブル側の弁護士は、ホーナーの解任が「正当な理由によるもの」として契約上の支払い義務を回避できるか、または評判に関する条項が補償額に影響するかどうかを含め、複数の法的手段を検討しているという。

ホーナーはセバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンら、複数の世界王者を育成・成功に導き、レッドブルをF1の新興勢力から最強チームの一角へと押し上げた。

しかしその突然の解任と、補償をめぐる交渉の不透明さは、すでに2026年の大規模なレギュレーション変更を前に不安定化しているレッドブル内部にさらなる混乱をもたらすことになる。

ホーナーが巨額補償を得るのか、それとも長期にわたる法廷闘争に突入するのか――その行方がレッドブルの将来像に大きな影響を及ぼすのは確実だ。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング