F1ラスベガスGP 決勝:トップ3記者会見 - フェルスタッペン、ノリス、ラッセル

また、レース内容だけでなく、ラスベガスGPにおける“ショーとスポーツのバランス”、マシンの課題、今季のアップダウン、次戦カタールへの意気込みなど、多岐にわたるテーマが取り上げられた。以下では、その内容を完全逐語訳で紹介する。
トラックサイドインタビュー
Q(デイビッド・クルサード): それではラスベガスでのフェルスタッペンから始めよう。おめでとう、マックス。ここで2度目の勝利だ。支配的、とまでは言わないが、かなり快適に見えた。
マックス・フェルスタッペン: うん、良かったよ。もちろんプラクティスでは、タイヤがどうなるか全然分からなかった。レースでも、みんなリズムを探しながら、どれだけプッシュできるかを探っていたと思う。特に最初のスティントはより脆いタイヤだったからね。すごくうまくいったと思う。普段、レースになると僕らはあまりタイヤに強くない。でも今日はコントロールできていたし、少し余裕を持ってプッシュできた。それでペースが出たし、もう少し長く走れたことでレースを半分に分けるような形にできた。それがすごく助けになった。マシンはとても良く、自分の好みに近かった。終盤には、まあまあのギャップも作れたけど、毎周快適に走れたし、タイヤを使いすぎることもなかった。
Q(サム・ワーシントン): 『アバター』を作ったときも興奮したけど、君たちのやっていることは本当に信じられない。素晴らしいレースだった。質問はこうだ。ランドが1コーナーで攻めたとき、君はどう感じた?
ランド・ノリス: 違うよ。彼が行ったんじゃない。僕が行ったんだ。他のみんなじゃない。
Q(サム・ワーシントン): みんなは“コースを使い切った”と言っていたよ?
ノリス: いや、実際には僕がマックスに勝たせたんだよ。行かせたんだ。良いレースにしてあげようと思って! ……いや、ただブレーキが遅すぎただけ。僕のミスだよ。ショーを見せたいだろ? ここはラスベガスだからね。ベストな走りじゃなかった。でも、彼が20秒差で勝つときは、彼が良い仕事をしたってことだし、向こうが少し速かったってこと。楽しいレースだったけど、いつものように難しかった。でも僕らは悪くなかったよ。
Q(デイビッド・クルサード): ではジョージ、君にも聞こう。序盤、マックスにプレッシャーをかけているように見えた。そしてステアリングの問題がまた起きたと言っていた。その問題は最後まで続いたのか、それとも単にペースが落ちただけなのか?
ジョージ・ラッセル: 問題はずっとあった。でも本当に厄介だったのはタイヤだよ。マックスがピットを出たとき、「チャンスだ」と思って本当に強くプッシュした。でもそれでタイヤを壊した。そこからは無線で「このタイヤで最後まで行けるか分からない」と言っていた。本当に難しかった。だから、レースとしては良いものじゃなかった。でも表彰台に立てたのは、僕らが達成できる最大値だったと思う。
Q(サム・ワーシントン): ところでマックス、これが69勝目らしい。ここはラスベガスだから、6と9に賭けようと思うんだが、どう思う?
マックス・フェルスタッペン: うーん、69のままでもいいし、169まで行ってもいい。かなりクールな数字だからね。
Q(デイビッド・クルサード): 素晴らしいよ、マックス。本当に見事だ。それに君たちの間のレーシングリスペクトも好きだよ。ランドの冗談も良かった。「勝つチャンスをマックスにあげた」と言っていたが……ランド、ちょっとだけ——
ランド・ノリス: 僕は「台無しにした」って言ったんだよ。
Q(デイビッド・クルサード): ああ、それは言えないんだ。皆さんごめんなさい。でもチャンピオンシップは続く。残り2戦とスプリント1回。まだまだ続くね。
ランド・ノリス: そうだね。正直、僕はここまで良い流れだったと思う。今日もペースは悪くなかった。でもマックスが良いレースをしたし速かった。1コーナーは攻めないといけない。今日はちょっと攻めすぎた。それで代償を払った。そういう日もある。でも2位だし、良いポイントだよ。そんなに落ち込んではいない。マックスとレッドブルにおめでとうと言いたい。良いレースだった。次に向かうよ。
Q(デイビッド・クルサード): 最後にマックス。ここで勝った。素晴らしい走りだ。チャンピオンシップのことは考えているのか、それとも残りのレースを1つずつ見ている?
