マクラーレンのラスベガスGP失格が2025年のF1最多得点記録を阻む
2025年F1アブダビGPでシーズンは幕を閉じ、世界選手権が始まった1950年以来31回目となる「最終戦決着」のタイトル争いとなった。

ランド・ノリスは通算152戦目でドライバーズタイトルを獲得した。初タイトルまでにこれ以上多くのレースを要したドライバーは、歴代でも3人しかいない。ただし、近年のシーズンは開催数が多いことも影響している。

たとえばナイジェル・マンセルは1992年に初タイトルを獲得するまでにノリスより24戦多く出走しているが、当時のキャリアはほぼ倍の長さだった。マンセルは39歳の誕生日から8日後に王座を手にし、ノリスは先月26歳になったばかりだった。

初タイトルまでの出走数が多かったドライバー上位5人はいずれもタイトル1回のみだが、ノリスには今後それを塗り替える可能性がある。もっとも、9年前のFIAガラでニコ・ロズベルグが突然引退を発表したような選択をしない限りだが。

3人同時決戦とフェルスタッペンの勝利数
2010年以来となる3人以上が絡む最終戦タイトル決戦では、全員が7勝で最終戦を迎えた。だがマックス・フェルスタッペンが最終戦を制し、今季最多勝ドライバーとなった。これで5年連続だ。

王者よりも多くの勝利数を挙げたドライバーが存在したのは2016年以来で、その年はルイス・ハミルトンが10勝、ロズベルグが9勝だった。ノリスの7勝は、2012年に5勝で王座を獲得したセバスチャン・ベッテル以来、最少の勝利数となる。

マクラーレン14勝と歴史的比較
マクラーレンは今季14勝を挙げ、その内訳はノリスとオスカー・ピアストリが7勝ずつ分け合った。これはチーム史上2番目に多い勝利数だが、1988年に16戦中15勝を挙げた伝説的シーズンには及ばない。

その年、アイルトン・セナが8勝、アラン・プロストが7勝を挙げ、MP4/4は圧倒的な強さを誇った。1シーズン最多勝記録は、2023年に24戦中23勝を挙げたレッドブルが保持している。

フェルスタッペンの連続記録
フェルスタッペンは2022年のグラウンドエフェクト規則導入以降、同一サーキットで複数回勝利した唯一のドライバーとなった。鈴鹿では4戦全勝、イモラとロサイルでもそれぞれ3戦無敗を記録している。

またシーズン終盤に10戦連続表彰台を達成し、これはF1史上7人目。自己最多は2023年の15戦連続だが、歴代記録はミハエル・シューマッハの19戦連続(2002年シーズン全16戦を含む)である。

角田裕毅とチームメイト差の記録
角田裕毅はレッドブルでの最終戦で無得点に終わり、チームメイトとの差としてF1史上最大のポイント差を記録した。フェルスタッペンとの差は388ポイントで、22戦の同僚期間だけでも355ポイント差となり、2023年にフェルスタッペンがセルジオ・ペレスを290ポイント上回った記録を大きく更新した。

フェラーリの苦戦とハミルトンの異例の年
フェラーリは2021年以来となる無勝利シーズンに終わった。シャルル・ルクレールが今季初の最速ラップを記録したのが数少ない明るい材料で、通算11回となりジョージ・ラッセルと並んだ。

一方ハミルトンは最終3戦すべてでQ1敗退し、シーズンを通じて一度も表彰台に立てなかった。これは本人にとっても、1981年のディディエ・ピローニ以来のフェラーリ新加入ドライバーとしても前例のない結果だった。

マクラーレン最多得点と失格の代償
昨年は王者マクラーレンと14ポイント差だったフェラーリは、今季4位に後退し435ポイント差をつけられた。マクラーレンはチーム史上最多の833ポイントを獲得したが、2023年にレッドブルが22戦制で記録した860ポイントには届かなかった。

決定的だったのはラスベガスでのダブル失格による30ポイント喪失だ。このレースはマクラーレンが今季唯一無得点に終わったラウンドであり、もし得点していれば新記録に達していた可能性が高い。

全チーム無得点とアルピーヌ
競争が激化した今季は、全チームが少なくとも1度は無得点レースを経験した。ポイントがトップ10に拡大されて以降では初の事例で、前回は2008年だった。

最下位に終わったアルピーヌは、それでも「最下位チームとしては最多得点」を記録した。2009年のトロ・ロッソが29ポイントで最下位になったのに対し、今季アルピーヌは22ポイントを獲得している。多くのチーム同様、2025年を早期に切り上げた判断が来季に好結果をもたらすことを期待している。

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム