ピエール・ガスリー アルピーヌF1再建を確信「数カ月後は違う期待を語れる」

エンストン拠点のチームはシーズンを通して後方に沈み、内部では複数の動揺が相次いだ。それでもガスリーは「成功するための要素はすべて揃っている」と強調している。
アルピーヌは今季序盤、当初2台目のシートを担う予定だったジャック・ドゥーハンを外し、代わってフランコ・コラピントを起用。さらにマイアミGP後にはチーム代表のオリー・オークスが個人的理由で離脱した。A525へのアップグレード不足もあり、マシン開発は停滞。チームはコンストラクターズ最下位争いに沈み、ガスリーの獲得した20ポイントが唯一の得点となっている。
しかしチーム内には希望の兆しも見える。F1で豊富な経験を持つスティーブ・ニールセンがマネージングディレクターに就任し、ガスリー自身も契約を2028年まで延長した。
「チームにいる人たちを見れば、成功するための材料はすべて揃っていると思う」とガスリーは語った。
「スティーブは素晴らしいし、あらゆるレベルで経験豊富な優秀な人材がいる。だからこそ、来季には大きな期待を抱いている」
「毎週末同じ話を繰り返すのはつらいけど、現状はすぐには変わらない。だからこそ、謙虚にやるべき仕事を積み重ねることが大事だ。数カ月後には、週末への期待値をまったく違う形で語れることを願っている」
メルセデスPU導入と再編で“再出発”へ
アルピーヌはフラビオ・ブリアトーレの助言のもと、2026年から自社製パワーユニットを放棄し、メルセデス製PUを使用する顧客チームへと転換する。この決断はコスト削減を目的としたものだが、次期レギュレーション下で最も完成度が高いとされるメルセデス製ユニットを得ることは、結果的に有利な判断となる可能性が高い。
ガスリーはこの方針と新体制の整備を前向きに捉えている。
「僕には高い期待がある。チームもそのことを理解している」とガスリー。
「これまでの変化のすべてに大きな自信を持っている。PUサプライヤーの変更も含めて、チームにとって大きな転換期だ」
「社内のプロセスを刷新し、工場のスタッフも新しい人材が加わっている。すべてが噛み合い始めているように感じる。現状の順位は低いけど、そのぶん2026年に向けた準備時間の面ではライバルより有利なんだ」
「今の状況を見れば、我々は他チームに対して優位な立場にあると思う。今季初めに下した決断が、来年に向けて大きな成果をもたらすはずだ」

“小さな勝利”で士気を維持
長く続く苦境のなかでも、ガスリーは冷静さを失っていない。
「フラストレーションを溜めても意味はない。シーズン終盤までは状況は変わらない」と語り、「今の立場を現実的に受け止め、小さな成果を見つけて前に進むしかない」と締めくくった。
アルピーヌ再建の展望
アルピーヌにとって2025年は明らかな過渡期だ。エンジン供給をメルセデスに委ね、体制を刷新することで、長年の停滞から脱却を図る。ガスリーの契約延長は、チームの信頼と継続性の象徴であり、2026年の新レギュレーション初年度に向けた再出発の基盤を築くものとなる。
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