ピレリ:F1マレーシアGP プレビュー
ピレリが、2014年 第2戦 F1マレーシアGPが開催されるセパン・インターナショナル・サーキットをタイヤメーカーの観点から解説した。
新型タイヤを装着した新世代のF1は、マレーシアで最も過酷な試練に臨む。マレーシアは、サーキットの路面が粗く、猛暑からモンスーンのような豪雨に至るまで、エクストリームな天候で良く知られている。このような厳しいコンディションに対応するため、タイヤレンジ中で最も硬い組み合わせであるP Zeroオレンジ・ハードとP Zeroホワイト・ミディアムが選択された。
今シーズンのピレリタイヤは、その進化によって強度が増し、デグラデーションが減少している。しかし、レースの見応えを高めるため、スポーティーな特性と性能は維持している。
セパンは高速サーキット。予選での平均速度は210km/hを超え、スロットル全開のコーナーが複数存在する。高速コーナーでの加速時、トラクションが極めて重要になる。
大半のチームがハイダウンフォースのセットアップを行うため、タイヤは高い横荷重のみではなく、830kgに相当する縦方向の負荷にも対応しなければない。この厳しい負荷の組み合わせによって、メカニカルおよび熱によるデグラデーションが発生する。
P Zeroオレンジ・ハードの作動温度領域は高く、最もエクストリームなコンディションに適している。一方、P Zeroホワイト・ミディアムはそれよりも作動温度領域が低いコンパウンド。コンパウンドの混合比率を調整することによって、今年の全タイヤの作動温度領域は昨年よりも広くなっている。
雨天用タイヤも同様。エクストリームなウェットウェザー時の耐アクアプレーニング性を向上させるために、リアのトレッドパターンが再設計された。更に、フルウェットタイヤのコンパウンドは、より広範囲なコンディションをカバーできるように調整された。今年のフルウェットは、300km/hで走行時、昨年よりも5リッター多い毎秒65リッターを排水することができる。
マレーシアでは、左フロントタイヤが最も酷使され、トレッドの表面温度は120°Cに達する。摩擦エネルギーに関して、セパンは、シルバーストン、バルセロナ、鈴鹿に次いでシーズン中で4番目に左フロントタイヤに高い負荷を課すサーキットとなっている。
昨年は、雨が戦略に影響を及ぼし、トップ5ドライバーは4回ピットストップを行った。クロスオーバーポイントの見極めが極めて重要となった。優勝したのはレッドブルのセバスチャン・ベッテルでした。ベッテルは、インターミディエイトでスタートし、ミディアムへ交換、続く2スティントをハードで走行し、最後はミディアムでフィニッシュした。
ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)
「マレーシアは、最新世代のF1マシン用に設計された新型タイヤレンジで臨む今シーズンのまだ2戦目です。そして、ここで2014年型のハードタイヤがデビューします。ミディアムは、メルボルンでは良く機能しましたが、マレーシアは明らかにオーストラリアとは大きな対照を成しています。メルボルンの滑らかなアスファルトから非常に粗い路面へ、そしてアルバートパークの比較的冷涼なコンディションから気温・路面ともに高温で多湿なコンディションに我々は臨むことになります。このコンディションは、もちろんドライバーや新型マシンにとってチャレンジングです。そして、我々は全体的なラーニングカーブの端緒に就いたばかりということを忘れてはなりません。オーストラリアでの予選がウェットコンディションだったため、各チームは2014年型インターミディエイトとフルウェットタイヤを試すことができました。この時の経験が、ここセパンでも役に立つ可能性があります」
ジャン・アレジ (ピレリ・ブランド・アンバサダー)
「マレーシアは、ドライバーにとってもタイヤにとっても、シーズン中で最もタフなレースのひとつと言えます。しかし、流れるようなコーナーが多く存在するので、良好なリズムがキープできれば、タイヤへの負荷を抑えることができます。マレーシアにおけるタイヤにとっての最大の難敵は、熱によるデグラデーションです。シーズンは始まったばかりですが、多くのチームに大きな可能性が見られ、非常に興味深い状況です。もう一点、マレーシアで忘れてはならないのは豪雨です。私のドライバー時代以降の雨天用タイヤの進化には驚くばかりです。誰一人、今日実現している排水性能は予測できなかったと思います。セパンでの現実的な問題は水溜りです。大量の水溜りに直面すると、もはやタイヤの問題ではなく、マシンが水面上を“サーフ”するような状態となり、コントロールが全く効かなくなります。追走するドライバーにとって、視界も非常に厳しくなります」