マックス・フェルスタッペン: 1つずつだね。まだ大きな差がある。でも最大限を尽くすだけだ。この週末はそれが1位だった。次の週末も勝ちたい。そしてアブダビが終わったとき、どこにいるかを見るよ。シーズンはアップダウンが激しかった。厳しい時期もあったけど、美しい瞬間もあった。そこから学んだことは大きい。それを活かしてもっと改善し、来年はもっと強く戻って、最初からタイトル争いができるようにしたい。今は楽しんで、来週またどう戦えるかだね。

プレスカンファレンス
Q: マックス、素晴らしいドライブだった。最終ラップにはファステストも出した。前に出たらすべてコントロールできていたように見えたが、実際どうだった?
マックス・フェルスタッペン: うん、1コーナーでリードに立てたのは大きかった。最初のスティントでは、みんなプッシュする量やマネジメントの仕方を探っていたと思う。ピットストップまではみんな近かったしね。木曜日には十分な理解を得られなかったから、良いバランスを探していた。でも思ったより良かった。あのコンパウンドでもすでに期待以上だったよ。ハードに替えた後は、最初のスティントをうまくまとめられた分だけ、2回目は少し楽になった。でもそこでもタイヤを焼きすぎないように気を付けないといけない。無線のコミュニケーションも良かったし、本当に気持ちよく走れた。リラックスできてとても良かった。
Q: スタートのことを言っていたが、ランドとの競り合いについて教えてほしい。最初の10秒ほどをどう見ていた?
フェルスタッペン: イン側をカバーするのは当然のこと。ただ、このコースではブレーキポイントがつかみにくい。スタートしてすぐにミラーを見る暇がほとんどなく、すぐにブレーキしないといけない。路面も滑りやすいしね。そういうことだよ。
Q: インテルラゴスではフラストレーションがあったが、今日は安定していた。この先の2レースでも、ここでのように勝てる自信がある?
フェルスタッペン: 表彰台は安定しているね。勝てないレースもあったけど、2024年中盤から2025年中盤までは「表彰台に乗れないレース」の方が多かった。でも今は2位か3位を争えている。それは大きな前進だ。本来はシーズン最初からそうであるべきだったけどね。でも序盤はうまく行かなかった。今は安定していて、たまに勝てる。
Q: タイトル争いについては? まだ考えていない?
フェルスタッペン: うん。ただ楽しんで、勝てるときに勝つだけだよ。
Q: 分かった。ありがとう。ではランドへ。最終の2周、かなりタイムを落としていたが、49・50周目に何が起きていた?
ランド・ノリス: チームが「問題がある」と無線で言っていた。だから少しペースを落とさないといけなかった。
Q: では今日のレース全体をまとめてほしい。今季22戦で18回目の表彰台だ。満足?
ノリス: いや、今日は速さが足りなかった。ペースがなかった。1コーナーは僕のミスで、本当にひどかった。ブレーキが遅すぎた。僕の責任。でも仮に1コーナーを1位で出ても勝てなかったと思う。ブラジルと同じで、マックスが良い仕事をしたし、レッドブルが速かった。彼らは別のリーグにいた。もっと速さがほしかったし、僕らは改善しないといけない。
Q: 昨年ここでは苦戦したが、今年は明確な前進があった。このラスベガスでのステップアップについては満足している?
ノリス: もちろんだ。ここには僕らのマシンに合わない特定のコーナーや特性がある。でも僕らは2位だ。悪くはない。ただ基準が高いんだ。勝ちたい。金のトロフィーがほしい。銀や銅じゃだめだ。だから満足はしていない。また勝ちたい。でも今日は無理だった。チームとしてもっと良い仕事ができたかを考える必要がある。問題も多かった。マックスとレッドブルが良い仕事をした。勝つにはそのレベルに合わせる必要がある。僕らは勝つために毎回ここに来ている。だから勝てないと嬉しくない。でも残り2週末ある。巻き返したい。
Q: 2位ではあるが、チャンピオンシップではリードが30ポイントだ。残り2週末で夢を見ることは?
ノリス: いや。今日はまだがっかりしているからね。カタールは楽しみだよ。暖かい場所に行けるし、数日休んでゴルフとパデルをして、勝つ準備をする。
Q: ジョージ、続いて君に。今日のレースでは長い間問題を抱えていたようだが、それは何で、どう影響した?
ジョージ・ラッセル: 昨日と同じステアリングの問題が5周目くらいに出た。でも4周ほどすると慣れてきて、最初のスティントは悪くなかった。スタートも良かった。マックスよりコンマ1遅いくらいだった。ピット後にチャンスを見て、2周すごくプッシュしたら、タイヤを壊してしまった。残り16〜20周くらいで「最後まで持つのは厳しい」と分かっていた。正直、楽しいレースじゃなかった。左コーナーで曲がれなかった。
Q: もし攻めずにタイヤを温存していたら2位に届いたと思う?
ラッセル: 分からない。でもランドの立場でも、僕は同じことをしたと思う。勝ちたいんだ。半分のチャンスが見えたら行く。温存して3位だったら「攻めていれば」と思うはずだ。後悔はない。ただ楽しくはなかった。
Q: メルセデスとしては去年のラスベガスから自信を持っていたレースだった。今日のパフォーマンスには驚いた? 失望した?
ラッセル: 今年のマシンは24戦を通して安定している。去年のマシンは極端に強いか極端に弱かった。その分ハイライトは多かったが、年間のポイントは少なかった。もちろん勝ちたい。でも目的はシーズンを通して多くのポイントを稼ぐこと。だから今年のマシンの方がそのチャンスが大きい。
質疑応答
Q: ランド、マシンの問題について詳しく。無線では燃料と言っていたが、それが主な懸念? どれくらいギリギリだった?
ランド・ノリス: ジョージも問題を抱えていたので助かったよ。そうじゃなければ今日はもっと悪かった。どれくらいギリギリだったかは分からない。センサーが変な値を示していたのか、予想以上に使ったのか、何が起きていたのか分からない。もっと知るにはチームと話さないといけない。とにかく、無線で言われた通りに走っていたらペースが落ちて、マックスを追うチャンスがなくなってしまった。
Q: マックス、今日は本当に楽しそうだった。今季のアップダウンが理由?
マックス・フェルスタッペン: 2023年のように簡単に勝てるわけじゃないからね。あの年は“チェックするだけ”のレースが多かった。でも今は違う。去年から厳しい時期もあったし、今年もイライラする場面があった。みんな満足していなかったからね。それでも終盤にこういう結果を出せているのは素晴らしい。大きなモチベーションになる。僕自身もそうだよ。
Q: ランド、後半ジョージを抜いたときはどう考えていた? マックスを追う気持ちは? それとも2位で十分と感じていた?
ノリス: 全開だった。でも速さが足りなかった。向こうが速かった。大差ではないけど僕らに問題があって、ギャップが大きく見えた。でも仮に1コーナーを前で出ても勝てなかったと思う。2位は良い結果ではある。でも嬉しい理由にはならない。マックスも言っていたけど、僕らは接戦をしている。予選では良い位置にいたのに、自分のミスで難しくした。でもその後も速さが足りなかった。タイヤも良く入れたと思っても、全力で走ってもマックスは離れていった。ここ数戦、予選は良いけどレースペースは落ちている。ブラジルでも予選は強かったけどレースではマックスが速かった。今回も同じで、昨日はとても強かったのに今日は足りなかった。何が変わったのか、カタールに向けて改善したい。
Q: ランド、次のカタールは初めてタイトルを決められるレースになる。何か心境は変わる? 緊張する?
ノリス: 分からない。初めてだから。でも今は何も変わらない。今日悪い日だと思っても、それでもそこそこ良い日だった。僕はただ勝ちたい。残り2レースとスプリント、全部勝ちたい。それだけ。今は数日休んで時差に合わせ、FP1に集中する。
Q: マックス、ホンダとの“150戦”で思い出深い3レースを挙げてほしい。
フェルスタッペン: 最初の表彰台は大きな節目だった。みんな感情的だった。それから最初のタイトル。エンジンの厳しい時期を経て、あれほどパワフルで信頼性のあるエンジンを作ってくれた。3つ目は難しい。素晴らしい勝利が多すぎる。でも特に感情的だったのはその2つだ。
Q: ラスベガスGPは3回目だ。ショーとスポーツのバランスはどう思う? また、コースのバンピーさや開催時期への意見は?
ジョージ・ラッセル: 全体として週末はとても楽しいし、進化している。タイムゾーンは僕らだけでなく全てのスタッフにとって厳しい。スタンドアロン開催ならもっと良いかもしれない。でも夜のラスベガスなら、どのみち大変だ。
マックス・フェルスタッペン: 最終的にはそれぞれの好みだ。ショーが好きな人もいれば、違うトラックが好きな人もいる。僕も好みがあって、好きな週末もあればそうでない週末もある。でもラスベガスは好きだよ。ただ僕はショーマンじゃない。でもここがカレンダーにある以上、こうした演出が必要なのも分かる。
ランド・ノリス: 数年前よりずっと良くなった。当時はやりすぎだった。まるでシルク・ドゥ・ソレイユにいるみたいだった。今はちょうどいい。良いイベントだよ。でももう少し暖かければいいね。数カ月前か後に動かせたら、みんな楽しめると思う。ファンにとっても寒さや雨はつらい。移動できるなら良いことだと思う。
Q: マックス、来年1番を付けないなら、33番に戻す? それとも3番?
フェルスタッペン: いろいろ検討しているよ。
Q: 決定はまだ?
フェルスタッペン: まだだ。決めたら伝えるよ。
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