角田裕毅 F1評論家が苦言「フロントウイングを言い訳にするのは甘い」
角田裕毅の苦戦が2025年F1第14戦ハンガリーGPでさらに深刻化した。レッドブルに昇格して以来、予選Q1敗退、ピットレーンスタート、そして決勝では17位フィニッシュという三重苦に見舞われ、7戦連続ノーポイントというチーム史上初の記録を更新してしまった。

レース後、角田裕毅は中盤でフロントウイングのガーニーフラップが脱落し、空力バランスが崩れたことを原因に挙げ「レースは事実上、あの瞬間で終わっていた」と説明したが、元F1ドライバーで現在は解説者のマルク・スレールはこの発言を「言い訳」に過ぎないと断じた。

マルク・スレール「フロントウイングのせいにするのは甘い」
「フロントウイングの欠陥だけでは言い訳にならない」──マルク・スレールは『Motorsport-Total』の取材にそう語り、角田裕毅の主張を一刀両断した。

「仮にガーニーフラップが脱落していたとしても、それがレースに決定的な影響を与えたとは言えない。問題はそれ以前から明らかだった。角田裕毅はレース序盤からまったく速さを示しておらず、後方集団に埋もれていた。仮にマシンが完璧でも、ポイント争いに絡める内容ではなかったはずだ」

事実、角田裕毅は決勝をピットレーンからスタートし、すぐに隊列の最後尾に追いついたものの、アルピーヌ勢(ピエール・ガスリーとフランコ・コラピント)の背後で長時間走行し、抜け出すことができなかった。

さらに、サウバーのニコ・ヒュルケンベルグは5周目にピットインし、その時点では角田裕毅から15秒以上後方だったが、角田裕毅の最初のピットストップ(20周目)の直前には前に出ていた。その後、角田裕毅はソフトタイヤで2スティント目に臨んだが、巻き返しの兆しは見られず、37周目にハードタイヤに交換しても順位は動かなかった。

数字が物語る不振の現実 7戦ノーポイント、4度のQ1敗退
角田裕毅の低迷は、成績の数字にも如実に表れている。今季5月のエミリア・ロマーニャGP(イモラ)で10位入賞を果たして以来、モナコとハンガリーで17位、オーストリアで16位、イギリスで15位と、下降傾向が続いている。特にオーストリアとイギリスでは、レッドブルのF1参戦20年の歴史で初めて、ドライバーが2戦連続で最下位フィニッシュという不名誉な記録を樹立した。

また、角田裕毅は今季ここまでQ1敗退が4回。すべてレッドブルに昇格してからの記録だ。序盤5戦ではバーレーンGPでの9位を含め7ポイントを獲得していたが、それ以降の7戦では一度もポイントを得られず、獲得ポイントとノーポイント完走の数が並んでしまった。

角田裕毅 F12025年F1ハンガリーGPで走行するレッドブルの角田裕毅

レッドブルのコンストラクターズランキングも厳しい状況だ。現在マクラーレンが559ポイントで首位を独走し、フェラーリ(260pt)、メルセデス(236pt)に続いて、レッドブルは194ポイントの4位にとどまっている。

角田裕毅の将来は「すべてがオープン」 夏休み明けに判断へ
この苦境のなか、レッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコはハンガリーGP後に、角田裕毅の来季以降の去就について夏の間に検討し、判断すると明言した。

「すべては未定だ」──マルコはそう語り、現在の契約が2025年限りであることを改めて認めた。

角田裕毅にとって、フロントウイングの損傷は確かに不運ではあったが、それ以前の走りにも説得力を欠いていたのは否めない。マルク・スレールの批判は厳しいが、内容において的を射ている。夏休み明けの決断に向けて、角田裕毅には“言い訳無用”の反撃が求められている。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング / F1ハンガリーGP