カテゴリー: F1 / ピレリ / F1マレーシアGP
新型タイヤを装着した新世代のF1は、マレーシアで最も過酷な試練に臨む。マレーシアは、サーキットの路面が粗く、猛暑からモンスーンのような豪雨に至るまで、エクストリームな天候で良く知られている。このような厳しいコンディションに対応するため、タイヤレンジ中で最も硬い組み合わせであるP Zeroオレンジ・ハードとP Zeroホワイト・ミディアムが選択された。
今シーズンのピレリタイヤは、その進化によって強度が増し、デグラデーションが減少している。しかし、レースの見応えを高めるため、スポーティーな特性と性能は維持している。
セパンは高速サーキット。予選での平均速度は210km/hを超え、スロットル全開のコーナーが複数存在する。高速コーナーでの加速時、トラクションが極めて重要になる。
大半のチームがハイダウンフォースのセットアップを行うため、タイヤは高い横荷重のみではなく、830kgに相当する縦方向の負荷にも対応しなければない。この厳しい負荷の組み合わせによって、メカニカルおよび熱によるデグラデーションが発生する。
P Zeroオレンジ・ハードの作動温度領域は高く、最もエクストリームなコンディションに適している。一方、P Zeroホワイト・ミディアムはそれよりも作動温度領域が低いコンパウンド。コンパウンドの混合比率を調整することによって、今年の全タイヤの作動温度領域は昨年よりも広くなっている。
雨天用タイヤも同様。エクストリームなウェットウェザー時の耐アクアプレーニング性を向上させるために、リアのトレッドパターンが再設計された。更に、フルウェットタイヤのコンパウンドは、より広範囲なコンディションをカバーできるように調整された。今年のフルウェットは、300km/hで走行時、昨年よりも5リッター多い毎秒65リッターを排水することができる。
マレーシアでは、左フロントタイヤが最も酷使され、トレッドの表面温度は120°Cに達する。摩擦エネルギーに関して、セパンは、シルバーストン、バルセロナ、鈴鹿に次いでシーズン中で4番目に左フロントタイヤに高い負荷を課すサーキットとなっている。
昨年は、雨が戦略に影響を及ぼし、トップ5ドライバーは4回ピットストップを行った。クロスオーバーポイントの見極めが極めて重要となった。優勝したのはレッドブルのセバスチャン・ベッテルでした。ベッテルは、インターミディエイトでスタートし、ミディアムへ交換、続く2スティントをハードで走行し、最後はミディアムでフィニッシュした。
ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)
「マレーシアは、最新世代のF1マシン用に設計された新型タイヤレンジで臨む今シーズンのまだ2戦目です。そして、ここで2014年型のハードタイヤがデビューします。ミディアムは、メルボルンでは良く機能しましたが、マレーシアは明らかにオーストラリアとは大きな対照を成しています。メルボルンの滑らかなアスファルトから非常に粗い路面へ、そしてアルバートパークの比較的冷涼なコンディションから気温・路面ともに高温で多湿なコンディションに我々は臨むことになります。このコンディションは、もちろんドライバーや新型マシンにとってチャレンジングです。そして、我々は全体的なラーニングカーブの端緒に就いたばかりということを忘れてはなりません。オーストラリアでの予選がウェットコンディションだったため、各チームは2014年型インターミディエイトとフルウェットタイヤを試すことができました。この時の経験が、ここセパンでも役に立つ可能性があります」
ジャン・アレジ (ピレリ・ブランド・アンバサダー)
「マレーシアは、ドライバーにとってもタイヤにとっても、シーズン中で最もタフなレースのひとつと言えます。しかし、流れるようなコーナーが多く存在するので、良好なリズムがキープできれば、タイヤへの負荷を抑えることができます。マレーシアにおけるタイヤにとっての最大の難敵は、熱によるデグラデーションです。シーズンは始まったばかりですが、多くのチームに大きな可能性が見られ、非常に興味深い状況です。もう一点、マレーシアで忘れてはならないのは豪雨です。私のドライバー時代以降の雨天用タイヤの進化には驚くばかりです。誰一人、今日実現している排水性能は予測できなかったと思います。セパンでの現実的な問題は水溜りです。大量の水溜りに直面すると、もはやタイヤの問題ではなく、マシンが水面上を“サーフ”するような状態となり、コントロールが全く効かなくなります。追走するドライバーにとって、視界も非常に厳しくなります」
カテゴリー: F1 / ピレリ / F1マレーシアGP