ニコラス・ラティフィ、F1アブダビGPのクラッシュで「殺害の脅迫を受けた」
ウィリアムズF1のニコラス・ラティフィは、結果的に2021年のF1ワールドチャンピオンを決定するセーフティカー導入のきっかけとなったクラッシュについて、ソーシャルメディアで多くの誹謗中傷を受けたことを明かし、経験を公表することで受け手側の人々をサポートするために行動したいと語った。

ニコラス・ラティフィは、2021年最終戦F1アブダビGPの残り6周でクラッシュしたことで、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンのタイトル争いに図らずも影響を与えることになった。

ニコラス・ラティフィにクラッシュによってセーフティカーが導入され、それは物議を醸したリスタートへと繋がり、最終的にマックス・フェルスタッペンがファイナルラップでルイス・ハミルトンをオーバーテイクして、レースでの勝利をワールドチャンピオンを獲得した。

「前回のレースの出来事から物事を落ち着かせるために意図的にソーシャルメディアから離れていた」とニコラス・ラティフィは語った。

ニコラス・ラティフィは、自分が望まない役割を果たしたことを謝罪し、レース後に多くの誹謗中傷や殺害の脅迫などのメッセージを受け取ったことで、“意図的”にソーシャルメディアから遠ざかっていたと語った。

「僕がアブダビでリタイアした後、多くの状況が重なった。公開されているものやDMを介して、ソーシャルメディアアカウントに何千ものメッセージを受け取った。ほとんどが応援してくるものだったけど、ヘイトスピーチや誹謗中傷もたくさんあった」

「僕はこれに対応するためのベストな方法を見つけようとしてきた。無視して、続けるべきか? それとも、それに対処し、悲しいけど、ソーシャルメディアを利用するときに現実であるより大きな問題に取り組むべきか?」

「これは原稿が用意されたステートメントではないけど、オンラインいじめや、それが人々にもたらす可能性のある劇的な結果についての別の会話が引き起こされることを願って、自分の気持ちを話そうと思う。ヘイトスピーチ、誹謗中傷、暴力の脅迫のメッセージで誰かを攻撃するためのチャネルとしてソーシャルメディアを使用するなんて間違っている。それが僕が呼びかけたいことだ」

「レースの週末に戻ると、チェッカーフラッグが振られるとすぐにソーシャルメディアで物事がどのように展開する可能性があるかが分かった。自分の携帯電話からInstagramとTwitterを数日間削除したほうがいいと思ったという事実は、オンラインの世界がどれほど残酷であるかを知る必要があることをすべて物語っていると思う」

「ソーシャルメディアでのその後のヘイト、誹謗中傷、脅迫は、僕たちが今住んでいる世界の厳しい現実を考えれば、僕にとってはそれほど驚きではなかった。僕はオンラインで否定的に話されていることと無縁ではない。世界の舞台で競うすべてのスポーツ選手は、彼らが極度の監視下にあることを知っていると思う」

「でも、僕たちがいろいろなスポーツで何度も見てきたように、悪いタイミングでの1つの事件だけで、物事が完全に大げさに騒ぎ立てられ、いわゆる“ファン”の人々に最悪の事態を引き起こす。僕が受けた極端な口調のヘイト、誹謗中傷、さらには殺害の脅迫などはショックだった」

「レース中に何が起こったのかを振り返れば、DNFについて謝罪する必要のある人々のグループは実際には1つだけだった。それは僕のチームだ。すぐに謝罪した。その後に続く他のすべては僕の手には負えないことだ」

「残りわずか数周で重要ないポジションを目指してレースをしていると言う人もいる。でも、勝利、表彰台、ポイントを目指してレースをしているかに関わらず、それが最下位であっても、僕はいつもチェッカーフラッグまで全力を尽くす。その点で、僕はグリッド上の他のすべてのドライバーと同じだ。それを理解していない、または同意していない人は、僕にとっては問題ではない。誰もが自分の意見を持つことができる。でも、これらの意見を利用して、僕だけでなく、僕に最も近い人々にも、ヘイト、誹謗中傷、暴力の脅迫を助長することは、そういった人々がスポーツの真のファンではないことを僕に教えてくれる」

「ありがたいことに、あるがままの自分でいることに十分満足を感じているし、この世界に長くいるので、どんなネガティブなものにも潰されずにかなり良い仕事をすることができる。でも、ネガティブなコメントが常により目立って見えると思っているのは自分だけではないことを僕は知っている。時には、100のポジティブなコメントをかき消すのに十分な場合もある」

「人々は自分の意見を持っているし、それは問題ではない。打たれ強いことは、アスリートであることの大きな部分だ。特に、常に詮索される立場にある場合はなおさらだ。でも、先週僕が受け取ったコメントの多くは、一線を越えたはるかに極端なものだった。これと同じレベルの誹謗中傷が彼らに向けられた場合、他の誰かがどのように反応するか心配だ。少数派の声の活動が彼らが誰であるかを決定させてはならない」

「先週の出来事は、そのような出来事を阻止し、受け手側の人々をサポートするために協力することがいかに重要であるかを僕に理解させてくれた。そのように行動した人々に自分のやり方を変えるよう説得できる可能性は低いことは承知している。彼らは、僕に対してこのメッセージを使おうとさえするかもしれない。でも、黙っていないで、このような行動を呼びかけるのは正しいことだ」

「このような状況の中でも僕を支えてくらたすべてのファンと人々に、心から感謝したい。皆さんの多くのメッセージを読んだり、見かけたりしてきた。ありがたく思っている。たくさんの人が支えてくれているのは嬉しいことだ」

「スポーツは本質的に対抗意識があるものだけど、人々を引き離すのではなく、人々を結びつける必要がある。僕の考えを共有し、行動の必要性を強調することで、たった一人の人を助けられるなら、それはそれだけの価値がある」

「新しい年を楽しみにしているし、アブダビGP後の僕の経験がそのメッセージを補強するのに役立つことを心から願っている。僕の新年の目標は、そのプロセスをサポートする方法を検討することだ。みんなに親切にしよう!」

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カテゴリー: F1 / ニコラス・ラティフィ / ウィリアムズ・レーシング / F1アブダビGP