角田裕毅の巻き返しに注目:2025年F1ハンガリーGP 知っておくべき統計

本記事では、決勝に向けた重要な統計データ、攻略のポイント、タイヤ戦略の傾向、そして過去の名場面など、レース観戦前に知っておきたい情報を幅広く紹介する。ピアストリとノリスによるタイトル争いの行方、角田裕毅の巻き返しにも注目だ。
重要な統計
■ 初開催年:1986年
■ サーキット全長:4.381km
■ ラップレコード:1分16秒627(ルイス・ハミルトン/メルセデス/2020年)
■ 最多ポールポジション:ルイス・ハミルトン(9回)
■ 最多優勝回数:ルイス・ハミルトン(8回)
■ トリビア:ここハンガリーでは、複数のドライバーがF1初優勝を飾っている。オスカー・ピアストリ(2024年)、エステバン・オコン(2021年)、ジェンソン・バトン(2006年)、フェルナンド・アロンソ(2003年)など
■ ポールポジションからターン1のブレーキングポイントまでの距離:476m
■ 2024年に記録されたオーバーテイク数:65回
■ セーフティカー出動確率:25%(過去8戦の平均)
■ バーチャルセーフティカー出動確率:25%(同上)
■ ピットストップによるタイムロス:約20.6秒

ドライバーによる見解(ジョリオン・パーマー/元ルノーF1)
「ブダペストのサーキットは現地に行くと小さく感じるが、14のコーナーが詰まっていて、攻略には多くの要素がある」
「第1セクターは実質2つのコーナー。ターン1は大きなブレーキングゾーンで、比較的シンプルな右コーナーだが、路面がバンピーでフロントロックしやすい。その後は緩やかな下り坂になっているターン2へ向かう」
「中盤のセクターではリズムがすべて。ほぼすべてのコーナーが次の動作に繋がっている。ターン4から6を抜けた後、短い呼吸ポイントがあるが、すぐに次の高速区間へと繋がる」
「最終セクターではタイヤがオーバーヒートしやすく、グリップを探しながらの走行になる。レース中はターン14からの立ち上がりがオーバーテイクの鍵。そこからターン1、もしくはターン2で仕掛けるしかない。チャンスを逃すと、次の1周は後ろにつく展開になる」
「GP2時代にはここで良いバトルができた記憶がある。ハンガリーでのオーバーテイクは簡単ではないが、可能だ。特にターン2はイン・アウト両方から狙えるので、守る側には難しいコーナーでもある」
直近5大会のポールポジション獲得者
■ 2024年:ランド・ノリス(マクラーレン)
■ 2023年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
■ 2022年:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
■ 2021年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
■ 2020年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)
直近5大会の優勝者
■ 2024年:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
■ 2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2022年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
■ 2021年:エステバン・オコン(アルピーヌ)
■ 2020年:ルイス・ハミルトン(メルセデス)

タイヤと戦略に関するインサイト
ピレリによる週末プレビューはこう述べている:
「使用されるスリックタイヤのコンパウンドは昨年と同じく、C3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)の組み合わせだ」
「昨年まではこれが最も柔らかい組み合わせだったが、今年はさらに柔らかいC6が導入された。ただし、ハンガリーのように1周ごとのタイヤ負荷が高いサーキットにはC6は不向きと判断された」
「絶対的な荷重はそれほど大きくないが、ラップが短いためにタイヤへのエネルギーが周回ごとに蓄積されていく」
「さらに、例年の高温と暗い色の路面により熱による劣化が進行しやすくなる。実際、昨年のハンガリーGPではシーズン最高の路面温度58.6℃を記録している」
「2024年のレースで最も多かったのは2ストップ戦略で、C3とC4のさまざまな組み合わせが使われた。13人のドライバーがミディアムでスタートし、残りは4人がソフト、3人がハードでスタートした」
角田裕毅(レーシングブルズ)は、このレースで唯一1ストップ戦略で完走したドライバーだった。一方で一部のドライバーは3ストップを採用し、ソフトタイヤでの短いスティントを活用していた。
アストンマーティンのフェルナンド・アロンソとランス・ストロールは全3種類のコンパウンドを使用する2ストップ戦略を採用。特にストロールは、ソフトタイヤで14周という最長スティントを走行していた。

現在の勢力図
ランド・ノリスはオーストリアとイギリスで連勝し、チームメイトのオスカー・ピアストリとの差を縮めたが、スパ・フランコルシャンではピアストリが勝利を収めてリードを維持した。現在の差は16ポイント。
ピアストリは昨年のハンガリーでF1初勝利を挙げており、自信を持って週末に臨む。一方、マクラーレンは2025年シーズンを通して非常に優れたペースを発揮しており、2人のどちらが夏休みに首位で突入するか注目されている。
フェラーリは前戦ベルギーでのアップグレードが効果を示し、シャルル・ルクレールが表彰台に復帰。ルイス・ハミルトンはこの地で9回のポールポジション、8勝を挙げている。
レッドブルはこのハンガロリンクで過去2年(2022年・2023年)に勝利しており、今年もマックス・フェルスタッペンと角田裕毅がRB21をいかにこのタイトでツイスティなサーキットに適応させられるかが鍵となる。
メルセデスは直近の苦戦から抜け出す糸口を探しており、中団勢もポイント獲得のチャンスを狙っている。
名場面
ハンガロリンクでは数々の名勝負が繰り広げられてきたが、2006年のレースは特に劇的な展開となった。
ジェンソン・バトンは14番手スタートから、難しいウェット/ドライのコンディションを巧みに走り抜け、トップを走っていたフェルナンド・アロンソがホイールナット脱落でリタイアした隙に首位に浮上。F1初優勝を飾った。
これはバトンにとって悲願の初勝利であり、ホンダにとっては1967年イタリアGP以来のコンストラクター勝利、そしてホンダエンジンとしては1992年オーストラリアGP(ゲルハルト・ベルガー)以来の勝利となった。
カテゴリー: F1 / F1ハンガリーGP