F1メキシコGP:木曜会見 Part.1 - 角田裕毅、ローソン、ピアストリ

角田裕毅はチームの改善を支える自信とマックス・フェルスタッペンへのサポート姿勢を示し、ピアストリは首位争いへの冷静なアプローチを強調。ローソンは自らの成長とレーシングブルズ残留への意欲を明かした。
Q:オスカー、会えてうれしいです。あなたはいま首位に立っていますが、その差が縮まってきています。あなたたち3人はいま40ポイント以内に収まっています。ランドとマックスの存在が迫ってきていることは、あなたのアプローチにどんな影響を与えていますか?
オスカー・ピアストリ: 正直に言えば、特に変わっていない。確かにここ数戦で差が少し縮まったけど、僕にとって大事なのは、常に全力で走って、毎週末から最大限を引き出すこと。それができた週末もあれば、間違いなくそうでなかった週末もあった。だから、僕の集中は常にそこにある。それを毎週確実にできれば、ポイント状況がどうであろうとあまり関係ないんだ。
Q:追う側と追われる側、どちらの方が好きですか?
ピアストリ: どちらにも良いところと悪いところがあるね。誰だってアンダードッグの物語は好きだし、追いかける立場のほうが楽に感じることもある。でも、僕はやっぱりチャンピオンシップのリードを持っている方がいい。そうであるということは、何かを正しくやっているという証だから。シーズンを通して多くのことをうまくやってきたし、まだ改善できる部分もある。
Q:すべてのレースでポイントを獲ることが大事です。オースティンのようなスプリントの混乱はもう避けたいところですが、土曜に起きた出来事を振り返って、あなたやランドに影響はありましたか?
ピアストリ: もう一度見直したよ。僕たちはどんな週末でも振り返りを行うけど、スプリントに関しては自分にも責任の一部があると思っている。今週末は僕たち2人とも白紙の状態でスタートする。だからただレースをして、どちらが上に行けるか見てみるだけさ。
Q:2人の間に影響はなかったとのことですが、パフォーマンス面ではどうですか?レッドブルとあなたたちマクラーレンの差は僅かでしょうか?それとも、この高地ではマクラーレンの方が優位だと思いますか?
ピアストリ: 予想するのは難しいね。ここ数戦を見ても、どのサーキットで自分たちが強いと思っていたか、あるいは他チームが強いと予想したか――その通りになるとは限らなかった。この世代のマシンではよくあることだ。でも明らかなのは、ここ数戦のレッドブルとマックスがとても安定していること。以前もそういう速さを見せた場面はあったけど、最近はそれが毎回続いている。だから、今週末も彼らは脅威になるだろう。僕たちは自分たちのクルマから最大限を引き出して、どこまでいけるか試すだけだ。
Q:ありがとう、オスカー。後でもう少し質問があると思います。では、リアムに移りましょう。オースティンでは悔しい結果でしたね。2レースともポイント目前まで迫りましたが、どんなポジティブな要素を見出せますか?
リアム・ローソン: 予選ではかなり速かったと思う。決勝では少し苦戦したけど、今年はずっと接戦だったし、最近はさらに近づいていると感じる。だから、すべてを引き出して、週末を通してすべてをまとめることが重要なんだ。オースティンではそれを少し欠いた。それが、両レースともほんのわずかにポイントを逃した理由だと思う。でも大きく変える必要はない。マシン自体は速いし、オースティンでの1、2のミスを反省して、ここでは同じことを繰り返さないようにするだけ。
Q:メキシコは標高が高いですが、それはあなたたちに有利に働くと思いますか?
ローソン: 正直なところ、わからない。去年もそう思っていて、実際かなり競争力があったけど、やっぱり難しい。オスカーも言っていたように、過去の経験から「このサーキットは合う」と思っても、実際には違うことがある。オースティンでは自信を持って臨んだけど、実際には厳しい週末だった。だから、そういう予想はもう意味がない。今は、自分たちが考える最強のパッケージで臨んで、そこから進めるだけだ。
Q:あなたとチームにとって今後数週間は重要な時期ですね。F1での将来も、チームのコンストラクターズ選手権の順位もかかっています。あなた個人としては、どうこの数週間を過ごしていくつもりですか?
ローソン: もちろん、頭の片隅ではこの時期が重要だということはわかっている。でも正直なところ、シーズン序盤と何も変わらない。アプローチの仕方は同じだ。毎週末ベストを尽くすこと、それだけだ。すべての準備を整えて、ここメキシコも楽しみにしている。ドライブしていてすごく好きなサーキットなんだ。だから特別なことはせず、これまで通り臨む。
Q:あなたは来年もレーシングブルズに残れるだけの結果を出していると思いますか?
