F1:リバティ・メディア会長ジョン・マローンが退任、後任にロバート・ベネット
F1の商業権を保有するリバティ・メディアは、取締役会会長の交代を発表した。創設者ジョン・マローンが2026年1月1日付で取締役会を退任し、名誉会長(Chairman Emeritus)に就任する。後任の会長には、副会長を務めていたロバート・ベネットが昇格する。

マローンは1990年代初頭にリバティ・メディアを設立し、長年にわたって同社を率いてきた。声明の中で同は次のように述べている。

「リバティ・メディアを創設し、その会長として務めてきたことは、私のキャリアの中で最も充実した経験のひとつだった。近年、我々は事業ポートフォリオの簡素化を進め、各事業が強固な基盤を築いている。いまは私自身の一部の責任を手放す適切な時期だと感じている」

「35年来のパートナーであるドブ・ベネットが会長職を引き継ぐことをうれしく思う。彼はリバティ・メディアの歴史における重要な意思決定のすべてに関与しており、会社の将来に自信を持っている。私は引き続き主要株主として、また経営陣と取締役会の戦略的アドバイザーとして積極的に関わっていく」

ベネットは1994年からリバティ・メディアの取締役を務め、2025年1月1日以降は副会長として経営に参画してきた。会長就任にあたり、同は感謝の言葉を述べた。

「30年以上にわたるパートナーシップと指導に感謝している。ジョンのような先見性を持つビジネスリーダーは他にいない。彼の信頼に深く感謝しているとともに、取締役会全員を代表して、彼の卓越したリーダーシップに感謝の意を表したい。名誉会長として今後も関与してもらえることを心から歓迎する」

リバティ・メディア体制交代の背景とF1への影響
今回の会長交代は、リバティ・メディアが長期的な経営安定期に入ったことを示す節目だ。マローンのもとで同社はF1の商業権取得(2017年)を実現し、デジタル戦略や米国市場開拓を中心に大きな成長を遂げた。特に「Netflix効果」とも呼ばれるグローバルな人気拡大は、マローンの構想力と実行力に負うところが大きい。

後任のベネットは、長年マローンの右腕として経営に携わり、財務・戦略面での実務能力に定評がある。すでに同社はF1を中核としたメディア事業の再編を進めており、2026年から始まるアップルTVとの新放映契約や新興市場向けのストリーミング戦略など、次世代の収益モデルを構築する段階にある。

マローンが名誉会長として残ることで、経営方針の一貫性は維持される見通しだが、今後はベネット体制のもとでより機動的な意思決定が期待される。F1にとっても、リバティ・メディアの新たな指導体制は「次の成長ステージ」への移行を意味しており、商業面・デジタル面の両輪でさらなる拡張が見込まれる。

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カテゴリー: F1 / リバティ・メディア