マクラーレン 2026年F1マシン『MCL40』をアブダビGP前にオークション出品

マシンは2026年レギュレーションに対応した最新仕様で、メルセデス製パワーユニットを搭載。落札者にはマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)訪問やランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会など、チーム公認の特典が付与される予定だ。
史上2番目の名門、マクラーレンが2025年に通算10冠
マクラーレンF1チームは2025年シンガポールGPで12勝目を挙げ、残り6戦を残してコンストラクターズタイトルを確定。ザク・ブラウンCEOとアンドレア・ステラ代表のもと、ノリスとピアストリの両エースが活躍し、再び黄金期を築いた。
これにより、ウォーキング拠点のマクラーレンはF1史上2番目に多くのタイトルを獲得したチームとなり、その名を再びモータースポーツ史に刻んだ。
2026年F1の技術革命 ─ 軽量化とアクティブエアロの導入
2026年のF1ではマシン規格が大幅に刷新される。全長は20cm短く、全幅は10cm狭まり、重量も約30kg軽くなる見込みだ。
空力面では、これまで主流だった複雑なフロア構造とヴェンチュリトンネルの依存度が下がり、可変式エアロデバイスが導入される。DRSは廃止され、ストレートでは抗力を減らす「Xモード」、コーナーでは高ダウンフォースの「Zモード」を切り替える“アクティブ・エアロ”が採用される予定で、オーバーテイク性能の改善が期待されている。
電動化が加速する2026年パワーユニット
パワーユニットも大幅に改良され、内燃エンジンの出力は550〜560kWから400kWへ低下する一方、電動パワーは120kWから350kWへと約3倍に強化される。
回生エネルギーの上限は1周あたり8.5MJに倍増し、燃料は持続可能な合成燃料を使用。すでに世界で最も効率的とされるF1ハイブリッドエンジンが、さらに環境性能を高めた次世代仕様へと進化する。
未発表のMCL40Aを世界初オークションへ
この新レギュレーションに合わせ、マクラーレンは2026年型マシン『MCL40A』を開発中で、正式発表を前に12月5日アブダビで行われるRMサザビーズのオークションに出品する。
史上初めて、まだ走行していないF1マシンが一般に販売されることになる。落札者はランド・ノリスまたはオスカー・ピアストリがドライブする予定の実際のシャシーを入手でき、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレイン製の2026年仕様パワーユニットが搭載される。
納車は2028年予定 ─ 技術保護の観点から段階的に引き渡し
マクラーレンは知的財産の流出を防ぐため、MCL40Aの実車を2028年第1四半期に納車予定としている。
それまでの期間、落札者には2025年仕様の展示用ショーカーが提供される。最終的に納車された車両は、マクラーレンのエンジニアやメカニックによるフルサポートのもと、デモランやプライベート走行会での走行が可能となる。
落札特典は豪華プログラム ─ MTC訪問とレース招待
落札者には、マクラーレン・テクノロジー・センターへの招待をはじめ、ザク・ブラウンCEO、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会が約束される。
さらに、2026年マシン発表会および2戦(うち1戦はモナコGP)への招待、チームピットガレージからの観戦、マクラーレン・チームハブでのホスピタリティ体験など、希少かつ豪華な特典が付属。
また、ル・マン24時間レースやインディ500の現地観戦権も含まれるなど、まさに“トリプルクラウン”を体現するパッケージとなっている。

ハイブリッド時代の象徴、F1マシンが民間へ
2014年のハイブリッド時代以降、現役仕様のF1マシンが一般に渡る例はほとんどなく、走行可能な車両として提供されるのは極めて異例だ。
今回の出品は、RMサザビーズとマクラーレン・レーシングが共同で実現した“未来のF1マシンを所有する初の機会”として、モータースポーツ史に残る出来事といえる。
マクラーレンの“トリプルクラウン”を象徴する特別出品
マクラーレンは、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間の三冠を制した数少ないチームのひとつだ。
今回のオークションでは、この“トリプルクラウン”を象徴する形で、2026年型アロー・マクラーレン・インディカーと、2027年世界耐久選手権(WEC)参戦初年度のLMDhハイパーカーも同時出品される。
マクラーレン・レーシングの過去・現在・未来を一挙に感じられる、まさに“歴史的”なセールとなる。
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