クリスチャン・ホーナー F1復帰へ“新チーム設立”構想:ドメニカリは慎重姿勢
レッドブルを解任されて以降、2025年7月のイギリスGPを最後にF1パドックから姿を消しているクリスチャン・ホーナーが、水面下で“新チーム設立”という大胆な復帰ルートを模索していることが分かった。

ホーナーは投資家との会合に加え、F1 CEOステファノ・ドメニカリ、FIA会長モハメド・ビン・スライエムとも接触。2026年4月にはガーデニング休暇が明け、復帰可能となる中で、F1に戻るための複数のオプションを動かし続けている。

レッドブル離脱から復帰探しへ:米国・中東投資家との接触も
2025年イギリスGP直後、レッドブルGmbHのオリバー・ミンツラフによって解任され、9月に完全に組織を離れたホーナー。契約は2030年まで残っていたが、約5200万〜8000万ポンドの退職金を一部放棄し、ガーデニング休暇期間の短縮を優先したとされる。

その後、ホーナーは投資家のグループと米国・中東で接触。既存チームの買収または参入を視野に入れた“チームオーナー”としてのF1復帰を模索している。

さらに、FunoAnalisiTecnicaによれば、ホーナーはステファノ・ドメニカリCEOとも会談し、12番目の新チーム創設について直接協議を行っていた。

12番目のチーム構想:FIAは前向きも、F1は「もうスペースがない」
ホーナーは既存11チームの買収に限らず、“ゼロから立ち上げる”選択肢も追い続けているとされる。これに関連し、FIA会長ビン・スライエムは新規参入について次のように語っている。

「2023年のエクスプレッション・オブ・インタレストは、専門性の枠組みに基づき、規則を満たす限り企業名に関わらず評価した。我々は11番目のチームを承認した。彼らのパフォーマンスを見た上で、もし新たな提案があればFOMも受け入れるだろう。それはビジネスを支えるためだ」

FIAは“適切なら歓迎”という立場だが、F1(FOM)は慎重姿勢を強めている。

ドメニカリCEOは今年9月、次のように発言している。

「我々は慎重であるべきだ。評価するのは“非常に価値ある提案”だけだ。すでにパドックにはこれ以上のスペースがない。物流的にも限界だ」

「我々もチームも多くの問い合わせを受けているが、状況が良いからこそ、築いてきた価値を守る必要がある」

キャデラックが2026年に参入し、F1は11チームとなる。パドックの物理的・運営的な面で、12チーム目の追加はF1にとって負荷が大きいとの判断だ。

クリスチャン・ホーナー

ホーナーがドメニカリを動かすには“価値の証明”が不可欠
F1側は、アンドレッティを「単独では価値を加えない」として拒否した過去を持つ。ホーナーが新チームを実現するには、以下をF1に示す必要があると考えられる。

■ F1ブランドの価値向上
■ 新規ファン層や新地域市場の創出
■ 既存チームのビジネスへの貢献
■ 2026年以降の技術・商業面での独自性

ホーナーには、レッドブルでの実績(8度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトル)があるが、F1の“価値保護”という現在の運営方針を乗り越えるには、単なる実績だけでは足りない。

F1復帰の最有力ルートは「既存チームの買収」か
12番目のチーム創設という道は、FIAが前向きでも、F1側の慎重姿勢により実現性は高くない。一方、F1ではチーム価値が急騰しており、投資ファンドが複数のチーム買収に動いている。

こうした状況を踏まえると、
ホーナーの現実的なF1復帰ルートは“既存チーム買収”が中心になる
と見られる。

ドメニカリとの会談は“可能性を探る一手”ではあるが、F1のハードルは依然として高い。ホーナーは2026年4月の復帰解禁を前に、時間をかけて資金とパートナーを整えていくことになりそうだ。

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カテゴリー: F1 / リバティ・メディア / FIA(国際自動車連盟)