2026年F1レギュレーションは内燃エンジンの常識も書き換える

新規エンジンメーカーの参入を促すため、FIAは燃焼そのものを根底から変える数多くの変更を加えた。電動部分が強化される一方で、メーカー間の競争は今後も、古くからのガソリンエンジンを巡って繰り広げられる。
隠された革命
2026年レギュレーション策定の過程で、新規参入メーカーは既存メーカーの優位性を最小限に抑えるため、従来のV6に対する一連の変更を強く求めた。内燃エンジンの基本的なジオメトリーは同じだが、燃焼プロセスは白紙から再設計されている。
最初の変更点は、シリンダーに送り込まれる空気条件だ。ターボ圧は最大4.8バールに制限され、従来のパワーユニットで見られた6バール近いピークは許されない。さらに、ターボを電動で加速していたMGU-Hは廃止され、低回転域での過給圧や燃焼制御は格段に難しくなった。加えて、圧力波の共鳴周波数を利用して吸気量を最適化していた可変吸気ファンネルも禁止されている。
燃焼に不可欠なもう一つの要素である燃料にも、大きな変更が加えられた。燃料は初めて、生物由来および/または合成由来成分の混合を義務付けられ、最大燃料流量は約30%削減される。圧縮比も18から16へと引き下げられ、点火直前の圧力と温度は低下する。さらに、スパークプラグによる点火回数は従来の最大5回から1回に制限され、燃焼を開始することはできても、その過程を最初から最後まで制御することはできなくなった。外見上の器は同じでも、その内部で起きていることは完全に別物なのである。
パワーがすべてではない
MGU-Hと可変吸気ファンネルの廃止により、エンジンメーカーは回転数に応じて燃焼を制御する二つの重要な手段を失った。その結果、内燃エンジンをどの作動点に最適化するか、すなわち有効な作動ウインドウをどこに設定するかという問題が生じる。
この点について、アストンマーティンのチーム代表であり、2014年以降の支配的な時代にメルセデスのエンジン部門を率いていたアンディ・コーウェルは次のように語っている。
「MGU-Hには素晴らしい点が二つある。一つは本来捨てられるはずのエネルギーを回収できること、もう一つはターボの回転数を制御できることだ。だからアンチラグは不要だった。2026年には必要になるのか。もし必要なら、どうやって実現するのか。それとも、常に高回転でエンジンを回し続けるのか。各社がどうするのかは興味深い」
低回転域でのトルク、すなわちコーナー立ち上がりの加速を優先するのか、それとも最高出力と最高速を重視するのかという選択が迫られる。小型で軽量なターボはターボラグを抑えられる一方、高回転域での出力は犠牲になる。
このジレンマはさらに広がり、エンジン性能とマシン全体の空力効率との妥協点を見つける必要がある。例えば、エンジン温度を低く保てば熱効率は最大化されるが、そのためには大型の冷却系が必要となり、空力や重量に悪影響を及ぼす。内燃V6のコンセプトとシャシーの設計は密接に結び付いており、エンジンのデューティサイクルが空力性能に影響し、その逆もまた然りである。

エネルギーフローの導入
2014年の大きな革新の一つは、10500回転以上で燃料流量を100kg/hに制限した点にあったが、2026年にはこの考え方が進化する。燃料の化学組成には一定の自由度が認められ、供給元によってエネルギー密度が異なる可能性があるため、制限は燃料質量ではなく、エンジンに投入される化学エネルギーの流量そのものに課される。上限は3000MJ/hで、燃料の質量流量とエネルギー密度から算出される。
この値は従来のパワーユニットと比べて低く、当初は1レースあたり70kgの燃料で走り切ることを目標としていたが、この数値は規則には明記されなかった。
規則では走行状況に応じて異なる制限も設けられている。ブレーキング時や部分スロットル時には燃料流量が低く抑えられ、減速区間やコーナー中にエンジンを全開で回してバッテリーを充電する、といった不自然な使い方を防ぐ。FIAは従来通りフローメーターで監視するが、今回は1基のみとされ、非測定区間で瞬間的に流量を増やすことを防ぐアンチエイリアシング技術が導入される。さらに、排気ガス中の混合気の濃さを検知するラムダセンサーも追加され、リッチかリーンかを把握できるようになる。
新たな開発ルール
構造面での変更も大きい。2026年から内燃エンジンの最低重量は130kgに設定され、ピストンとコンロッドの重量もそれぞれ50g、20g引き上げられる。これはピストンに特定の鋼合金のみを使用することが義務付けられ、軽量なアルミ合金が使えなくなったためである。
スプリットターボ構造も禁止され、タービンとコンプレッサーはエンジン後方で一体化しなければならない。インジェクターは全メーカー共通の標準品となり、スパークプラグも指定された設計に従う必要がある。
エンジンメーカーは、旧世代V6から流用できる部品は一つもないと口を揃える。特に新規参入メーカーが大きく出遅れ、挽回できなくなるのではないかという懸念も生まれている。今回はパワーユニット開発にもコストキャップが適用され、アップデートも厳密なスケジュール管理下に置かれる。例えば、新しい燃焼室をホモロゲーションできるのは2027年と2029年のみである。
そこでFIAは、ADUO(追加アップデートおよび開発機会)と呼ばれる救済制度を導入した。これはコストキャップの引き上げ、内燃エンジンのベンチテスト時間を30%増やす措置、そして追加アップデートのホモロゲーションを可能にするものである。
この制度は、最も競争力のあるパワーユニットに対して2%以上出力が劣るメーカーを対象とし、パフォーマンスはドライブシャフトに取り付けられたトルクセンサーで監視される。信頼性に深刻な問題がある場合には、複数のパワーユニット製造にかかる費用を補填する形で、予算上限の引き上げも認められる。
これらの支援策は、外見とは裏腹に、2026年のV6内燃エンジンがいかに徹底的に変革されているかを示す、何よりの証拠である。
カテゴリー: F1 / F1マシン