ローソン: 振り返ると、いつだって「こうすればよかった」と思うことはある。完璧な人間はいないし、僕だってそうだ。シーズンを通して学ぶことが多かった。でも重要なのは、ミスから学び、それを繰り返さないようにすること。その意味では、やるべきことはやってきたと思うし、これからも同じように全力を尽くす。
Q:ありがとう、リアム。では角田裕毅選手、同じ話題に移りましょう。将来、そしてチームのコンストラクターズ選手権争いに向けて、この数週間をどう過ごす予定ですか?
角田裕毅: こんにちは、皆さん。僕も同じです。オースティンの週末はミックスな結果でしたけど、2つのレースでいい走りができてポイントも取れました。確実にいい方向に向かっていると思いますし、いろんな部分を改善できています。今やっていることに自信がありますし、ポイントを取り続けられるようにプッシュしていきます。まだチームとしてコンストラクターズ選手権で2位になる可能性がありますし、マックスにもワールドチャンピオンを獲る可能性があります。だから、この2人の前に出て、できる限りチームを助けたいと思っています。
Q:おっしゃる通り、パフォーマンスの向上は確かに見られます。来年もレッドブル・レーシングに残れるだけの走りをしてきたと思いますか?
角田: はい。さっきも言いましたけど、自分がやってきたこと、置かれている状況には自信を持っています。とにかく自分を少しでも早く成長させて、ポイントを取るために全力を尽くしています。あとはチームの判断次第です。どういうドライバーラインナップにしたいかは彼らが決めることですけど、自分は多くの部分を改善できたと思っていますし、これからも向上し続けて、同じチームにふさわしい存在になれるよう努力します。
Q:「改善」という言葉を何度も使われていますね。実際にその改善はどこから来ているのでしょうか?どのようにして新しいレベルのパフォーマンスを引き出せるようになったのですか? セットアップが関係していますか?
角田: いろいろな要素があります。僕はこの環境に入って5年になりますが、チームごとにプレッシャーのかかり方や物事の進み方が違います。セットアップだけの話ではありません。特にシーズン序盤はロングランで苦戦していましたが、そこを大きく改善できました。まだ週末を通してすべてをまとめる部分には課題が残っていますが、そこに集中しています。いちばん大事なのは、チームから多くのサポートをもらっているということです。ローラン、そしてエンジニアたち――彼らがいなければ、ここまで改善できなかったと思います。チームが提供してくれたツールのおかげで正しい方向に進めたと思います。

QUESTIONS FROM THE FLOOR
Q:オスカー、あなたはいま“追われる立場”ですが、メキシコのターン1までの長い距離を考えると、スタート位置に関係なく混乱が起きそうです。事前にどのように対処するつもりですか?どんなプランで、どうやってクリーンに抜けようと考えていますか?
ピアストリ: メキシコは本当にスタートが難しいサーキットだと思う。直線がこれだけ長いからね。それでも、僕はやっぱりポールポジションからスタートしたい。できるだけいいスタートを切って、1コーナーをトップで通過できるチャンスを高めたいんだ。でも最終的には、瞬間の判断と本能に頼るしかない。外側がうまくいく時もあれば、内側や真ん中がうまくいくこともある。だから、目の前の状況を見極めて、その時々で最善を尽くすしかない。魔法のような解決策はないよ。
Q:もう一つオスカーに。今の状況は、あなたがF3でチャンピオンを獲った年と似ている部分がありますか?あの時は最終戦までにポイントリードを失いましたが、当時の経験を今に活かしている部分はありますか?
ピアストリ: いくつか似ている部分はあるね。でも今の僕はあの時よりも強いと感じている。状況は多少違うけれど、フォーミュラ・ルノーのタイトル争いにも似ているところがあるんだ。怖いくらいにね(笑)。でも良いのは、過去にそういう状況を乗り越えてきたという証拠があること。実際に2つのシリーズでタイトルを獲っているしね。だからそれを思い出すのは心強い。ただ、過去にできたからといって、今回も自動的にうまくいくとは限らない。でも、これまでどう対処してきたか、その経験と落ち着きを今に生かすことができる。結局やるべきことは同じだ。できるだけ速く走り、できるだけ上位でフィニッシュすること。実行は簡単じゃないけど、考え方はシンプルだよ。
Q:オスカー、マックスがここ数戦でチャンピオン争いに戻ってきたことについてはどう感じていますか?それを意識したり、気にしたりしますか?
ピアストリ: 特に気にしてはいないよ。彼が最近の週末でとても安定していて強いのは事実だ。でも僕にとっては、それを心配しても何のメリットもない。僕がタイトルを勝ち取るために必要なのは、自分自身、マシン、チームの力を最大限に引き出すこと。だから他のドライバーのことを気にしている暇はない。もちろん彼も戦いの中にいるけど、それで僕のアプローチが変わるわけじゃない。
Q:オスカー、残り5戦あります。あなたに有利なサーキットと、マックスに有利なサーキットはどこだと思いますか?
ピアストリ: それを予想するのは本当に難しい。誰がどこで速いのかを読み切るのは簡単じゃない。結局のところ、その週末にマシンの力をどこまで引き出せるかの方が重要なんだ。オースティンでは僕たちに有利だと思っていた部分もあったけど、そうでもなかった部分もあった。だから、本当にどのレースも接戦になると思う。
Q:リアムと角田選手に質問です。あなたたちは2人とも来季の契約を待っている状況です。レッドブル系のチームに残る可能性が高いですが、今のうちに自分の将来を知りたいですか?それともアブダビまで待つ方がいいと思いますか?
ローソン: 正直なところ、まだあまり考えていない。もしすでに決まっているなら、それを早く知る方がいいのかもしれない。でも、現状では僕たちはまだ何も知らないし、それでアプローチが変わるわけでもない。毎週末、全力で臨むだけ。まだシーズンは続いているし、目の前のレースに集中している。
角田: いやあ、すごい質問ですね(笑)。僕はこのレッドブル・ファミリーに入ってもう5年になりますけど、ここがどういうやり方をするかはよくわかっています。毎年のように同じような状況でしたしね。だから僕にできることは、自分の力を証明して、与えられたチャンスを最大限に生かすことだけです。僕にとって一番大事なのは、この機会をもらえていることへの感謝の気持ちです。そのチャンスを最大限に使うこと、それだけに集中しています。
Q:オスカー、マックスが「ザントフォールトの時点で自分がタイトル争いしているなんて信じられない」と言っていました。あの時点では、あなたもタイトル争いは自分とランドの2人だけだと思っていましたか?
ピアストリ: たぶんそう思ってたね。みんなそうだったと思う。モンツァ以降のマックスの流れは、正直少し驚きだった。シーズン序盤から速さの兆しはあったけど、波が大きかった。でも今はとても安定している。彼らはマシンにたくさんの改良を入れてきたし、そう考えれば驚きではないけど、それでも思ったより早くタイトル争いに戻ってきた印象がある。
Q:リアムと角田選手に質問です。オースティンでは少し緊張感のある場面がありました。2人の間で話し合いはありましたか?今は関係はクリアですか?
角田: 直接はまだ話していません。
ローソン: 正直、オースティンで何が起きたのか、よくわかってないんだ。
角田: チームには謝罪しました。特にメディアで言ったことは本当に不必要でした。あれは良くなかったと思っています。それで終わりです。
ローソン: そうだね。シーズンも終盤で、とてもタフな時期だから、どの週末もすごく激しい戦いになる。特に予選ではすべてを出し切ろうとしているし、ちょっとした違いが結果に大きく影響するんだ。
Q:オスカー、あなたはランドとの関係について「クリーンな状態」と言いましたが、シンガポール後にあった制裁はもうなくなったという意味ですか?そしてオースティンでの件では、あなたのカットバックの動きが行きすぎだったと判断されたのでしょうか?
ピアストリ: そうだね。ランドへのペナルティは解除された。そしてオースティンの件については、最終的にそういう結論になった。いろいろな要素が絡んでいたけど、要するにそういう判断だったということ。
Q:オスカー、ランドとの「レース時のルール」について以前話していましたが、それが3人によるタイトル争いにプレッシャーを加えることはありますか?
ピアストリ: 特にないよ。僕たちの間ではルールは明確だ――お互いにぶつからないこと。それだけだ。チームメイト同士のレースでは当たり前のことだから、それでプレッシャーが増えることはない。
Q:リアム、外から見ていると、あなたは来季も続投するのに十分な走りをしているように見えます。もしシーズン序盤のあの入れ替えを経験していなかったら、今より良くなっていたと思いますか?それともあの出来事がドライバーとしてあなたを強くしたと思いますか?
ローソン: 正直、それはわからないね。でもシーズンを通して振り返れば、間違いなく多くの進歩があったし、改善につながる発見もたくさんあった。少なくとも今は、シーズン序盤に比べてずっと快適な状態にあると自信を持って言える。シーズン初期にスイッチした時は、正直キャッチアップに追われていた。でも時間が経つにつれてどんどん慣れてきたと思う。だから、結果的には成長できたと思う。数字的にも良くなっているし、個人的にも多くを学んだ。この経験を将来のレースにも生かしていきたい。
Q:リアムと角田選手に質問です。報道では、来年マックスのチームメイトにアイザック・ハジャーが昇格し、アービッド・リンドブラッドがレーシングブルズに上がる可能性があるとされています。つまり、あなたたちのどちらか1人しか残れないということになります。ヘルムート、ローラン、アラン・パーメインたちは、今あなたたちにどんなことを求めていると思いますか?どんな要素が残留の決め手になると感じていますか?
角田: そうですね、やっぱり結果だと思います。僕にとってはより明確です。チームとしても選手権の重要な局面にありますし、チームメイトを支えることも大切な役割です。コンストラクターズ選手権で2位を狙えるポテンシャルもあります。オースティンでポイントを取れたのは良い一歩でした。でも、まだもっとやらないといけません。毎レースで結果を出し続けること――ここ数年、レッドブル系のドライバーたちが苦戦してきた部分を改善する必要があります。僕はシーズン後半に入ってから良い流れをつかめていると思いますし、毎戦しっかりとパフォーマンスを見せられています。過去数年の中でも、自分が多くのことを証明できていると感じています。だから、やるべきことは明確です。
ローソン: 僕はとにかく、マシンに乗るたびに全力で速く走るだけだと思ってる。やることはそれしかない。レッドブルの育成はずっと結果主義で、僕が16歳の時にプログラムに入ったときからずっとそうだった。結果を出せば昇格できるし、結果を出せなければ終わる。それだけなんだ。
Q:オスカー、オースティンではスプリント中のクラッシュもありました。チームのアンドレア代表はマシンのチェックもすると言っていましたが、何か問題は見つかりましたか?それとも何も変える必要はなかった?
ピアストリ: 何も変える必要はなかったよ。多少、理想的ではない部分もあったけど、マシン自体に重大な問題はなかった。週末全体の流れやレース展開の中で、予想と違う部分がいくつかあっただけさ。もしもう一度あの週末をやり直せるなら、多少違うやり方をしたかもしれないけど、大きく変えるようなことはないね。
Q:角田選手とオスカーに質問です。オースティンでは、レッドブルがグリッド上で他チームの“テープ”を剥がそうとして話題になりました。これは駆け引き(ゲーム)だと思いますか?それともフェアじゃないと思いますか?
ピアストリ: 僕から言えることはあまりないけど、ルールの範囲内ではあると思う。ただ、オースティンではタイミングが遅すぎた。それだけさ。ゲームの一種かもしれないけど、やるかどうかはそれぞれのチームの判断だね。
角田: 今のマシン世代だと、あのオレンジラインが本当に見づらいんです。ほとんど見えないくらい。オスカーも同じだと思います。だからああいうことが起きたんだと思います。来年は視認性が改善されているといいですね。
Q:オスカー、タイトル争いの上で、このメキシコGPはどれほど重要だと思いますか?そして、FP1ではメキシコ人ドライバーのパト・オワードが走りますが、彼の走りはあなたにとってどんな意味がありますか?
ピアストリ: パトから学べることは間違いなくあると思う。彼の走りを通して、新しい視点を得られるからね。マシン開発にも役立つだろう。タイトル争いという意味では、メキシコは他の4戦と同じくらい重要だと思う。どのレースでもベストな週末にしたいけど、特別扱いするような一戦ではない。毎回全力で挑むだけだ。もちろん勝ちたいけど、やるべきことは同じ。最善を尽くすだけさ。
Q:リアム、FP1で走らないことがパフォーマンスに影響すると思いますか?チームとその件について話しましたか?
ローソン: 多くのチームがここメキシコで若手ドライバーを走らせるのは理にかなっていると思う。もちろん、ドライバーとしては自分のクルマに乗れないのは理想的ではないけど、このサーキットは週末を通して大きく路面が変化する。金曜の初めはとても滑りやすいし、グリップも低い。だから、もしどこかで交代しなければならないなら、ここが一番合理的だと思う。僕自身も去年このトラックで走っているし、フリー走行でも経験がある。だから完全に未知ではない。もちろん、僕としては毎回乗りたいけどね。ただ、歩夢(岩佐歩夢)はすでにこのクルマをよく理解しているし、チームにとっても有益なセッションになるはずだ。
Q:角田選手、あなたは「マックスをサポートする」と何度か話していますが、実際にどんな形で助けられると考えていますか?戦略面でしょうか?それともセットアップなど開発的な部分でしょうか?
角田: いろいろな面で助けられると思います。セットアップ面では、パッケージを最大限に引き出すために、異なる方向を試したり、新しいアプローチを見つけることができます。そういう情報をマックスやチームにフィードバックするのも役割のひとつです。それにポジション的にも、高い位置で走ることで戦略の幅が広がります。場合によってはスティントを延ばして、マックスが勝てる確率を高めたり、ライバルチームの戦略を崩すような動きもできます。僕はチャンピオン争いをしていませんが、チームメイトはしています。だから当然、できる限りサポートしたいと思っています。そのためにも、オースティンのスプリントのように、毎回安定して高いパフォーマンスを出すことが必要です。それをもっと増やしていきたいです。
カテゴリー: F1 / F1メキシコGP / F1ドライバー
