レッドブルF1 RB21の開発を継続 スパで新型ウイング&冷却系改修
マクラーレンがチーム選手権で大きなリードを築き、さらに2026年の新レギュレーションが迫る中にあっても、レッドブルはその栄光に甘んじることなく、RB21の開発を続けている。

ベルギーGPの舞台スパ・フランコルシャンに持ち込まれたのは、フロントウイング、フロントサスペンションのフェアリング、サイドポッド、エンジンカバーといった広範囲に及ぶ空力アップグレードだ。2戦前のオーストリアで導入された新型フロアとも補完し合う形となっている。

今回のフロントウイングは、第1および第2フラップの形状が見直され、ウイング全体としてのダウンフォースを増加させるように圧力分布が調整されている。これにより、CFD(数値流体力学)上でも明確な性能向上が確認された。

レッドブルのトラックサイド・エンジニアリング責任者ポール・モナハンは次のように語った。

「これは継続的な開発の一環だ。CFDでの成果が見え、我々には開発に費やす時間と予算があった」

マックス・フェルスタッペンは週末を通して新型フロントウイングを使用。スプリントではややダウンフォースが控えめな仕様だったが、日曜の決勝では雨を見越して、リアウイングのサイズを拡大。そのバランスを取るため、フロントのトップフラップがより大きい仕様へと切り替えられた。

スプリントではシルバーストンと同仕様の低ダウンフォース型リアウイングが用いられた一方、決勝では鈴鹿で初使用された大型のリアウイングが採用された。

レッドブル・レーシング上段左:サイドポッドとトップボディの境界ラインを変更した新型ラジエターインレット 上段右:スプリント用の低ダウンフォース型リアウイング 下段左:決勝用の大型リアウイング(鈴鹿仕様) 下段右:新型フロントサスペンションのフェアリングにより空力効率が向上

冷却能力と空力効率の最適なバランスは、インレットとアウトレットの面積配分に左右される。今後迎えるハンガリーGPをはじめとする高温環境下を見据え、冷却能力を拡大しつつ空力性能を損なわない新構成が採用された。これは新型サスペンションフェアリングによってインレット周辺の空気圧を有利にコントロールする設計によるものだ。

なお、新型フロントウイングは、サスペンションフェアリングやサイドポッド、エンジンカバーの開発とは別プロジェクトとして進められていた。フェアリングはシャシーとの接合部の形状が大きく変更されており、より効率的なエアフロー誘導が可能となっている。

インレット形状は縦型と横型の構成が統合され、上部がより広く取られた。これによりラジエターの冷却能力が向上する一方、排気口(アウトレット)のサイズは従来のままに抑えられている。

モナハンは開発タイミングについても説明した。

「現実的に、シルバーストンからスパまでの3週間が唯一の好機だった。そうでなければ、サマーブレイク前の限られた時間か、夏休みを挟んでのドタバタの中で対応するしかなかった」

新型インレットに合わせてサイドポッド形状も見直され、これに伴いエンジンカバーも変更。サイドポッドとエンジンカバーの分割ラインも新たなデザインとなっているが、冷却ルーバーの構成は従来通り維持されている。リアサスペンションのカバー類も新たな形状へと合わせられた。

マクラーレンに対して324ポイントもの大差をつけられている状況にもかかわらず、レッドブルが戦いを諦めていないことは、こうした包括的なアップデート群が如実に物語っている。スパのスプリントで勝利を挙げたフェルスタッペンは、その成果を早速証明してみせた。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング