セバスチャン・ベッテル、レッドブルF1復帰の噂も「話はあったが進展せず」

2022年末にF1を引退し――キャリア合計4つのワールドチャンピオン、53勝、299戦という成績に幕を下ろした――ベッテルは、以降さまざまな活動を通じて環境問題への意識向上に力を注いできた。
しかし、その38歳のベッテルは、週末にサンパウロGPを訪れ、F1RESTプロジェクトを宣伝する中で、今もF1を追い続けていることを明かし、インテルラゴスでSky Sports F1のインタビューに応じた際、7月に突然離任した元レッドブル代表クリスチャン・ホーナーについて自身の見解を語った。
「驚いた」と、2010年から2013年にかけて自身の4つのタイトルすべてをともに獲得したチームに関わるニュースについての反応をベッテルは語った。
「クリスチャンは本当に長い間、ほとんど最初からチームにいて、チームの内側を隅々まで知っている人物だ。今年に関してはすべてが整っていたと思う」
「僕は後任のローラン(メキース)のこともよく知っているし、一緒に働いたこともあって、本当に本当に素晴らしい人物だ。でもクリスチャンは大きな足跡を残したと思う。それはチームとともに成し遂げた成功だけではなく、彼がチームの中心的存在であり、何が起きているのかをすべて把握していたからだ」
「僕は組織、構造、そして特に将来の計画について完全には把握していない。でもだからこそ、“どうなるか見てみよう”と言うのが妥当なのだと思う。」
ベッテルは続けて、将来的に自身がレッドブルの“未来像”の一部になり得るかという問いにも答えた。
「どうだろうね。いろいろ話が出ていたのは僕も読んだけれど、実際にヘルムートとも少し話をした。でも何にもならなかったし、前に進むような流れにはならなかった。」
現在の生活については「今の人生にかなり満足している」と述べる一方で、F1への深い愛情を再確認した。
「最初の頃は、“距離を置く必要があるから、観続けたいかどうか分からない”と思った時期もあった。でも今はレースを観ているし、追いかけてもいる。なぜならこのスポーツが本当に好きだからだ。仲間のことも知っているから、そういう意味でもまだ近くにいるようなものだ。」
そして最後に、将来のF1界での役割について完全には否定しなかった。
「どうなるかは分からない。正しい機会、立場、視点、何であれ、それが現れたり現れる可能性があるのなら、喜んでその役割を引き受けるかもしれない。時間が教えてくれるだろう。」

ベッテルの発言が示す“慎重な距離感”と“開かれた扉”
今回の発言は、レッドブル周辺で続く組織再編と、チーム内部の権力構造が変わりつつある状況を反映しているように見える。ホーナーという象徴的存在を失った直後の不確実性、メキースによる新体制、そしてマルコの将来的な役割縮小が噂される中、ベッテルの名前が浮上したのは自然な流れとも言える。
しかしベッテル本人は、そうした噂に乗るのではなく、事実として「話はしたが前に進まなかった」と淡々と述べる一方で、将来的な復帰については完全には閉ざしていない。この“慎重に距離を置きながらも扉を閉じない”姿勢は、引退後のベッテルが一貫して示してきたスタンスとも一致する。
また、F1を見続けているという強い愛情を自ら語る姿からは、完全に競技世界から離れる意志がないことも読み取れる。
そのため、レッドブルだけでなく、環境分野の活動と結びつく新しいF1の役割が生まれる可能性も否定できない。
組織再編が続くレッドブル、そして変革期を迎えるF1全体にとって、ベッテルが今後どの立場を選ぶのかは、引き続き注目を集めることになりそうだ。
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