ポルシェ
ポルシェのワークスチームは、ル・マン24時間レース決勝において2台の919ハイブリッドが力強いパフォーマンスを発揮したが、レース終盤の劇的な幕切れにより、結果を残すことはできなかった。

LMP1クラスのカーナンバー20(ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組)のチームは、ル・マン24時間レース決勝において、レース中盤から後半にかけて、多くの時間にわたりトップを走行してした。しかし、スタートから22時間以上を過ぎた時点でパワートレインの問題で後退を余儀なくされた。

カーナンバー14(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組)に託されたもう1台919ハイブリッドも、やはり非常に高い戦闘力を証明したが、ドライブトレインの問題に足を引っ張られた。それでもカーナンバー14は、自力でフィニッシュラインを超えた。

スタート直後は、変化する気象条件と多くの事故によってスリリングな展開となったが、夜になるとレース展開が比較的落ち着きはじめ、日曜日の12時36分、カーナンバー20のポルシェ919ハイブリッドを駆るティモ・ベルンハルトがトップでマーク・ウェバーと交代した。ところが、それから20分も経たない間にスローダウンを余儀なくされ、電気モーターのパワーだけでピットまで戻って来た。チームは、損傷したパワートレインを修理することができなかった。

さらに30分と経たない間に、マルク・リーブが駆るカーナンバー14にはトランスミッションの不具合が発生して12時54分にピットに入るまでは4位につけていた。チェッカーフラッグが振られる直前にコースに復帰したが、結局完走扱いとはならなかった。

マティアス・ミューラー(ポルシェAG社長)
「私たちは、チームの多大な努力によってル・マンに復帰しました。ポルシェ919ハイブリッドのデビューを表彰台で飾るという私たちの密かな夢が、もう少しで実現しそうでした。驚くほど長時間にわたりレースをリードしました。一生懸命に尽くしてくれた全ての人々に対して感謝を述べたいと思います。私たちは前向きに考えており、2015年にはさらに強くなって戻って来るつもりです」

ヴォルフガング・ハッツ(ポルシェAG 研究開発担当役員)
「私たちが公言した目標は、このレースを完走することでした。それは完全にはかないませんでしたが、少なくとも919ハイブリッドのポテンシャルの高さとその革新的なパワートレインを示すことはできました。私たちは、自らの勇気あるコンセプトを信じ、それをさらに発展させるつもりです。すでに2015年のレースに向けて取り組み始めています」

フリッツ・エンツィンガー(LMP1担当 ポルシェAG副社長)
「この結果は、準備作業に奮闘してきた私たちのチームにふさわしいものとは言えません。この波乱に満ちたレースは、信じがたく忘れられないものとなりました。チームの全員が限界まで働き、決して諦めませんでした。私はチームをとても誇りに思います」

アンドレア・ザイドル(LMP1チーム監督)
「今はもちろん残念な気持ちで一杯です。しかし、もしこのような結果になることがレース前に分かっていたとしても、それを嬉しく思ったでしょう。私たちは、来年のために多くのことを学び、明日からは2015年に向けて準備を始めます。ドライバーもチームメンバーも、全員が見事な働きをしました。1台のマシンにフィニッシュラインを踏ませたことを誇りに思います。しかも、レース終了局面までもう1台と共に優勝争いを演じることができたのは、素晴らしいことでした」

アレクサンダー・ヒッツィンガー(LMP1テクニカルディレクター)
「アウディを祝福したいと思います。彼らの優勝は当然の結果です。もちろん私たちとしては残念です。私たちもそのような良い結果にもう少しで手が届きそうだったのですから。それでも自らの成し遂げたことを誇って良いと思います。マシンの速さを証明し、ライバルチームも919ハイブリッドに注目していました。目標はレースを完走することでしたが、違った形でフィニッシュラインを超えることになりました。残りのレースと2015年のル・マンを楽しみにしています。今日のマシンは必ずしも扱いやすくなかったのですが、ドライバーたちは素晴らしい仕事をしてくれました。そのことを全員に感謝したいと思います」

ニール・ジャニ(カーナンバー14)
「私たちのマシンは本当に良く走り、何度かトップグループに並びました。これほど大きなポテンシャルがあるのですから、今回の結果についてはとても残念です。一方で、継続が極めて重要であり、すぐに成功するのが困難であることを思い知らされました」

マルク・リーブ(カーナンバー14)
「何と言えばいいのか分かりません。なぜなら、レース中に発生した今回のような問題に対処するのは、困難だからです。カーナンバー20は、実に素晴らしいレースを見せてくれました。彼らにはレースの終了直前まで全く問題が発生しませんでした。これに対して私たちのカーナンバー14のマシンは、いくつかの些細な技術的不具合によってスローダウンし、何度もピットストップを強いられました。それでも私たちは最善を尽くしました。チェッカーフラッグのおよそ1時間半前、もっと大きな問題が発生しました。チームはどうにかしてマシンを再び走れるようにして、私たちは最終的にフィニッシュラインを超えることができました」

ティモ・ベルンハルト(カーナンバー20)
「これほど長い空白期間を経てル・マンと世界耐久選手権に戻って来たことは、結果的にポルシェにとって大きな収穫だったと思います。しかし、私たちは必死に闘い、最後には本当に優勝目前まで行っただけにとても残念です。少なくとも表彰台には立てたはずです。それを実現するのは困難でしたが、チームのメンバーは素晴らしい仕事をして、マシンも良く走ってくれました。マシンのバランスに関していくつか問題を抱えていたため、コントロールするのは簡単ではありませんでしたが、結局、燃料を節約してコーナーで無理をしないようにしました。その後、1速ギアでエンジンが壊れました。しかし、最終的にはポルシェにとって大きな収穫であったと思います」

マーク・ウェバー(カーナンバー20)
「全員にとって残念な結果でした。もし完走できていれば驚くべき偉業となったでしょう。レース終盤にこれほど有利な位置にいられるとは、チームの中で誰も期待していなかったと思います。ポルシェが成し遂げたことは、本当に誇るべきことです。レース中にこの位置までマシンを到達させることがどれほど困難であるか、理解できる人はあまりいません。ル・マンでリタイアすることは決して良いことではありませんが、今日の結果は、ある意味で望みうる最良のものであると思います。なぜなら私たちは予想以上に健闘し、多くのことを学んだからです。もし早めにリタイアしていれば、何も学べず辛い思いをしたでしょう。もしあと1周の時点でリタイアしていれば、よりいっそう耐え難かったでしょう。私たちは、初めてのル・マンにおいて、表彰台に限りなく近づくことができました」

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カテゴリー: F1 / ポルシェ / ル・マン24時間レース