佐藤琢磨 ホンダ学園50周年記念でモンテカルロ・ヒストリック参戦

アンバサダー兼ドライバーにはレーシングドライバーの佐藤琢磨が就任し、学生たちと共に国際ラリーレースの極限に挑む。
本チャレンジには、ホンダ学園の学生約30名が有志で参画。参戦車両となる1975年式の初代CIVIC RS 2台のレストアから整備、部品調達、さらには現地欧州での運営支援やナビゲーター業務まで幅広く担当する。今回使用するCIVIC RSは、1911〜1986年1月までの「ラリー・モンテカルロ」に参加実績がある、または同等仕様のヒストリックカーでなければならないという参加条件を満たす唯一のHonda車であり、規定のオリジナリティーと整備状態を保持した状態で出走する。
レースはモナコを起点に、南仏アルプス山岳地帯を中心とするフランスやイタリアの複数都市を巡る全長約2,000〜3,000kmのレギュラリティラリー形式で実施。スピードではなく、決められた平均速度での精度や対応力が競われる。
ホンダ学園は1976年、本田技研工業創業者であり初代校長の本田宗一郎の「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という志のもとに創設され、50年間にわたり“技術力と人間力”を兼ね備えた人材育成を続けてきた。現在は関東・関西の2拠点体制で実践重視の教育を行い、「挑戦する姿勢」を教育理念の軸としている。今回のモンテカルロ挑戦は「技術の伝承」と「挑戦文化の醸成」を目的に、変化の激しい時代において本質的価値を次世代へ継承する試みでもある。
ホンダ学園 常務理事の中嶋歩氏は「ホンダ学園が創立50周年を迎えるにあたり、学生たちが佐藤琢磨選手と共に『ラリー・モンテカルロ・ヒストリック』へ挑戦できることを大変うれしく思います。日々、学生たちが取り組んでいるヒストリックカーのレストアは、マニュアルも部品もない“答えのない実習”であり、まさに逆境への挑戦です。仲間と共に課題を乗り越え、技術者として、そして人として大きく成長してくれることを願っています」と語った。
モンテカルロ・ヒストリック・チャレンジ アンバサダー兼ドライバーを務める佐藤琢磨は「ホンダ学園の皆さんとはこれまでも多くの交流を重ねてきましたが、今回は50周年を記念したプロジェクトを通じて、共に世界に挑戦できることを大変光栄に思います。学生の皆さんが“挑戦のスピリット”と“あきらめない姿勢”を存分に発揮し、仲間と共に成長していく姿を見るのが、今からとても楽しみです。私自身、現役でINDY500に参戦を続ける一方で、若手ドライバーの育成にも力を入れていますが、今回のプロジェクトでは、世界で活躍できるエンジニアの育成にもつながるのではないかと、大いに期待しています。この大きな挑戦を、学生の皆さんと共に楽しみながら、全力で取り組んでいきたいと思います」と意気込みを語った。
なおホンダ学園では、このプロジェクトに続く第二弾・第三弾の記念企画として、日本全国を巡る「Cubチャレンジ」などの展開も予定している。

第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック開催概要(予定)
主催:Automobile Club de Monaco(ACM)
開催日時:2026年2月1日(日)~2月7日(土)※予定
開催地:モナコを起点に、南仏アルプス山岳地帯を中心とする複数都市(フランス、イタリアなど)
参加車両条件
・1911〜1986年1月までの「ラリー・モンテカルロ」に参加実績のある車種、または同等仕様のヒストリックカー(Honda車では初代CIVICが唯一該当)
・規定のオリジナリティーと整備状態を保持していること
レース形式
・レギュラリティラリー形式
・約2,000~3,000kmを決められた平均速度で正確に走行
・スピードではなく精度と対応力を競う
学校法人ホンダ学園概要
創立年:1976年
創設者:本田宗一郎(本田技研工業株式会社 創業者)
理事長:清水光太郎
教育理念:チャレンジ精神に溢れ、人に愛され信頼される技術者を育成する
設置校:ホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県ふじみ野市)/ホンダテクニカルカレッジ関西(大阪府大阪狭山市)
主な学科:
・サービスエンジニア学科/一級自動車整備学科/研究開発学科(関東)
・一級自動車研究開発学科/自動車整備科/自動車整備留学生科(関西)
特徴:Hondaグループ直系の教育機関で、鈴鹿8耐や全日本ラリーへの参加、ヒストリックカーのレストアなどの課外活動も充実
主な進路:Honda販売会社(Honda Cars各社)、整備工場、サプライヤー、Hondaやグループ企業(推薦枠あり)
佐藤琢磨選手のレースキャリア
1997年 鈴鹿レーシングスクール フォーミュラ(SRS-F)を卒業
2001年 英国F3選手権チャンピオン/マスターズF3優勝/マカオGP優勝
2002年 ジョーダン・ホンダよりF1デビュー
2003年 B・A・R ホンダに移籍
2004年 F1第9戦アメリカGPで3位表彰台
2006年 スーパーアグリ・ホンダに移籍
2010年 KVレーシングよりインディカー・シリーズに参戦、第94回インディ500に初挑戦(20位)
2011年 インディカー・シリーズ第8戦で日本人初のポールポジション獲得
2012年 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍、第4戦サンパウロで自身初の3位表彰台、第96回インディ500で優勝争いも最終ラップでスピン
2013年 AJフォイト・レーシングに移籍、第3戦ロングビーチでインディカー・シリーズ日本人初優勝
2017年 アンドレッティ・オートスポーツに移籍、第101回インディ500で日本人初優勝(内閣総理大臣顕彰受賞)
2018年 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍
2019年 第103回インディ500で3位(トップに約0.3秒差)
2020年 第104回インディ500予選で日本人最高位3位、決勝で自身2度目の優勝
2021年 第105回インディ500は14位
2022年 デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングに移籍、第106回インディ500は25位
2023年 チップ・ガナッシ・レーシングに移籍、第107回インディ500は7位
2024年 株式会社ホンダ・レーシング「エグゼクティブ・アドバイザー」に就任、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに復帰、第108回インディ500は14位(10番グリッドから)
2025年 第109回インディ500予選で日本人最高位となる2位、決勝は途中トラブルで9位
カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨 / ホンダF1