アロンソが語る「ホーナー不要論」 アストンマーティンF1が選んだ明確な道筋

ホーナーは2025年夏、20年にわたるレッドブルでの体制に終止符が打たれて以降、パドック最大の「空席」となっている存在で、現在はアルピーヌが有力な行き先として取り沙汰されている。一時はアストンマーティンF1の名も噂に浮上したが、チーム内部ではすでに方向性が固まっている。
ローレンス・ストロールはホーナー説に明確な線を引き、エイドリアン・ニューウェイをチーム代表に据え、アンディ・コーウェルを新たな戦略的役割へと配置した。フェルナンド・アロンソは、その布陣を冷静に見つめながら「空席は存在しない」と受け止めている。
マネジメントにこれ以上の人材は不要
スカイF1の取材で、ホーナーを別の形で迎え入れる可能性について問われたアロンソは、慎重ながらも明確な言葉を選んだ。
「分からない。今のところ、それは僕が答える質問ではないと思う」とアロンソは語った。
「ただ、エイドリアンが今その役割を担い、アンディも別の責任を引き受けていて、彼は非常に有能だ。ローレンスも偉大なリーダーで、常に最大限のコミットメントと決意を持っている。そう考えると、マネジメントにこれ以上の人材が必要だとは思わない。もちろん、最終的な判断は僕ではないけどね」と続けた。
これはホーナーの実績を否定するものではなく、現在のアストンマーティンF1の中核がすでに機能しているという評価だ。指揮系統が明確な今、さらに大物を加えることは、かえって焦点をぼかす危険があるという考えがにじむ。

ニューウェイが生む“重力”と人材効果
アロンソが強調するのは、ニューウェイの存在そのものがチームにもたらす吸引力だ。
「エイドリアンがチームにいることで、人材を引き寄せると思う。それは間違いない」とアロンソは語った。
「誰もがエイドリアン・ニューウェイと一緒に働き、彼から学びたいと思っている。そういう存在だ。彼がチーム代表であることで、さらに多くの人がこのチームに加わることを夢見るはずだ。それは僕たちにとって良いニュースだ」と述べた。
ニューウェイの昇格は、組織上のリスクではなく、採用面での強力な武器になるという見方だ。優れたエンジニアを動かすのは説得ではなく、インスピレーションであり、その象徴がニューウェイだという。

最も重要な仕事を守るために
もっとも、アロンソの支持にはひとつの含みもある。ニューウェイの才能は、あくまでマシンに向けられるべきだという点だ。
「正直に言って、彼には速いクルマを作るためのすべてのスキルがあると思う」とアロンソは語った。
「ただ、今のチーム代表という役割は少し違っていて、メディア対応やスポンサー対応など、別のことも求められる。エイドリアンがそういうことを全部やらず、重要な部分に集中できればいいと思っている」と続けた。
「彼はチームの運営方法や、全員を一つの方向に集中させる方法を知っている。素晴らしいリーダーだし、この発表には満足している」と締めくくった。
3度目のワールドチャンピオン獲得を狙い続けるアロンソにとって、必要なのは新たな権力者ではない。求められているのは、方向性の一致と勢い、そして何よりも速いマシンだ。
その意味で、ホーナーを迎え入れなかった判断は機会損失ではなく、アストンマーティンF1が「自分たちが何を望んでいるのか」をようやく正確に理解した証だと、アロンソは見ている。
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