クリスチャン・ホーナーのレッドブルF1退任説が崩壊 否定報道が続出

ホーナーとチームを揺るがした2024年のスキャンダルとリーダーシップ不安は現在ではほぼ沈静化しているが、その影響でエイドリアン・ニューウェイをはじめとする有力人材が離脱し、現在のマシン性能問題の一因とも言われている。
そうした中、レッドブルの顧問ヘルムート・マルコの独占インタビューを多く掲載してきたオーストリアのKleine Zeitungが、「ホーナーが今週末のエミリア・ロマーニャGP後に辞任する」との衝撃的な報道を行った。
しかし、今週のある英紙は、レッドブル内部の情報筋による「その噂は事実ではない」とのコメントを紹介。ドイツ最大の新聞であるBildもこの件に関して「確認できない」と明言し、ホーナー退任の憶測を報じつつも懐疑的な立場を示した。
同紙によれば、レッドブル共同CEOのオリバー・ミンツラフは「現状には不満を抱いているものの、現在の体制を信頼し続けている」とされる。
実際、ミンツラフはサウジアラビアGPでのインタビューで次のように語っていた。
「私はすべての従業員を完全に信頼している。それはマネジメントチームにも当てはまる。ヘルムートとクリスチャンの両者は最大の成功を目指しており、そのためにすべてを犠牲にする覚悟がある」
また、Kleine Zeitungも「ホーナーは職を失う理由がまったくないどころか、むしろその逆」だとしており、退任の可能性を強く否定している。
記事はさらに続ける。
「51歳のチーム代表であるホーナーは、すでにレッドブル社内での昇進を視野に入れた動きを進めている。昨年からすでに、ホーナーが経営陣入りするとの噂もあった」
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハもSky Deutschlandで「エミリア・ロマーニャGPがホーナー最後のレースになるとは想像しにくい」と語った。
「私自身、そのような話は一切聞いていない」と述べたシューマッハは、むしろチームのテクニカルディレクターであるピエール・ワシェの方が職を心配すべきだと指摘した。
「彼にはもはや、マシンを正しく仕上げる能力がないと見なされている」

さらにシューマッハは、ニューウェイ、ジョナサン・ウィートリー、ウィル・コートニーらの離脱についても、ホーナーの責任ではないと擁護する。
「いずれにせよ、人材の流出は避けられない時期が来る。それはメルセデスでも同じだった」
「何が起ころうとも、彼が全員を引き留めるのは不可能だった」
とはいえ、ホーナーが依然としてチーム内のパフォーマンス低下や「内部の不穏」などの深刻な課題に直面しているのも事実だ。
「それは確かにそうだ」と、6勝を挙げた元F1ドライバーは述べたうえで続ける。
「でも、じゃあ明日ホーナーの代わりを務められる人物がいるかと言えば、そう簡単な話ではない」
「経験という点では、フランツ・トストが一時的にチームを率いることも可能だろう。1~2年の移行期に適任かもしれないが、年齢を考えると長期的な後任にはならない」
なおBildによれば、レッドブルが今週末のエミリア・ロマーニャGPに投入するマシンアップグレードの目玉は「新しいフロントウイング」とのこと。
そしてシューマッハは次のように警鐘を鳴らした。
「ここから結果が出なければ、スポンサーや株主たちもいずれ不安を感じ始めるだろう」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング